季節の薬膳 自然に寄り添う食養生 Vol.4 立冬〜立冬の時期の養生

【立冬とは】

皆さん、こんにちは。国際中医師、国際中医薬膳師の吉田 美枝子です。
食べるだけの薬膳教室を主宰しています。

前回の自然に寄り添う食養生の3回目をお読みいただきありがとうございました。
今回は来る立冬の時期の養生のお話をしたいと思います。

立冬とは毎年11月7日もしくは8日前後から始まる2週間のことです。
立冬を過ぎると天は寒くなり地面は凍り、万物は枯れてしぼみ、多くの動物が巣に帰り冬眠状態に入ります。
これは「閉臓」と言って来年に向けてエネルギーを蓄える時期ということを意味します。
今年は10月でも高温が続いたり台風が来たりしましたが、ここのところぐっと冷えてきましたね。
いよいよ冬のスタートです。

 

【冬と関連する臓器・腎】

中医学では冬と関連のある臓器はと言われています。
ここで言う腎とは西洋医学で言う腎臓と少し違った働きをすると考えられています。

西洋医学では腎臓は不要な老廃物を出すろ過装置であり、水分を排出することによって血圧を調整するところと考えられています。

中医学では腎は精を貯蔵し、水の代謝をし、骨や髪の毛と関連があると言われています。
腎精は生殖、成長と関連があり、髄を生み髄が骨を養います。
また中医学では脳は髄海と言って髄が集まるところと考えられています。

腎が健康であれば正常な成長のプロセスをたどりますし、腎に貯蔵される腎精が充実していれば脳が髄でしっかりと満たされ、知能も発達すると言う事なのです。
中医学の腎は水とも関連がありますが、精、生殖、成長、老化、脳などとの関連があります。

西洋医学でいう腎臓と中医学の腎、似ている部分とちょっと違う部分がありますね。

 

【立冬の季節の生活養生】

立冬から始まる冬の季節は関連する臓器である腎を労わる事が大切です。
では逆にどうしたら腎が傷つくのでしょうか?

最も直接的に腎を傷つけるのは……過剰な性生活
最も早く腎を傷つけるのは……夜更かし
最も激しく腎を傷つけるのは……腹を立てること

と言われています。
腎気のレベルが下がり、腎の陰陽バランスが崩れると、他の臓器の陰陽バランスも乱れ、健康に悪影響を与えます。
なぜなら腎の陰陽は体全体の陰陽の元となるからです。
腎を傷つけないよう規則正しい生活をし、穏やかな気持ちで冬の季節を過ごしましょう。

また急な温度変化が起こりやすい時期です。
朝、温かいからと言って薄着で出かけるのではなく、荷物になりますが上に羽織るものを持ってでかけましょう。

寒い時期は3つの首を温めると言います。
首、手首、足首です。

特に首の後ろから冷気が身体に侵入しやすいので首にまく巻物も持っているといいですね。

またスカートは下から冷気が入ってきやすいので、女性の方はパンツスタイルもおすすめです。

 

【立冬の季節の食養生】

お待たせしました。

では冬の季節に何を食べたらいいか……のお話です。
冬は陰の気が盛んになってくる季節なので食べ物でも陰を補うことが大切です。

中医学では肝腎同源という言葉があり、腎陰を補うことは肝血の基礎となります。
血は人体を構成する基本物質の一つで、血が充実することにより体の隅々まで栄養を届ることができると考えられています。

立冬から15日ぐらいの間は肝血と腎陰を同時に補うのが冬のスタートにいいでしょう。
肝と腎を同時に補うのにおすすめの食材はイカ、牡蠣、クコなどです。
ぜひ普段の生活に取り入れてみてください。

更年期世代の方は加齢とともに腎陰、肝陰が不足してくると言われています。
そんな時も上記の肝と腎の陰を補う食材は有効です。

立冬で冬が始まったからと言って急激に温熱性のもの……。
羊、唐辛子などで体を温めすぎるのもかえって脾胃を傷つけます。

腎が蔵する精は腎陰と腎陽が両方揃って初めて成立します。
食べ物でも陰と陽を上手に補いましょう。

陰陽バランスを上手に整えて、いい冬のスタートを始めましょう。

 

吉田食堂主宰
https://kawasaki-yakuzen.wixsite.com/yoshida-shokudo

 

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