エネルギッシュなインドの現実と未来をぎゅっと詰め込んだ 『スタンリーのお弁当箱』

お弁当ひとつに様々な人生がある

映画大国インドの新たな才能!笑いと涙が詰まった“おいしい”大ヒット映画! ミュージカルがない、スターがいない、とにかくかわいい!娯楽映画が主流のインドで、常識を覆した新しい映画スタイルが話題になり、予想外の大ヒット!シナリオを作らず、素人の子供たちだけを集めて撮影すること1年半。完成した映画を見て気に入ったインド映画界最高のヒットメーカー、カラン・ジョーハルの目にとまり、フォックス・スター・スタジオから配給が決まったという奇跡の映画。

 

いつもみんなを笑わせてくれるクラスの人気者スタンリー。しかし彼は両親がいない家庭の事情でお弁当を持ってくることができない。昼食の時間は一人ぼっち。水道の水を飲んでしのいでいる。そんな彼の姿を目撃したクラスの友達は、彼を助けようと自分のお弁当を分けてあげる。しかし、食い意地の張った先生に見つかり、取り上げられてしまう。

 

貧富の差が激しいインド社会。家が裕福な生徒は豪華な昼食を食べ、ある生徒はパンと野菜だけのシンプルな昼食。そしてスタンリーには昼食は無い。昼食で明らかになる格差。そしてそれは教師もしかり。質素な昼食を食べる教師は、スタンリーが友達から昼食を分けてもらっている様子を見て、スタンリーに対して「もう学校に来なくていい」とまで言われてしまう。そしてスタンリーは落ち込み、学校に来なくなる……。
明らかな格差も、彼らにとっては、もしかしたら当たり前のこと。しかし水面下では彼らの心に確実に影を落としている。とはいえ、スタンリーをはじめとする子供たちの瞳はきらきらと輝き、笑顔もとても純粋。そのギャップがこの作品の見どころかもしれない。

物語のラスト。豪華なお弁当を持って現れたスタンリーに友達は驚く。以前はお弁当を持って来れなかったスタンリーが、お弁当を持てるようになった訳とは? ハッピーエンドともアンハッピーエンドとも言えないインドの現実が垣間見えるが、エネルギッシュなインドの根底を支える人々の底力も感じる作品だ。

「スタンリーのお弁当箱」
2013年夏、シネスイッチ銀座ほか全国公開!
制作・脚本・監督:アモール・グプテ、出演:パルソー、デイヴィヤ・ダッタ、ラジェンドラナート・ズーチー
2011/インド/96分/カラー/16:9/ドルビーデジタル
提供:メダリオンメディア
配給:アンプラグド
© 2012 FOX STAR STUDIOS INDIA PRIVATE LIMITED. ALL RIGHTS RESERVED.公式サイト http://www.stanley-cinema.com/
Twitter:@stanley_obentou

 

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