「蒼月紫野の石と幸せに暮らすHappyLife」パワーストーン生活をステップアップ!PART.10

晴れた日に石初心者さんはハインリヒを連れて森林公園にきていました。心なしか鞄の中のハインリヒも機嫌が良さそうです。何か歌を口ずさんでいるようですがよく聞き取れません。楽しいんだよね、きっと。そう思い聞いてみることにしました。
「ご機嫌だね、ハインリヒ」
「うん、そりゃ楽しいよ、自然がいっぱいで。静かな森とかもいいなあ、ここはここで楽しそうなんだけど、色々な人がいるからね、袋から出てくつろげないかも」
「ああ、そうか袋から出しにくいものね」
「奥には湖があって静かだからそこに行く?」
「いいね。行こう」

二人は人気が少ない方の道を歩き出しました。森林公園の地図でもかなり奥の地域です。時折人が歩いてくるので全く無人というわけでもなさそうです。
「ハインリヒ、着いたよー」
「うわぁ素敵な場所だね。僕、気に入ったよ」
今は晩秋なので木の葉は地面にも木にもあり、歩くとさくっと音がします。常緑樹もあるので緑と紅葉と両方楽しめる場所でした。その奥には神秘的な雰囲気をたたえた湖がありました。
「この水の中に入りたいな」
「ええー寒いよ?」
「いや、僕、石だから。マスター、前日にザルを鞄にいれたよね?」
「あ、そっか」
鞄からとってつきのザルをとりだし、ザルのなかにハインリヒをいれました。
「じゃあ、湖の神様にお世話になりますって言ってから僕を入れてね」

こういうときにいきなりザブッと入れてしまう人もあると思いますが、そこの地域の神様などに祈りを捧げてからの方がよいです。気持ちよく過ごせるようにお祈りを捧げ、ごみなどは持ち帰りましょう。またいらないパワーストーンを捨てる人もいるようですがそれは御法度ですのでやめましょう。

「よし、神様にお祈りした。これでOKかな?」
「うん、僕にも神様からOK がでたよ」
「じゃハインリヒの水浴び開始だねー」
そっと湖の水にザルを浸します。そしてそっとザルを動かしました。心なしかハインリヒが綺麗になっていく感じや喜びが伝わってきます。石初心者さんはとても嬉しくなりました。
でもなぜ自分にはこんな事が分かるのでしょうか?ふと疑問に思いました。ハインリヒと話せるのもよく考えてみると不思議です。でも今はそれを考えるよりハインリヒに十分元気になって貰う方が大事ですので、一度それらの考えは頭にしまうことにしました。
「そろそろ水からあげるよ」
「うん、いいよ」
水からあげたばかりのハインリヒは美しく、瑞々しい感じです。お店にいたときより段違いに綺麗になっています。ハインリヒをよく拭いて、いつもの袋の中に入れ、ザルも鞄にしまいます。

だいぶ時間がたっているので寒くなってきました。いそいで石初心者さんは家に帰ることにしました。電車に揺られながら、なんで石とふつうに話せるのか疑問に思いながら……。

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