季節の薬膳 自然に寄り添う食養生 Vol.3 立秋〜立秋の季節の養生

【立秋の季節の養生】

皆さん、こんにちは。国際中医師、国際中医薬膳師の吉田 美枝子です。
食べるだけの薬膳教室を主宰しています。

前回自然に寄り添う食養生の2回目をお読みいただきありがとうございました。

今年は梅雨明けも早く暑い夏が続いていますね。
しかし二十四節季ではもう立秋です。
立秋は二十四節季の秋に属する6つの節季のトップバッターで、例年8月7日前後にやってきて2週間ほど続きます。

今回はこの時期の養生、生活習慣と食事についてお話ししたいと思います。

 

【生活習慣】立秋後の二十四の秋老虎に注意!

今年2018年は早い時期から気温が30度以上、35度以上が長く続いていますね。
もう暑さにはうんざりの方も多いのではないのでしょうか。

しかし立秋が来たからもう一安心……ではありません。
中国では立秋の時期、「秋老虎」に注意と言われています。

秋老虎って?? それは残暑のことです。

中国の言い伝えでは立秋の後に24個の秋老虎がいると言われています。
つまり、立秋の後二十数日は残暑が続くということです。
今年は立秋が8月7日ですので9月の最初ぐらいまではまだまだ残暑が続く……大変ですが中医学の知恵で乗り切っていきましょう。

残暑の時期、夏と同様に身体の熱を下げるために食べる瓜系のものを食べたくなりますが、そろそろ控えて行きましょう。
立秋の後に大量のスイカを食べると脾胃を傷つけ、秋に慢性的にお腹を壊したりするそうです。
果物を取りたい時はそろそろ季節の桃やぶどう、梨をいただきましょう。

また火を使うのが大変で冷たいお料理が多くなりがちですが、そろそろ冷たいお料理よりも火を使った温かいお料理がいいですね。

朝晩、室内、室外の温度差が激しいので布団や羽織るもので調節しましょう。

 

【深呼吸のすすめ】

秋に関連のある臓器は五臓で言う肺、関連のある感情は悲しみです。
肺と相克の関係にある臓器は五臓で言う心。

あらかじめ心を安らかにしておくと、悲しみで肺を痛めることがなくなると言われています。
つまり心を平和に保つことが肺を養う一番いい方法なのです。

続く残暑でイライラしたり、暑さで怒りっぽくなったりしがちですが、心を落ち着けて穏やかな気持ちで日々を過ごしましょう。

心を落ち着けるにはまず深呼吸。

ゆっくり鼻から吸ってゆっくり口から出す。
鼻から入った空気は丹田、おへその下に深く収める気持ちでゆっくり呼吸します。
心が落ち着くと同時に口呼吸でダイレクトに秋の乾燥した空気が肺に侵入するのを防ぎ、鼻を通過して湿度のある空気が肺に入ります。
深呼吸で心を落ち着けて感情面からも機能面からも肺を傷めないようにしましょう。

 

【食事】

立秋を過ぎ、秋が始まったので秋の養生……を意識するのはもちろん大切です。
しかしこの時期は台風や秋の長雨もある時期です。

もし湿度が高くて夏の冷飲食で胃腸が弱っている時は先に脾胃を意識しましょう。
お肉は少なめにして野菜や果物を多めにいただきましょう。
冷たいものの飲み過ぎ食べ過ぎはそろそろ意識して止めて行きましょう。

脾を補う食材はまずお米類、芋類、キノコ類、豆類など……
現代の人は忙しくて、簡単に「じゃー、何を食べればいいの!」と答えを求めがちですが
食べ物の前に、脾胃を補うにはよく噛むこと。

胃は食べ物を分解して小腸に送り出します。
よく噛んであらかじめ小さくしておけば胃の負担が少し減りますね。

食べ物や薬に頼る前に自分の食事の内容とともに食事のとり方も見直してみませんか。

中医学では秋……白……白い食材……という話になるのですが、今の時期は秋老虎に注意ということでその前の段階のお話をしました。

皆さんのご参考になれば幸いです。

 

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