初老に差し掛かった男が感じた虚無感。人生の本当の喜びとは?『グレート・ビューティー 追憶のローマ』

卓越した美学と深い感動で全世界を魅了した
現代イタリア映画の最高傑作!

『イル・ディーヴォ-魔王と呼ばれた男-』(08)でイタリアの元首相ジュリオ・アンドレオッティの実像をパワフルかつスタイリッシュに描いてカンヌ国際映画祭を震撼させ審査員賞を受賞、ショーン・ペンを主演に招いた初の英語作品『きっと ここが帰る場所』(11)も、カンヌでエキュメニカル審査員賞受賞をはじめ各国で高い評価を受けるなど、今世界が最も注目するイタリアの新たなる巨匠パオロ・ソレンティーノ。

その最新作となる『グレート・ビューティー/追憶のローマ』は、フェデリコ・フェリーニ監督の『甘い生活』(60)や『フェリーニのローマ』(72)を彷彿とさせる映画的魅力と完成度で絶賛を浴び、ヨーロッパ映画賞最優秀作品賞、ゴールデン・グローブ賞最優秀外国語映画賞を受賞するなど各国の主要映画賞を総なめにし、さらに今年3月のアカデミー賞では、ロベルト・ベニーニ監督・主演の『ライフ・イズ・ビューティフル』(97)以来、イタリア映画としては15年ぶりとなる最優秀外国語映画賞受賞も果たした。

ローマの街を舞台に、すべてを得ながらも埋められない孤独と虚しさを抱えた一人の美の探究者が、人生の旅の黄昏に追い求め、悟った境地とは…? 映画はもちろん、イタリア芸術の歴史的名作の数々の芳香や痕跡を随所に感じさせながら、卓越した美学と深い感動で全世界を魅了する現代イタリア映画の最高傑作がここに誕生した。

偉大なる美が集う永遠の都ローマ
美の探求者が人生の最後に追い求めたものとは……?

ローマ。歴史的な建造物や美術品と最先端のファッションや現代アートが混在しながら偉大なる美と醜悪な偽物が集い、世界中からあらゆる人々が訪れる永遠の都。
ジェップ・ガンバルデッラはその街で成功を収めていた。今は有名人やアーティストへのインタビューを雑誌に寄稿するのを主な仕事としているが、40年前に発表した小説「人間装置」は高い評価を受け、大きな賞も受賞していた。その名声により、筆を絶って久しかったものの作家として文壇で一目置かれ、文化人としてその才能と知性を多くの人々に認められていた。

彼は65歳となった今も、毎晩のようにローマの街を徘徊し、様々なパーティーやレセプションに顔を出しては、美しい女性たちと酒、そして様々に心を病んだセレブたちに囲まれ、明け方まで乱痴気騒ぎに興じ、たわいない会話を繰り返していた。それは“俗物の王”を目指した彼が求めたものではあったが、それが空虚で無意味なことは彼が一番よく知っていた。自分の人生もすでに折り返し点を過ぎ、残り少なくなってきていること感じた彼は、自分がやりたくないことに費やす時間はないという境地に達していた。欲しいものをすべて手に入れたようで、彼は一番大切な何かをまだ見つけられずにいたのだった。

そんなある日、ジェップのもとに思いもよらぬ知らせが届く。それは、彼が心の中で想い続けていた初恋の女性エリーザの訃報だった。その知らせは彼女と長く連れ添った夫によって伝えられたが、夫の「35年間、彼女は君を愛し続けていた」という言葉に、ジェップはさらにひどく落ち込むのだった。

ジェップは、エリーザへの想いを消そうとするかのように、ローマの夜の喧騒にさらに身を浸していく。彼は、長い間会っていなかった旧友の経営するストリップ・バーで、旧友の娘でその店でダンサーをしているラモーナと知り合う。お互いの心の傷を共鳴させるように意気投合した2人は、連れだって食事やパーティーへ出かける仲となる。やがてラモーナとの時間はジェップにとって心の安らぎとなるが、ラモーナもまた彼の前から永遠に去っていくことになる。

ローマという不思議な街で、ジェップは多くの人々と出会いと別れを繰り返し、美しいものと醜いものを見続けながら、再び、筆をとろうとしていた。

『グレート・ビューティー 追憶のローマ』
2014年8月Bunkamuraル・シネマ他全国順次公開

http://www.greatbeauty-movie.com/
twitter:@GreatBeautyJP
facebook:https://www.facebook.com/GreatBeautyJP

監督:パオロ・ソレンティーノ『イル・ディーヴォ –魔王と呼ばれた男–』(08) 出演:トニ・セルヴィッロ『ゴモラ』(08)『イル・ディーヴォ –魔王と呼ばれた男–』(08)、カルロ・ヴェルドーネ、サブリナ・フェリッリ、ファニー・アルダン『8人の女たち』(02)『永遠のマリア・カラス』(02)

原題:La grande bellezza
2013年/イタリア・フランス合作/イタリア語/141分/シネスコ/カラー/DCP/5.1ch/日本語字幕:岡本太郎 PG12

提供:RESPECT(レスペ)
配給:RESPECT(レスペ)xトランスフォーマー
宣伝協力:Lem
後援:イタリア大使館/イタリア文化会館/イタリア政府観光局
© 2013 INDIGO FILM, BABE FILMS, PATHÉ PRODUCTION, FRANCE 2 CINÉMA  © Gianni Fiorito