最近ではお土産用として、あるいはサーファーたちのアクセサリーとしても人気が高いのが、ハワイの「ボーンネックレス」です。
それはポリネシア人たちが、昔から魚の骨のみならず、高貴な人や勇者の骨を使って、釣り針型のペンダントを作り、お守りとして身につけていたものなのです。
また現在では従来の鯨の骨などは手に入りにくいので、牛の骨やセイウチの牙などがその材料として用いられています。
また骨のみならず、パワーストーンやハワイ原産のコアの木などを材料に用いて、現代風にアレンジしたデザインのものも多く登場しています。
しかし本来のボーンネックレスは、そのひとつひとつに霊(マナ)が宿るとされ、特に海の男たちにとっては、とても特別なお守りだったのです。
ボーンネックレスが生まれた理由
ポリネシア人たちは、主に漁業で生活をしていた民族だったので、魚を捕まえるということは、彼らにとってはとても大切な作業でした。
自分が釣り上げた大きな魚の骨を使って、釣り針型のペンダントを作り、再びこのような大物を釣り上げることを願ったのが、ボーンネックレスの始まりであったと言われています。
あるいは鯨や勇者など、偉大なパワーを持っていたと思われおる生き物や人たちの骨を使って立派なペンダントを作り、身につけることで自分もそのボーンネックレスからパワーを得ていたのです。
このように、ボーンネックレスは、ただ単にお守りとして身につけるだけでなく、海の男たちが、ネックレスからパワーを得ながらも、海や魚たちに対して感謝や尊敬の念を表すものでもあったのです。
ボーンネックレスの効果
ボーンネックレスは、大漁を願うお守りであると同時に、それ以上にもっとスピリチュアル的に深い意味合いを持っています。
基本的には、ボーンネックレスは海での安全や、生活の安定、家族を守り繁栄を呼び込む開運の効果があるとされています。このほか釣り針型をしたペンダントの先で、夢を釣り上げることもできると考えられています。
そんなわけで、ボーンネックレスはいつしか「幸運を呼び寄せるお守り」として一般にも広まっていったのです。
また、ボーンネックレスは身に着けた人の身体の一部となり、スピリットとなるとされています。
昔のポリネシア人たちは、このボーンネックレスを使って自然界にいる霊たちとの交信も行っていました。
ボーンネックレスを身に着けないときは、家の中に飾っておくだけでも、家や家族を守ってくれるのです。
ボーンネックレスを身に着けるときは、フックの先を必ず心臓側に向けるようにします。こうすることで、事故で海に落ちたとき、このフックが心臓をひっかけて大切な命を守るという言い伝えがあるからです。
現在のボーンネックレス
現在一般に購入できるボーンネックレスは、機械で彫られたものがほとんどです。
というのも、ボーンネックレスを伝統的な技法で作り上げられる人が非常に少なくなってしまっているからです。
かつてオアフ島には、ボーン・カーヴィング第一人者であるアーティスト、ジョージ・マイケル氏が伝統的なハワイアン・ボーンネックレスを製作していたのですが、2007年に他界されてしまいました。
ジョージ・マイケル氏以外にも伝統的なハワイアン・ボーンネックレスを製作できる人は何人かいるようですが、その数は年月と共に少なくなっているのです。
ニュージーランドのマオリ族の人たちは、釣り針型だけでなく、渦巻型や幾何学的なデザインのものなどを現在でも手彫りで多く製作しています。またタヒチなどのポリネシアの島々でも伝統的な手作りのボーンネックレスが製作されています。
また、近年では釣り針型のみならず、鯨の尻尾を象ったものや、ハワイの人々の守り神のひとつであるホヌ(亀)や、女性に人気のお花、プリメリア型などもあり、幅広い人たちがファッションとして身につけるようになっています。
乳白色のボーンネックレスを長く身につけていると、だんだんと変色をすることがありますが(現在のものは、変色しないように加工されていることが多い)、自然に変色することが、暖かみのあるまろやかな色となり、自分の肌の色にもマッチし、ますますボーンネックレスが自分の魂と一体になるとも考えられているのです。
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