古代中国医学の考え方「五臓六腑」とは その7~胆は決断力を司る

古代中国医学の考え方「五臓六腑」とは その7~胆は決断力を司る

皆さん、こんにちは。美容鍼灸師の折橋梢恵です。2月も半月が過ぎ、梅の開花を目にする機会が増えてきました。まだまだ寒い日もあるとはいえ、少しずつですが、春の訪れを感じる今日この頃です。さて今まで5回に渡り、「五臓の働き」についてお話をしてきました。今回からは、五臓と深い関係をもつ六腑についてお話をしていきたいと思います。

内臓は、中身が空洞か満たされているかで区別する

現代医学において、臓腑は内臓を意味し、臓と腑を分けて考えることはありません。しかし、東洋医学(中医学)では、この臓と腑もその働きや特徴から臓が陰で、腑が陽と当てはめています。この二つの違いは、臓腑の中身が満たされているか、満たされていないか(空洞化であるか)ということです。臓は、もともと精気が満たされており、それ自体で働きを成しています。腑は、食べ物を運ぶ役目があるため、通常は中身が空洞になっており、食べ物が入ってきた時だけその役割を担います。これが臓腑の大きな違いと言われています。臓については、前回までに、肝、心、脾、肺、腎の5つについて詳しくお話をしてきました。今日からは腑の胆、小腸、胃、大腸、膀胱、三焦の6種類についてお話をしていきたいと思います。

「胆」は、消化を助けるとともに物事の判断を下す働きがある

それでは、ひとつめの腑である「胆」についてお話をしていきます。皆さんが「胆」と聞いて頭に思い浮かぶのは「胆嚢」といわれる臓器だと思います。現代医学での「胆嚢」の働きは、肝臓で作られた胆汁を濃縮して蓄える役割があります。またこの胆汁は、必要に応じて十二指腸に排出され、脂肪の消化を助ける働きをもっています。では、東洋医学(中医学)での「胆」は、一体どのような働きをするのでしょうか? その働きについて見ていきたいと思います。中医学における「胆」の主な働きとしては、以下の2つがあります。

①胆汁を一端貯蔵して、その後小腸に送り、消化を助ける働きを持ちます。
②物事を判断して決断を下す決断力と深く関係しています。

①については現代医学と同様の働きを担っています。②の「決断力と関係する」という考え方は、中医学独特の考え方だと思います。つまり、この胆の働きが低下すると決断力が鈍り、優柔不断になったり、行動力の低下がみられるようになります。また昔から肝が据わっている人というのは、胆力が充実しています(胆力とは物事に動じない気力のこと)。そのため冷静で正しい決断を下すことができます。胆と肝の関係は、五行分類で同じ木の分類に当てはめられており、この2つの臓腑は互いに影響しあっているといえます。

臓腑の状態が感情や精神にも影響を与える

臓腑がしっかりしているか弱っているかによって、感情や精神にも影響を与えていることが伺えます。また、鍼灸の古い書物には、「胆は中正の官」と記されており、公正な判断はここで下されることを意味しています。つまり、中正の官とは、現代の裁判官を意味し、胆の役目は常に私たちの身体が良い状態で保たれるように公平な判断を担っていることを意味しています。このように東洋医学(中医学)では臓腑の機能だけではなく、それぞれの意味や役割を大切にしています。そのため、私たち鍼灸師は、優柔不断だったり、決断力がないことなどの精神面に対しても治療を行う際の重要な要素として捉えているのです。

次回は、2つめの腑、「小腸」についてお話をしたいと思います。

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