年収300万円だからこそ、豊かで幸せな毎日が送れる!? 目からウロコの『プア充』的生き方とは?

年収300万円は実は幸せへの道!?

主人公・ヒロシは30 歳でIT 系企業につとめ、年収450 万円もらっているが、激務のため、友だち付き合いも減っていた。仕事のストレスをお酒や買い物で発散しているため、貯金は15 万円しかない。
ある日、大学時代の恩師・島崎と出会い、今の日本では年収300 万円の「プア充」が一番幸せだと教えられる。最初は「年収300 万円で、幸せになれるはずない」、とバカにしていたヒロシだったが、理想にしていた上司が過労で倒れ、しかも上司は家庭不和で離婚寸前だったことも知り、今の会社で働き続けていくことに不安を感じる。
そこで、恩師・島崎から「プア充」について教えてもらい、その核心に触れるにつれ、考え方が変わり始める。さらに、ヒロシの会社が倒産したことで、ヒロシは「プア充」生活をどんどん実践していくようになる。
収入こそ減ったものの、それまでとは比べ物にならない心の余裕や幸せを感じ、「プア充」こそ、これからの生き方としてふさわしいと感じるようになっていく…。

「リア充」と「プア充実」

「プア充(ぷあじゅう)」とは?
少ないお金(プア= Poor )だからこそ、豊かで幸せに生きていけるという考え方。著者の造語。「リア充(りあじゅう)」(現実世界で充実した毎日をおくる人。元は「2ちゃんねる」用語)の派生語。「リア充」は、2006 年末ごろ、大学生活板において「リアル充実組」に対する屈折した羨望を表す概念として発祥し、その後、学生以外にもネット造語として広まる。2007年夏頃からブログやtwitter で流行。2010 年以降は、一般に浸透した。

「リア充(りあじゅう)」とは?
実際の現実の生活(リアル生活。Real 生活)が充実している人間のこと。恋人や友人付き合いに恵まれるサークル活動や飲み会へ参加するオタク以外の趣味を楽しむ などなど。「2 ちゃんねる」の「大学生活板」や「VIP 板」のような、ネット上でヒマを持て余す人たちのたまり場で広まり、認識された概念が由来。「オタク」は「リア充」を疎ましく感じており、「リア充爆発しろ」などと発言することもしばしばある。

リア充
リアル生活が充実している人間はネット上で憂さを晴らす必要などがない。
VS
非リア充
リアル生活に不満があるため、掲示板を荒らして楽しんだり煽ったり、自虐的な書き込みをして憂さを晴らす。

「年収300 万円」ってどんな人?

給与が上がることを期待できない時代に入って、いよいよ「年収300 万円」世代は増えています。年収300万円は、ボーナスなしの場合、平均月収が25~30 万円程度。ワンルームに住む独身の会社勤めの男女が平均的な姿です。
① 【プア充が目指す「年収300万円」ってどんな職業の人?】
月収25 万円でボーナスなし。町を歩いていると張り紙でよく見かける。書店員、美容師、福祉関係、保育士、タクシー運転手、警備員、ファミレス・居酒屋チェーンの社員など。
② 【①の人はどんな生活をしている?】
あまり外食や飲み会は行かず、ゴルフのようなお金のかかる趣味はしない。自動車や不動産を購入しない。お金がないため、貯金はできない人が多い。

こんな人がプア充実だ!

>年収は300万程度。それ以上は稼がない
>ローンを組んで、家や自動車を買うな
>仕事にやりがいを求めてはならない!
>お金が無くても「待つ」ことで快楽は味わえる!
>プア充になるための3つのポイント
・外食をしない
・規則正しい生活
・ストレスをためない
>貯金が無くても子供をつくるべき!
>まずは相手に迷惑をかけるべき
>働きすぎてはいけない!
>地方に住まない! 都会に住む!

プア充はこんなにいい!

①お金に対する執着が消える
普通の人は、300万円稼ぐと、400万円ほしくなり、400万円稼ぐと500万円ほしくなり、いつもお金に執着している。だが、「プア充」は、お金は年収300万円程度で充分で、それ以上稼ぐことのリスクとデメリットを理解している。そのため、お金に執着がない。

②次から次へと仕事が見つかる
年収300万円程度の仕事(ボーナスなしの場合、月収25万円程度)は多い。そのため、何らかの事情で会社を辞めることになっても、次の仕事がすぐに見つかる。

③極端な残業をしない毎日
残業をほとんどしない、古くてださい(?)会社で働く「プア充」は、体を酷使することなく健康的に生活できる。

④うつ病にならない
「プア充」は、仕事にやりがいを求めず、収入アップも望まないため、過酷なノルマに耐える必要がなく、精神的に楽。ブラック企業とは大違い!

⑤会社の倒産やリストラも怖くない
「プア充」は賃貸に住み、ローンを組んで家を買わないので、たとえば会社が倒産したり、リストラにあったりして給料が大きく減っても、給料に見合った家にすぐに引っ越せる。

⑥ご飯が美味しい
自由な時間が増えるので、朝食や夕食の調理に時間をかけられる。ご飯は土鍋で炊いたり、著者・島田裕巳氏の推薦の「ホットプレート料理」を作れば、お金をかけずに美味しい料理が毎日食べられる。

⑦お金持ちより楽しく生きられる
実は、お金がないほうが楽しいことは多い。たとえば、旅行を計画したとき、出発日を待っている時間が実は楽しいもの。けれど、お金持ちで旅行に頻繁に行く人は、待つことにも慣れてしまい、その楽しみを味わえない。

 

島田裕巳( しまだ・ひろみ)


宗教学者、作家、NPO 法人葬送の自由をすすめる会会長。1953年、東京生まれ。東京大学文学部卒業、同大学大学院人文科学研究会博士課程修了(専攻は宗教学)。放送教育開発センター助教授、日本女子大学教授、東京大学先端科学技術研究センター特任研究員、同客員研究員を歴任。通過儀礼(イニシエーション)を主軸として、既成宗教、新宗教に造詣が深く、宗教現象、新宗教運動も研究している。葬式、戒名、死との向き合い方、生き方に加えて、文化と宗教の観点から冠婚葬祭、宗教学の視点からビジネスや金融経済など、幅広いテーマで執筆する。30万部を超えた『葬式は、要らない』ほか、『浄土真宗はなぜ日本でいちばん多いのか』『神道はなぜ教えがないのか』『新宗教儲けのカラクリ』『7大企業を動かす宗教哲学』など著書多数。