韓国のゴダール ホン・サンス監督が魅せる二人の女性~『ヘウォンの恋愛日記』『ソニはご機嫌ななめ』

8/16(土)よりシネマート新宿にて<2作品>同時ロードショー!

韓国のみならずヨーロッパでも絶大なる人気を誇るホン・サンス。そのスタイルは韓国のゴダール、ロメールの弟子と評されるほどである。近年、特集上映をきっかけに日本でもファン急増している。加瀬亮を主演に迎えた最新作『自由が丘8丁目』(公開予定)を現在製作中。ますますホン・サンスから目が離せない。

そんなホン・サンスが2013 年に発表した新作2 本『ヘウォンの恋愛日記』『ソニはご機嫌ななめ』の公開が決定! 強い意志を持ったヘウォンが垣間見せる傷つきやすさや脆さ。猫のようにするりとすり抜けるソニの小悪魔的な魅力。タイプの異なる対照的なふたりの女性をめぐる恋愛スケッチ『ヘウォンの恋愛日記』『ソニはご機嫌ななめ』をご堪能ください!

『ヘウォンの恋愛日記』

恋すること、夢みること、わたしはいつも漂っている。
わたしはいつも日記をつけている。でも日記を書いているとなんだか眠くなってしまって……。

ヘウォンは大学生。妻子ある教授、ソンジュンとの関係は誰も知らない。そしてその関係に飽きてきた彼女は、もう終わりにしたいと思っていた。そんな矢先、カナダに移住する母親とソウルで最後のひと時を過ごすことになったヘウォン。母親との別れの後、寂しくなって落ち込んだ彼女は、寂しさをまぎらすかのようにソンジュンに連絡してしまうのだった。久しぶりに会ったふたりが夜の街を歩いていると、偶然クラスメートたちに出くわしてしまう。明らかになるふたりの関係。動揺するヘウォンに、ソンジュンは駆け落ちしようと言いだすのだが……。

年頃の女性が、現実と夢のはざまで抱える漠然とした不安と孤独を、ホン・サンスはごくシンプルに軽やかに、そして伸びやかに描く。ひとりの女性を見つめる的確なまなざし、女性から見たこの時代、ホン・サンスの新境地と言える。

「わたしはいつも誰かを待っている……」
恋と未来のあいだで揺れる感情を、新星チョン・ウンチェが熱演。
主人公ヘウォンに、モデルでも活躍し『超能力者』で映画デビューを飾った新星チョン・ウンチェ。ヘウォンの持つ強い意志の中に見せる傷つきやすさや脆さを絶妙に魅せる。イギリス留学経験があり、流暢な英語も披露しています。

本作に続き、ホン・サンス監督最新作『自由が丘8丁目』にも出演。ヘウォンの秘密の関係にある教授ソンジュンには、『アバンチュールはパリで』『教授とわたし、そして映画』に続きホン・サンス作品に登場となるイ・ソンギュン。妻子がありながらもヘウォンとの関係を終わらせることができない男のだらしなさや苦悩を、哀愁を漂わせ演じています。また、ホン・サンス作品の常連、ユ・ジュンサンとイェ・ジウォンが『ハハハ』で愛人関係にあったジュンシクとヨンジェとして登場。その後のふたりの終わらない関係をホン・サンス独特の反復の手法で表現しています。

『ヘウォンの恋愛日記』
2013 年 ベルリン国際映画祭 コンペティション部門 正式出品
Nobody’s Daughter Haewon
スタッフ
監督、脚本:ホン・サンス
撮影:キム・ヒョング、パク・ホンニョル
照明:イ・ウィヘン
録音:コ・アヨン
編集:ハム・ソンウォン、ソン・ヨンジ
音楽:チョン・ユンジン
製作:キム・ギョンヒ
キャスト
ヘウォン:チョン・ウンチェ
ソンジュン:イ・ソンギュン
ジュンシク:ユ・ジュンサン
ヨンジュ:イェ・ジウォン
特別出演:ジェーン・バーキン
2013 年/韓国/ビスタ/カラー/5.1ch/90 分
配給:ビターズ・エンド

『ソニはご機嫌ななめ』

彼女を、僕らはもう放っておけない。
世の中、もっとわたしの思う通りになってもいいんじゃない?

なぜか、しばらく姿が見えなかったソニは大学を卒業したばかり。かわいいんだけど、どこか小憎らしいキャラクター。でも男から見ればそれはまた別の話―――。まずはチェ・ドンヒョン教授の話から。ソニはアメリカ留学の推薦状を頼むため、教授に会いに久しぶりに大学を訪れた。教授が自分に好意を寄せていることを知っている彼女は、良い推薦状を書いてくれるようにしむけるのだった。

さて次は先輩の元カレのムンス。大学からの帰り道に偶然出会い、チキン屋でソニは、自分たちの恋愛話を映画に使ったとクダを巻く。でもどこか憎めないソニ。さてさて3人目は、映画監督のジェハク。彼もまた先輩、街角でソニと偶然再会し、酒を飲み、そのまま夜のキスシーン。ソニと彼女に気がある3人の男たち。しかし、自分たちの言葉を、本当のところ彼女がどう思っているのかわからない。男たちの間を猫のようにするりとすり抜けるソニ。彼女をめぐる四角関係が始まった!!

柔らかくうつろう季節の光の中で綴られるホン・サンス流恋愛コメディ。軽妙な会話と、女と男たちのビミョーな駆け引き。すれ違ったり、またくっついたり。でもやけにリアルなやり取りが女と男の視点の違いを浮き彫りにする珠玉の作品。

『ソニはご機嫌ななめ』
2013 年 ロカルノ国際映画祭 監督賞
Our Sunhi

監督・脚本:ホン・サンス
撮影:パク・ホンニョル
照明:イ・ウィヘン
録音:ソン・イェジン
編集:ハム・ソンウォン
音楽:キム・ミル
製作:キム・ギョンヒ
キャスト
ソニ:チョン・ユミ
ムンス:イ・ソンギュン
ドンヒョン:キム・サンジュン
ジェハク:チョン・ジェヨン
2013 年/韓国/ビスタ/カラー/5.1ch/88 分
配給:ビターズ・エンド