『手の内の気づき~②治療の究極はスピリチュアル』〜ツボは向こうから訪れる

「ツボは向こうから訪れる」

鍼灸指圧師になった今から25年以上前。

その頃の治療は正確に患者の症状に合ったツボを

探し捉えることに全力を注いでいた。

それこそが鍼灸指圧治療のすべてだ。

と、私はそのくらいの意気込みで必死に

ツボを探していた。

だが、いつの頃からだろうか?

いつのまにか、そんなツボを探そうとする気持ちが

私の中から消えた。

なぜ私はツボを探さなくなったのか?

それは探さずとも指が勝手にツボに

止まるようになったからだ。

私の鍼の師匠が言ったのか、

今では記憶が定かではないが、

「ツボを探しているうちは一人前ではない。

ツボに自然に手が行くようになって、

はじめてプロと言える」

そんな言葉が記憶の倉庫でこだまする。

そうなのだ。

いつのまにか私の手も自然にツボに

手が届くようになった。

その頃からツボを探すことがなくなった。

ツボは探すものではない。

ツボは向こうから訪れる。

 

「ツボには未知のエネルギーがある」

私の手先にツボが向こうから訪れて、

ツボを探すことがなくなった頃から、

治療をしていると得体の知れない動きを

感じるようになった。

その得体の知れない動きは、

ツボの中から始まり、

やがて全身へと波及していく。

そんなツボの奥底の動きを感じている時、

どういうわけか私の思考が停止することに

気がついた。

治そうとか、治してやろうとか、

そんな気持ちすら邪魔。

ただ無心になってそのツボの動きを

見つめる。

ただ無心になってツボの動くままに任せる。

そうしているとツボの動きはとどまることなく、

どこまでも変幻自在に患者の体を駆け巡るのだ。

ツボは動きたいだけ動くとやがてその動きが止まる。

そんなツボの動きが出現した時の治療は、

治療後の患者の体の軽快感も格別だ。

そして治療する私もほとんど疲れずに、

むしろ高揚感に酔いしれる。

ツボの中にはまだ人類が知らない未知の

エネルギーがつまっている。

 

「治療の究極はスピリチュアル」

ツボの中の未知のエネルギーが解放されて、

治療師と患者がそのエネルギーに身を浸す時。

治療師である私は無我の境地に至る。

こむずかしい理屈はその時、すべて吹き飛ぶ。

ただ指先の振動に全神経を集中する。

境界がぼやけ空間とわが身がひとつになる。

その瞬間、光りが降りてくる。

これまでに5回ほど私は治療中に

光りに包まれた。

最初の1回目は光りのミストが

ツボから立ち上がり、わたしを包み込んだ。

それからあとの4回は光りが明滅して目前に。

でもそれ以上は光りを見ていない。

あくまで5回だけだ。

そしてどうやら見ようとしても

見ることはできない。

たぶん見せられたのだ。

いったい誰に?

なにゆえに?

ツボから立ち上がるエネルギーに身をゆだね、

なにものかが降りてくるのを待つとき、

私は肉体を超越した世界に

アクセスする。

私にとっての治療の究極は?

イエス、スピリチュアル!

 

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