嘘でもいいから傍にいたい……恋愛の“切なさ”に共鳴する『百瀬、こっちを向いて。』

誰もが経験する青春の危うさ
思い出には甘さと苦さが共存する 

15年前、僕の初恋は切ない嘘ではじまった。
「これは俺たち、3人の秘密だ」
誰しもが経験する初恋、忘れられないその記憶――。

『百瀬、こっちを向いて。』は「嘘」から始まる、恋愛物語。
好きな人と一緒にいたいがためにつく「嘘」でどれほど自分が傷つくのか、どれほど他人を傷つけるのか。本作には、思春期の恋に潜む危うさと残酷さが詰まっている。ノボルや百瀬が抱える切なくてほろ苦い想いは、性別や世代を問わず、恋をした事のある人なら誰しもが経験する胸のトキメキと痛みを呼び起こすだろう。
甘い恋物語が多い昨今、大人のノスタルジーを呼び起こす、少しビターな恋愛映画がここに誕生した。

権利争奪戦となったベストセラー小説が映画化!
原作は、2008年に刊行され、女性の圧倒的な支持を得てベストセラーとなった中田永一の同名小説。「恋愛の持つ切なさ全てが込められた、みずみずしい恋愛小説」と評された本著は、すぐさま映画化の企画があがり、映画化権は争奪戦となった。
原作はノボルの一人称で書かれた小説だが、映画化するにあたり、旬の美少女を主演にした往年の角川映画をイメージしながら百瀬の描写にも注力。世代や時代を越え、幅広い年齢層に響く物語を構築している。脚本を担当したのは恋愛小説家としても活躍する狗飼恭子。恋の芽生えとそれを育む過程で知る痛みのエピソードを繊細に綴っている。

監督は全国の映画館で流れる「NO MORE 映画泥棒」などの演出を手掛け、CMやPVなどの映像作品で高い評価を受ける耶雲哉治。本作で長編映画デビュー。かの岩井俊二作品を彷彿とさせる叙情的な映像と、ときにコミカルなタッチで、15歳の日常生活のきらめき、思い悩む姿、思春期特有の脆く残酷な世界を映し出している。

 

恋愛に対して不器用だった
自分を傷つけることも知らず…… 

高校卒業以来、久々に故郷に降り立った、相原ノボル(向井理)。文学新人賞を受賞した記念にと、母校からの依頼で講演をする為、帰省してきたのだった。

変わらない街並みに触れたノボルは、高校時代のある「嘘」思い出す・・・。

15年前。ノボル(竹内太郎)は高校に入学してから、他人と上手く関われない自分は女の子とは一生縁が無いと諦め、冴えない日々を送っていた。そんなある日、幼馴染で学校一の人気者の先輩・宮崎瞬(工藤阿須加)に突然呼び出され、そこでショートヘアで野良猫のように鋭い目つきの女の子を紹介される。彼女はノボルの隣のクラスの百瀬陽(早見 あかり)といい、ノボルは百瀬と付き合うことになる。
「これは3人の秘密だ」

瞬には神林徹子(石橋杏奈)という本命の恋人がいた。が、最近一部で瞬と百瀬がつきあっているという噂が流れ、徹子に疑いを持たれて瞬は困っているという。そこでノボルと百瀬が付き合っている「フリ」をする事で、その噂を消そうと考えたのだった。
この「嘘」は百瀬が提案していた。ノボルを隠れ蓑にしてでも大好きな瞬と一緒にいたかったから。
ノボルは「嘘」を受け入れた。ノボルにとっての瞬は、幼い頃から尊敬していたお兄ちゃんだったから。
ノボルと百瀬。それぞれの想いをのせ、2人は「嘘」の恋愛関係を始めていく。【原作】中田永一『百瀬、こっちを向いて。』(祥伝社刊)

 

『百瀬、こっちを向いて。』
5月10日(土)、新宿ピカデリーほか全国ロードショー
http://momose-movie.com/
配給:スールキートス

【監督】耶雲哉治(ROBOT所属) 【脚本】狗飼恭子
【出演】早見あかり 竹内太郎 石橋杏奈 工藤阿須加 ひろみ(第2PK)・向井理
【主題歌】WEAVER「こっちを向いてよ」(A-Sketch)
【企画・制作プロダクション】ROBOT
【配給】スールキートス
2014年/109分/ビスタ ©2014映画「百瀬、こっちを向いて。」製作委員会