心の奥深くに問いかけてくる「エミリーローズ」は神聖な映画。DVDが出たらぜひ見て!

実は私は大の映画館嫌い(映画関係者の方ごめんなさい)。

あの閉鎖された空間が苦手…なのです。でも、「エミリー・ローズ」は映画館で観ました。TVコマーシャルで体が変な風に曲がり、この世のものとは思えない声でしゃべるあの恐ろしいシーンを観たとき、思わず固まってしまった。

観たい、怖い、いや観る、だめ無理…心のなかでしばし葛藤。

私ってこんなに怖い物好きだっけ? 怖いもの見たさでこんなに心が動くなんてそんな自分がなんとなくいや~! それでも不思議と心に湧き上がってくる「エミリー・ローズ」の呼ぶ声。しかし、ホラー映画をたくさんの人が暗い空間にいる映画館で見るなんてあり得ない。 というわけで、忘れてしまうことにしました。

それでもなぜか、映画が見たくなって別な映画を見るために映画館へと行くことに。映画館なんて20年のうち5回位しか行ってない…。チケットとポップコーンを買って準備万端。しかーし、同時刻にエミリー・ローズが上映されるではないか! なんで、どうして? 勝手に足はチケット売り場へ。「このチケット、エミリー・ローズと換えてください」。「今回だけですよ」と売り場のお兄さんに言われつつ、覚悟を決めてなかへ。

 

映画は裁判を中心に進められる。エミリー・ローズという女の子が大学に入ってまもなく、いわゆる“悪魔つき”のような状態となった。病院では彼女を脳、もしくは神経の病気と判断をした。薬を飲んでも刻一刻とひどくなり、彼女の心と体を蝕んでゆく悪魔つきのような症状。神を信じるエミリーは神父のリチャードに悪魔祓いを依頼する。しかし、悪魔祓いは失敗をし、エミリーは変わり果てた姿で死んでしまう。彼女の死は神父の判断の間違いのせいか、それとも本当に悪魔は存在したのか。物質主義に生きてきたやり手弁護士が神父の弁護につくことになった。彼女はこの現実をどう受け止めていくのか。裁判の行方は?

この映画は実話だそうだ。ローマカトリック教会はエミリーに悪魔が取りついているのを正式に認めた。しかし悪魔がいるということは神もいるということに他ならない。

 

なぜ、神はエミリーの悲痛な叫びを聞き届けなかったのか?

見終わる頃には頬に涙が。エミリーは悪魔に取りつかれてはいても、その心は最後まで清らかだった。いつの間にか自分の心まで清められ純粋さが蘇る。この映画はホラーではない。エミリーを通じて深遠さや真実というメッセージを伝えてくる神聖な映画なのだ。そう、エミリー・ローズに私が呼ばれたのではなく、私がその美しさを求めていたのだった。

 

                                              (文・遠藤明美)

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