ホリスティックケア・プアマナの宇宙の法則・身体の法則 PART.26 生姜を食べたら良くなりますか?

生薬はチームで働く

横浜で女性のライフステージに合わせた鍼灸・美容鍼灸・疏泄マッサージの施術をさせて頂いているホリスティックケア・プアマナ(puamana)です。

多くの女性が冷え性に悩んでいることから、生姜が配合された様々な製品が市販されています。患者さんからも、「生姜は食べてもよいでしょうか?」というご質問を良く頂きます。というのも、ネットを見ると

■生姜は食べてすぐは身体を温めるが、しばらくすると冷やす作用があるので冷え性には向かない
■手足に冷えがあっても、胃に熱がある場合には逆効果になる

など、諸説があり、研究熱心で知識の豊富な方ほど迷いやすい状況になっているようなのです。まず、生姜に限らず食べ物を選ぶときに認識しておいて頂きたいのは

■栄養はチームで働く
■食材は薬ではない
という点です。

漢方薬の実に70%に配合されているともいわれている生姜は、体を温めるという作用の他、殺菌作用や去痰(痰を切る)、腹痛、胃痛にも効果があるのが知られています。 生姜がこれほど多くの漢方に配合されている理由は、効き目が多岐にわたるということではなく、大棗(ナツメ)と一緒に用いることによってほかの生薬の薬理作用による副作用を避けることができるからでもあるのです。あるいは、ニンジンのカロテンは油と一緒に摂取すると吸収が高まることが良く知られています。これがチームで働く、ということ。漢方薬も、例えば葛根湯には葛根、麻黄、桂皮、芍薬、甘草大棗、生姜という、7つの生薬が配合されて始めて薬として、ある症状に対応する力を発揮するのです。

漢方の材料は「生薬」とも呼ばれ、薬膳という食事を利用した療養法も存在するので、誤解もしやすいのですが、薬膳は数多くの食材を漢方薬のように組み合わせて最大の効果を上げる処方であることは皆様ご存じのとおりです。マスコミや市販の栄養食品では目新しさと分かりやすさ、そして売り上げを上げるために「これを食べれば!」「これさえ摂っていれば!」という宣伝の仕方をするわけですが、リンゴだけを食べ続ける、バナナだけを食べ続ける、というダイエットが結果的には逆効果なように、生姜を食べたからと言ってそれだけで冷え性が治るというわけではありません。

漢方の考え方による生姜をとった方が良い人
摂りすぎないほうが良い人

漢方、薬膳、マクロビオティック、そして成分分析による栄養学。食材や生薬としての考え方には、どれも少しずつ違いがあるようですので、ここでは漢方の考え方に基づく生姜の効能についてお話ししたいと思います。

生薬としての生姜の効能には、大きく分けて生の生姜と乾燥した生姜の二つのものがあります。紀元前から漢方薬として使用されていた当時には、もちろんそんな考え方はなかったのでしょうが、現在では生の生姜の有効成分はジンゲロール、乾燥(加熱)した生姜の有効成分はショウガオールとして知られています。

大きな違いは、ジンゲロールは、表面の熱を取り去る、ショウガオールは、身体の深部で熱を生む。という点です。
このため、風邪のひき初めにすりおろしたショウガを入れた生姜紅茶を飲んだり、梅番茶におろし生姜を入れて飲むのは殺菌効果と熱を取り去る効果が期待できるため、非常に理にかなっています。

反対に、
■胃に熱がこもっている人:むねやけ、口が渇く、便秘、下痢、嘔吐、空腹感が強いなど
■陰虚の人:手足がほてる、口が渇く、不眠、よく夢を見る、便秘、肌が乾燥するなど

の自覚がある方は、生姜をあまり摂りすぎないほうが良いとされています。

ただし、生姜はあくまで食品ですので、薬味や料理の香りづけのために入っているものまで避けたり、気になさる必要は全くありません。