菅原文太が在野17人と型破り対談!人力を取り戻せば、ニッポンは甦る!『ほとんど人力』

「人力をないがしろにしたら人間力は衰える。
今の日本に必要なのはカネや権力におもねらない型破りの人間だ!」
(菅原文太)

菅原文太の呼びかけに、各界の錚々たる面々が集結した。17人の「達人」と、菅原文太がさまざまな社会ネタで、熱いトークを繰り広げる型破りの対談集。
「のど元過ぎれば……」で日本はまた戦争をするのか、アメリカやアジアとどう付き合っていけばいいのか、TPPは? アベノミクスの行き着く先は? そして、原発、沖縄、私たちがふだん口にしている野菜やハンバーグの怖い話まで。いまの日本が直面している問題に鋭く切り込む。

●金子兜太 (俳人)

水脈の果て 炎天の墓碑を 置きて去る
祖国のため、家族のためと戦争に駆り立てられた仲間が太平洋の島で、目の前で次々と死んでいく…。戦後俳句を牽引してきた金子氏の一言ひと言を、私たちは深く胸に刻みつけるべきではないか。
「戦死は非業の死」「戦場ではみながエゴイストになる」「秩父事件は暴動だったのか?」「国とは故郷のこと。天皇ではなく」

●樋口陽一 (憲法学者)

第九条は国民を守る要塞。壊したら国民を守れない
日本国憲法は、本当は誰がつくったのか。そして日本を守るために、憲法を改正するべきなのか。仙台一高の後輩でもある、憲法学者の第一人者に聞く、憲法に込められている精神と、改正の是非。
「憲法は丸ごと押しつけられたものではない」「天皇=象徴と位置づけたのは?」「天皇の身の安全と引き換えのための戦争放棄?」

●堀田力 (弁護士)

まやかしの集団的自衛権
大メディアにたびたび登場する「集団的自衛権」という言葉。国際紛争解決のために武力行使はしないと定めた、憲法第九条をうまくかいくぐるために使われ始めた。
「例外的規定が常態化した集団的自衛権」「アジアで日本が果たすべき役割とは?」「アメリカは日本の参加を望んでいない?」

●相場英雄 (作家)

『震える牛』に震えてしまった
元・通信社記者の作家が綿密な取材をもとに出版したベストセラー『震える牛』は、消費者を欺く企業、安全より効率を大事にする社会の縮図を描いている。
自分たちの命を脅かすものを、人間はなぜ作るのだろう。
「安ければそれでいいのか?」「実は”雑巾”と呼ばれるハンバーグ工業製品」「宴の後始末が始まった」「日本につける薬はない」

●大石又七 (第五福竜丸元乗組員)

第五福竜丸と原発は、深く結びついている
太平洋真っ只中のビキニ環礁で、小さな木造の船に乗った23人が、アメリカの水爆実験で放射能を浴びたにもかかわらず、日米政府は事件をもみ消し、そして原発が導入された。
「地球は放射能まみれなんだ、とっくに」「あのときは不運続きの航海が続いていた」「国が国民を守った歴史はない」

●中村哲 (ペシャワール会現地代表)

ほとんど人力(じんりょく)
戦乱のアフガニスタンの沙漠で人々の生命線でもある水を届けるために自ら土木工事に挑み、3,500ヘクタールの農地を回復、15万人の帰農を成功させた医師、中村氏は、現代の田中正造だ。
「水があれば何でもできる」「ほとんど人力」「”考える人”よりも二宮金次郎の銅像でしょ」「義を見てせざるは勇なきなり」

●大田昌秀 (元沖縄県知事)

沖縄の苦闘、本土の怠慢
非武の国に戦争が持ち込まれ、いまだに居座り続ける米軍。沖縄の若者たちは、埒が明かない現状打破のために、日本からの独立を求める声を上げ始めたという。
「戦争を知らなかった非武の国」「沖縄はいまだに戦利品」「いつか沖縄は独立に向かう」

●丹羽宇一郎 (前駐中国大使)

対中関係とアベノミクスの行き着く先
アジア各国に、強気な姿勢をとりつづけることが、日本の国益となるのだろうか。
前中国大使の丹羽氏に、ズバリ聞いてみた。
「軍帽にサーベルが日本人のイメージ」「中国に負けたという意識がない日本」「仲良くすることがお互いの国益」「どうなる?アベノミクス」

●副島隆彦 (民間人国家戦略家)

●アメリカの策謀で、アジア人同士戦うな
領土問題で緊張が走る中国、韓国と、日本は戦うべきなのか。アメリカの謀略を暴き続けてきた副島氏と、アジアの国々とどう付き合っていくべきかを語る。
「お人好し日本人よ、ダマされていないのか?」「アメリカが日本の権力を操っている」「アジア同士で戦わせるアメリカの策謀」

●古賀茂明 (元経産省)

TPPぐらいのことがないと変わらない
未曾有の大震災、福島第一原発事故が起きても、一向に変わる兆しのない日本。経済産業省で改革派の旗手として活躍するも、官僚を辞さねばならなくなった古賀氏に聞く官僚の壁。
「変わっては困る人たちが中枢にいる」「改革の灯は地域から?」

●松島令 (作家・経済評論家)

大災害は日本の構造転換のチャンスだ
大震災と大津波を経験した仙台在住の作家、松島氏が、震災後に『平成「方丈記」』を著した。天変地異、戦乱の平安京で書かれた名著が、この大災害で考えるべきことを教えてくれるからだ。
「この世の終わりかと思った」「”国家非常事態宣言”は出せなかったのか」「『方丈記』と3.11以降」「東北は真の復興の開発力を秘めている?」

●関野吉晴 (探検家・医師)

人間は生き残れるのか
科学は、もはや発明した人間がコントロールできない領域にまで踏み込んでいるのではないか。人類の起源を辿って、南米の最南端からアフリカまで、53,000kmを旅した関野氏と探る人類の行く末。
「二千世代遡れば人間は共通祖先から出た」「童謡を歌って助かった」「弱い人が遠くまで行った」「利巧なヤツの考えるバカな計画」

●野口勲 (野口のタネ代表)

誰も知らないタネの怖い話
福島第一原発の事故は、効率・収益優先の日本に警鐘を鳴らした。私たちが日常口にしている農作物も、まさに利益優先の品種改良を重ねてきたことで、とんでもない状況になっていることをご存じでしょうか。「いまの野菜のタネは一代雑種ばかり」「F1種は人間で言えば無精子症」「人間も祖先を残せなくなる?」「TPP参加でもたされること」

●西部邁 (評論家)

近所と家族があれば、最低生きていけるよ
人々を幸せにしてくれるはずの科学文明は、もはや制御不能の怪物となって居座ってしまった。自分たちが土壇場に立たされていることを、しっかり見据えることが先決ではないだろうか。
「民主主義は敵である」「若者に恋愛が成立しない理由とは?」「技術が安全であるはずがない」「不確実な未来で信頼に足るもの」

●黒田征太郎 (イラストレーター)

アートも人間も土に還れ
アメリカに憧れてニューヨークに17年住んでみたら、日本のことが見えてきたという黒田氏。日本は戦争をなかったことにしようとして、ヤスリをかけられてツルツルになってしまったのか。
「大型漂ブツ黒田征太郎」「ヤスリでツルツルにされた日本人」「野坂、文太、両先輩から学んだこと」「五流、六流の国でいいんだ」

●吉田敏浩 (ジャーナリスト)

人は消耗品でいいのか
TPP問題では経済だけがクローズアップされているが、その先に待っているのは、日本の平和すら脅かされるのではないかという不安だ。「戦争のできる国」に変わらないためにできることとは?
「民間も米軍への協力を約束させられた法律を知っているか」「親分アメリカの手兵、醜い官僚たち」「若人も労働者もタレントも”資源”とは呼ばせない」

●鳥越俊太郎 (ニュースの職人)

清潔社会がもたらす罪
この対談は、在野の精神を持ち続けるアウトサイダーたちが、集まって語り合う場にしようとスタートした。世界一といっていい清潔国家になった日本は、はみ出し者を排除する社会に向かっているのではないか。「不気味な”無菌”社会」「まかり通る“市民=正義”という論理」「憲法を変えずに日本を変えようよ」「在野の精神が日本を変える」

 

[Profile]菅原文太(すがわら・ぶんた)
農業生産法人「株式会社竜土自然農園」代表。
1933 年、宮城県仙台市生まれ。仙台第一高校卒、早稲田大学中退後、新東宝にスカウトされ「白線秘密地帯」で映画デビュー。「仁義なき戦い」や「トラック野郎」シリーズをはじめ多数の映・TV に出演。2007 年膀胱がんを発症し、温存療法で克服。2009年山梨県北杜市で農業生産法人を設立。2012 年12 月5 日、菅原氏の呼びかけに応じた、京セラ名誉会長・稲森和夫氏、作家・野坂昭如氏、梅原猛氏、鳥越俊太郎氏など約50 名の賛同者の集まり「いのちの党」(政党ではない)を旗揚げした。

 

『ほとんど人力』
菅原文太
小学館
2013年7月16日発売