『手の内の気づき ~ ③命の輝き ~ 身体が教える命のありよう』

1回で簡単に治るなんてことはほとんどない。 最低でも20回は治療するくらいの気持ちが なければ、鍼灸指圧の醍醐味は理解できない。

「身体が教える命のありよう」

これまで多くの患者を触ってきた。

延べ人数は3万人を軽く越えるだろう。

その触った患者は軽症な者から

重篤な症状まで様々あった。

そうして様々なパターンの患者の身体を

触りつづけていると、

凝りやツボに独自の意味づけが

できることがわかった。

例えば凝りには流動性が高く容易にほぐれやすい

可逆的な活きた凝りと、

どれだけ治療してもほとんどほぐれてこない

非可逆的なフリーズした凝りが存在することがわかった。

またこの凝りの2つの顔とシンクロするように、

活きた凝りのツボを治療するとそのツボからは

未知なるエネルギーが解放されること。

そしてフリーズした凝りのツボからは

エネルギーの解放が見られないこと、もわかった。

こうして私独自の「凝りツボ判定」の基準が

出来上がった。

「凝りツボ判定」

患者の身体が教える命のありよう。

 

「命のありようの診断法」

古今東西を問わず医学において診断は

もっとも重要なプロセスだ。

近代医学は血液検査、CTスキャン、MRI、

心電図、骨密度判定など多岐に渡る正確な

診断を得意とする。

この近代医学の診断技術はすでに多くの命を

救い、さらなる進歩を遂げていることは

今さら言うまでもない。

近代医学の診断技術の進歩は科学の精華。

わたしもすべてのひとと同じくこの事に

称賛を惜しまない。

では東洋医学の診断法とは何か?

伝統的な東洋医学の診断法は、

望診、聞診、問診、切診、の四診法。

わかりやすく言えば、

まず患者の姿形を目で見て、

顔色や血色をうかがい

鼻で匂いを嗅ぎ、耳で声の質を聞き分け、

問診で症状の部位やそれを発症した背景を探り、

脈を診て、身体を触るのが東洋医学の診断法。

この東洋医学の診断法は今も有効に機能し、

やはり多くの人命を救っている。

医学における診断法とは、

患者の身体が教える命のありようの診断法。

 

「命の輝き」

近代医学、東洋医学、それぞれが

錬磨した命のありようの診断法。

私もそれを称賛することはやぶさかではない。

だが、私はそれとはべつに、

いや、その診断法を尊重しつつ、

まずは「凝りツボ判定」を試みる。

患者が来院したら、主訴を聞きながら、

とにかくまず身体を触ってみる。

それも一箇所にとどまらず、

ほぼすべての部位を触る。

そうしてその症状の元となっている凝りの親分、

凝りの元締め、凝りの総大将、

凝りのCEOの在りかを見つける。

その凝りの根っこ、が病根である。

そうして「凝りツボ判定」で見つけたこの

凝りの根っこに鍼灸指圧治療を仕掛ける。

1回で簡単に治るなんてことはほとんどない。

最低でも20回は治療するくらいの気持ちが

なければ、鍼灸指圧の醍醐味は理解できない。

身体は鍼灸指圧で治療されることで

凝りがほぐれる事を学んでいく。

ただ鍼灸指圧師が治療して治って終わり、

では患者の身体が学習する機会がない。

患者の身体が凝りがほぐれる経験を通して、

患者自身が身体には可逆的なエネルギーが

満ちていることを実感すること。

ここに真の意味での治療の意義がある。

患者は鍼灸指圧の治療を通して自分の体に

可逆的なエネルギーが満ちていることを学ぶと、

よりいっそう自分の体を大事にしようとする心が

芽生える。

そして凝りがほぐれる快楽がやがて治療というものを

べつのステージの楽しみ、娯楽、

レジャーへと変えていく。

凝りがほぐれ命がよみがえる時、

命のありようは一段と輝く。

 

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