愛と癒しのカリスマライター小野綾子の解毒日和 vol.3

自分の住む世界

この夏、世間を騒がせていた芸能人の薬物事件は、私にとっては他人事ではなかった。実はその人物と、長くお仕事をさせていただいていたからだ。私のところにすらも取材の申し込みがきたりして、その報道合戦の凄まじさにも驚いたのだが。ニュースで一報を見た時、正直、現実のことと認識するまでには、ずいぶんと時間がかかったほどだった。

 

どうしてあの子が……? 私の知っている人物と、報道されている人物とは、まるで別人のようだったから。

 

知っているようで、人を知るというのは難しいことなのかも知れない。そして知らない別の顔というのが、必ずしも自分の知っている顔から想像できるものでもないのだと、そんなことを実感した。それは多分、一人の人間がまるでジキルとハイドのように二重の人格を持っていたということではなくて、たまたまつきあっていた人たちが、全く違う別の世界だったということだったのだと思う。

 

人の気持ちを人一倍に察する人は、ともすると自分というものを押し殺してしまうことがある。ここでNOを言ったら、この人が傷つくのではないか、と。そんなふうに気を使うことの多い人間関係を続けている人の中には、考えるより反射的に、相手の気持ちを読んでしまうことが少なからずあるのではないかとも思う。

 

その人間関係が、善良にして、良識的な場合ならまだいい。けれど、そんな無菌状態のまま、危うい人間関係の中に飛び込んでしまったなら。これも時代だなと思うのだけれど、昨今は、事件を起こして世間を騒がせる人の顔が、みんなどこにでもいるような顔をしていて、これがまた、わかりにくいと思うのは私だけだろうか。

 

事件は、世間を揺るがすほどの大きなものだった。けれど、その人の、少なくとも一部を知っていた私にとっては、誰の周辺にも、すぐ横にある落とし穴のように思えてならなかったのだ。自分が、どんな世界に人間関係を構築していくか。実は、そんなことが、自分の未来を大きく変える。

 

いつだったか、印鑑を作っていただいた人から、かなり気になることを言われたことがあった。そして、次々に、その言葉を裏付けるような出来事が起こってきたのだ。このままでは、言われた通りになってしまう! どうしてもその予見された未来が嫌だった私は、この言葉を気にかけることをやめた。その変わりに、自分に都合のいい未来ばかりを思い描いてみることにした。するとどうだろう。そんな子供じみたおまじないのようなことをしただけなのに、自分の意識を向けた方角に、物事が動き始めたのである。付き合う世間も自分の世界を決めるが、自分の意識も未来を変える。その差は、ほんの少しの気持ちの持ち方なのに。

 

以前、都会の風水スポットとしてご紹介した品川のストリングスインターコンチネンタルホテルのフレンチレストランで、土日、祝日のランチに、ドンぺリニヨンをフリーフローで楽しめるメニューがスタート(12月20日まで)。ひとり一万五千円で、このメニューは素敵です。このホテル、シャンパン好きの私のストライクゾーン企画を連発してくれる場所。いわゆるホテルが打ち立てるラグジュアリー企画には、企画倒れのものも少なくないのだけれど、ここのお食事、本当に美味しい実力派で、ハズれたことがないのです。ぼーっと街並みを見下ろしながら、ゆっくり流れる時間。豊かになれますよ。 インターコンチネンタルホテルのフレンチレストラン