一宮千桃のスピリチュアル☆シネマレビューPART.101 「レヴェナント: 甦えりし者」

映画的ドラマツルギーとして、素晴らしい伏線の収拾となっていて、より感動とカタルシスを強く感じさせるラストとなっている。 じ~ん……としみじみと深い余韻を残す。 「凄い映画だ……」私は至福の思いでラストクレジットを見つめていた。
一宮千桃のスピリチュアル☆シネマレビューPART.101 「レヴェナント: 甦えりし者」

甦った男の復讐劇は全編「詩」の映像
念願のアカデミー受賞演技は壮絶の一言!

全編、詩、だった……。
一体どうやって撮った!? と、驚くばかりの映像の連続で一瞬でも瞬きするのが惜しい、と思い続けた。監督、演者、撮影などのスタッフ、渾身の作だと言うのが映像からビシビシ伝わってくる。凄い映画である。
そして、彼らの想いは結実する。レオナルド・ディカプリオがやっと、やっとアカデミー賞の主演男優賞を獲り、監督のアレハンドロ・G・イニャリトゥは昨年に続き監督賞を連続受賞し、撮影のエマニュエル・ルベツキに到っては3年連続の撮影賞を受賞という快挙を成し遂げた。
レオは、この映画で主演男優賞を獲るために、今まで獲れなかったのだ、と思えた。そう、ちゃんと決まっていたのだ、この作品で獲るって……。まあ、これで獲れんかったらどの作品で、獲る!? って感じだけど。

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さて、お話は実話を元にしているという。
1823年のアメリカ西部。ハンターたちの未開の地へのガイドとして息子とともに働くグラスは、熊に襲われ瀕死の重傷を負う。寝たきりになったグラスは敵意を露わにする一団の一人、フィッツジェラルドに殺されそうになり、なんと、目の前で息子を殺されてしまう。動くことも出来ず、最愛の息子を助けられなかったグラスは、死の淵から甦ったように、ただ復讐するためだけに逃げたフィッツジェラルドを追う……。

追跡劇が行き詰る展開で描かれ、またそこへ先住民の襲撃や、白人の隊の先住民への蛮行などが巧みに挿入され、スリリングな展開に見入ってしまう。

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自然と神と人間と……。
神はちゃんと人間の行いを見てくれている

最寒マイナス27℃での9ヶ月に及ぶ極寒での撮影。カナダやアルゼンチンで撮ったそうだが、そこでレオは凍てつく川に入り泳ぎ、木の根を食べ、雪の中で裸になり、死んだ馬の体に入り、殴り合いの闘いをする。レオは格闘シーンで鼻の骨を折ったそうである。彼のなりふり構わずのサバイバル加減は凄まじい。なにか乗り移ったようだった。それは自然のスピリットのようでもあった。
そう思わされたのは、映し出された自然の様が素晴らしかったからだ。

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未開の地そのままの一面の雪原。山岳地帯。深い森。凍てつく川。うねる濁流。おびただしいヌーの骨で作られた巨大な墓標。そこへ幻想的な映像が何度かかぶる。それはグラスの夢でもある。
詩情溢れる映像は、監督のセンチでロマンチックな部分を垣間見させる。
まるで圧倒的な自然が主役のようでもある。そこで繰り広げられる人間の復讐物語は瑣末なことのようにも感じられる。大自然の前ではそんなこと、どうでもいいじゃん、てなりそうだ。そして、グラスも、過酷な復讐の旅の結論として、ラストはとてもスピリチュアルな行動をとる。
神の技に身を委ねるのだ。
それが、映画的ドラマツルギーとして、素晴らしい伏線の収拾となっていて、より感動とカタルシスを強く感じさせるラストとなっている。
じ~ん……としみじみと深い余韻を残す。
「凄い映画だ……」私は至福の思いでラストクレジットを見つめていた。

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大きな愛に包まれたような後味
文句なしの傑作! 何年かに一本の映画!

スピリチュアル的に観ると、本作は自然と人間の関係について深く考えさせてくれる。そしてそこへ神が采配を振るう。ちゃんと人間のしたことについて神は見ていて、良きようにしてくれる。自然と神は、いつもそこに在るだけで受け入れてくれるし、最初から許してくれている。
そんなすごく大きなものの愛に包まれたような後味がいつまでも消えない作品だった。

傑作でしょう。

 

■監督・脚本 アレハンドロ・G・イニャリトゥ
■脚本 マーク・L・スミス
■原案 マイケル・パンケ
■出演 レオナルド・ディカプリオ トム・ハーディ ドーナル・グリーソン
ウィル・ポールター フォレスト・グッドラック
■157分

※4月22日(金)~全国ロードショー

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