一宮千桃のスピリチュアル☆シネマレビューPART.53 「ミリオンダラー・アーム」

一宮千桃のスピリチュアル☆シネマレビューPART.53 「ミリオンダラー・アーム」

インド初のメジャーリーガー発掘の実話は 同時に発掘エージェントの成長物語

最近実話を基にした映画が多い。そして、そういう映画は良く出来ている。いや、多少難のある映画でも「実話」ということで感動させられてしまうのかもしれない。
実話を基にした作品のいい所は、知らなかったことを教えてくれるという点でも素晴らしいと思う。ああ、こういう人が実際にいたんだ・・・と彼らの立身出世に勇気づけられる。また、昨今現実にいろいろ劇的なことがあるので、あざとい作り話より、実話の方が素直に観れるというのもある。でも、劇映画という時点ですでに作りものにはなってるんだけどね。それでも、やはり「実話」というのは有無を言わせない「力」がある。
というわけで、本作も実話をかなり忠実に再現した映画である。

インド人初のメジャーリーガーを発掘した男の話。そういえば、インド人のメジャーリーガーっているの? いるのね!? と驚き! この映画で教えてもらいました。考えたら、イヌイットのメジャーリーガーとか、ブータン人のメジャーリーガーとか、いないんだろうなあ(たぶん)。映画のネタってたくさん転がってるなあ。しかし、本作は映画の主人公であるスポーツ・エージェントのバーンスタインが、自身のネタを映画会社に持ち込んで映画化されたと言うから、ネタはあっても売り込みが大事なのだとも教えられる。たしかにこの、バーンスタイン氏、映画を観ていても、凄い売り込みぶりなのだ。まあ、それだけにかなり嫌な奴なのだが、そこがリアルでよろし。

さて彼の嫌な奴ぶりを褒める前に話を少し。
敏腕スポーツ・エージェントのJB・バーンスタインは豪邸に住み独身生活を謳歌していたが、ある大物選手の契約がとれず、たちまち窮地に。そんな失意の夜、テレビでクリケットの試合を見ていて思いつく。インド人初のメジャーリーガーを発掘しよう!と。そして二人のインド人青年をアメリカに連れてきたのはいいものの、彼らのメンタル面のフォローをすることもなく、相変わらず自分のことしか考えていないバーンスタインだったが・・・。

ああ、嫌な男だなあ。自分勝手で、感情的で、人の気持ちを考えなくて、押しが強くて(まあ、これはいいか)自己中心的で・・・とかなり感じ悪い彼が、変わっていく話でもあるんだけど、そこが、本作はとても良いのだ。

「愛」の力で変わっていく主人公 人が変わる姿を見るのは快感! なのだ!

自分の力と経験、直感と技術だけで成功してきた男。そこに足りないのは「愛」。特に男は女性からの「愛」と「励まし」が必要だ。それがあれば仕事で成功もできるし、豊かな人生を送ることも出来る。女の場合は男がいなくても、「子ども」がいればいいような気もするが・・・。 彼は間借り人の女性との付き合いで自分の至らなさに気づき始める。そこからインド人青年たちとも心を通わすことができる。バーンスタインの嫌な男ぶり、そして彼の変化。それが一番面白い。人が変わるのを見るのは快感だ。だって自分はなかなか変われないから。自分も変わりたいと常に思っているから。

それから、実話につきものの、ラストクレジットの実物の映像とコメントがやっぱり感動させられる。ああ、こんな顔なんだ、この人なんだ、今はどうしてるんだ。そして、彼らの後に大リーガーを目指すインドの子どもたちがいる。彼らは最初の道を作ったんだ、偉大なのだ、とうるっとさせられる。
最初は何事も大変なのだから。

実話はラストがやっぱ、いいなあ。かならず救いがある。

■監督 クレイグ・ギレスピー
■脚本 トム・マッカーシー
■出演 ジョン・ハム アーシフ・マンドヴィ
     ビル・パクストン スラージ・シャルマ
     マドゥル・ミッタル レイク・ベル
     アラン・アーキン
■124分
■10月4日(土)TOHOシネマズ梅田ほか全国ロードショー
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