カオスからコスモスを引き出す実践的養生法論~その六・夏バテを防ぐちょっとしたコツ

じつは皮膚を押すと、そこで ATPが放出されるのです!

「夏バテと体内の冷え」

今年の夏も暑いですね。
夏バテなど、していませんか?

この夏バテ、暑いだけが理由とは思えません。
例えば、暑いからと言って、冷たいものばかり食べたり飲んだり、
あるいは、寝苦しいからと冷房をかけっぱなしで、
寝ていたりすると、それが原因で、
とたんに夏バテのような症状が出て来ます。

体の中は37℃の温度にセッティングされています。
その温度帯が細胞が酵素反応という生化学反応を行うのに最適の温度帯であり、
また細胞内の共生体であるミトコンドリアが活き活きと活動するのに
もっとも都合の良い温度なのです。

ですから、暑いからといって、体内温度を37℃よりも下げてしまうと、
酵素反応が停滞し、ミトコンドリアの活動が鈍ってきます。
じつはこのミトコンドリアが夏バテを防ぐカギを握っているのです。

 

「ミトコンドリアは細胞のエイジレス」

ご存知のようにミトコンドリアは、
古代においてもともとはバクテリアとして、
独立して生きていた生き物です。
今から27億年前頃に酸素を放出するシアノバクテリアという細菌が
出現しました。このシアノバクテリアが放出した酸素が増えた時に、
酸素を嫌う嫌気性バクテリアが、酸素を吸着できる好気性バクテリアを
取りこんで、共生をはじめました。
これがわたしたちの祖先となる最初の真核生物でした。

酸素はアンチエイジングに熱心な皆様なら、よくご存知のように
あらゆる分子と反応し、電子を奪い酸化させて劣化させ、
老化させるたいへんに恐ろしい元素です。
だから食品の包装袋には、必ず脱酸素剤、エイジレスが同封されています。
この脱酸素剤があるから、その袋に入った生鮮品は鮮度を保つのです。
もしも、脱酸素剤がなかったら、アッという間に、袋のなかの食品は酸素と
反応して、みるみるうちに酸化し、古くなり、傷んで、劣化してしまいます。
酸素のなかで生きていくというのは、そういう意味で、実はたいへんに
難しいことなのです。

その酸素が地球に増えて酸素を嫌う生き物たちが
生きるのが難しくなった時に、
ヒーローのような助っ人が現れたのです。
それが酸素を吸着して、DNAが酸化したり、
タンパク質が酸化するのを防いでくれるミトコンドリアの祖先の
バクテリアだったのです。
ミトコンドリアの祖先のバクテリアが嫌気性バクテリアに
共生したから、そのドッキング型の生命体は、
ある程度の無酸素環境でも、
現在の大気酸素濃度20%の有酸素環境でも、そのどちらでも
生きていける能力を獲得したのです。

このミトコンドリアが共生した生物を真核生物と呼びます。
真核とはDNAを含む核を核膜でパッケージした、という意味です。
DNAを核膜でパッケージしたのも、他でもない酸素と触れて
DNAが酸化して劣化しないための防衛手段だったのです。
ミトコンドリアによる酸素の吸着や、
核膜でパッケージして酸素からDNAを守るなど、
こうした何重もの酸素に対する防衛手段を獲得したから、
有酸素環境となった地球でわたしたち祖先は生き延びてこれたのです。