お姫様願望と私 ~ だからあなたはプリンセスにはなれない ~

お姫様願望

多くの女性はお姫様願望を持っていると思います。
もちろんそれは悪いことではありません。

シンデレラのように「王子様と結婚して末永く幸せに暮らしました」という物語の結末を、自分自身も体験したいという気持ちはよくわかります。

ハンサムで、地位も名誉もお金もあって、無条件で自分をチヤホヤしてくれる男性。
誰だってそういう相手がいたら良いなと考えてしまうのではないでしょうか。

男性に高い理想を求め、自分自身の人生を輝かしいものに変えてくれるのではないかという期待。
そして依存的傾向。
これらの症状の総称を『シンデレラシンドローム』と言います。

要するに自分は無条件で何のリスクもなく受身で一方的にチヤホヤされたいという思いがものすごく強い人のことです。

ちなみに「ちょっと、そういう想像をしただけ」で「現実はまったくの別モノ」と思っている人は厳密には『シンデレラシンドローム』とは呼びません。

誰だって、時としてあり得ない妄想を脳内で繰り広げて楽しむことはありますものね。
それは決して異常でもなんでもありません。
ちゃんと現実との境界線をわかっていますし、ほどほどに楽しんでストレス解消になるのであれば、むしろ良いことではないかと思います。

 

シンデレラという人物像

「シンデレラみたいにどこかの国の王子様が私に惚れてくれないかしら……」。
こう思う気持ちはわかります。
ただ自分とシンデレラを重なり合わせる前に、考えて欲しいことがあります。

本当にシンデレラは無条件で王子様に愛されたのでしょうか。
シンデレラと自分を重ね合わせる前に、まずシンデレラの人物像を一緒に考えてみましょう。

シンデレラにも諸説あると思いますが、一般的に伝わっている話を自分なりに考えてみますね。
まず、魔法使いのお婆さん。
彼女は気まぐれでシンデレラにカボチャの馬車とドレスやガラスの靴を与えたのでしょうか。
無条件で優しくされたのでしょうか。
たぶん、違うと思うのです。
魔法使いのお婆さんは実は裏があってシンデレラに魔法をかけて面白がっていたのでしょうか。
たぶん、それも違うと思います。

次に王子様。
どうしてシンデレラを好きになったのでしょうか。
もちろん美人だったからと考えるのもアリだと思います。
でも、美人なだけで本当に王子様が惚れてくれるでしょうか。
仮に結婚まで行きついたとしても「末永く幸せに暮らしましたとさ」という結末につながるのでしょうか。

ちょっと考えればわかると思いますが、シンデレラは性格が良かったのだと思います。
童話なのでおそらく「心優しいシンデレラは……」とか、そういう表現はされるかもしれません。
でも、具体的にどう心優しいのかというエピソードはそれほど描かれていない気がします。

でも、「イジワルな継母をいつか叩きのめしてやりたい!」とか「性格ブスの義姉たちを陥れてやりたい!」といって計画を練っているとか、実行に移したというエピソードはありませんよね。

たぶん少しはそれっぽいことを考えたりはしたと思いますよ。
でも、それがメインということでは決してなかったと思います。
ふてくされて性格が悪くなったとか、復讐の鬼になったとか、そういう件は一切ありません。
もっというと虎視眈々とチャンスを狙っていたわけでもありません。
いろいろな想いはあったと思いますが、シンデレラは真面目で優しい人だったのではないでしょうか。

もし、シンデレラが「マジで働きたくないし。そもそも継母と、その連れ子とか迷惑極まりないし。あいつらすっげー性格ブスだし。あー……ダリぃ。どっかの王子様、私に惚れてチヤホヤしてくれないかなー……」なんて思っていたら、どうでしょうか。

シンデレラの場合、確かに継母やその娘たちにイジワルされていたかもしれません。
でも、ふてくされてしまっていたら、たぶん美人であろうとなかろうと魔法使いのお婆さんに相手にして貰えなかったと思います。

百歩譲って気まぐれで魔法使いのお婆さんに協力して貰ったとしても、王子様と結婚できるかどうかは別問題です。
舞踏会に参加できても立ち振る舞いが汚なかったり、私アピールが強いだけの謙虚さの欠片もない態度を取っていたら、王子様も相手にしてくれなかったと思うのです。
それなりに舞踏会を楽しんでいたとは思いますが、自分本位になることなく周囲に気遣いをきちんとしていたのではないかと思います。

さらに百歩譲って美貌だけで王子様を惚れさせて結婚したとしても性格が悪かったら離婚はされないまでも、浮気されたと思います。
あるいは合法的に第二夫人や第三夫人をめとって相手にされなくなったかもしれません。

 

シンデレラになりたい?

シンデレラは決して無条件でチヤホヤされて幸せになれる女性の象徴ではないのです。
そこを勘違いしてしまうと、大変なことになってしまいます。

そもそも性悪シンデレラだったら、誰も彼女に憧れませんしロマンも感じないと思うのです。
もし、あなたがシンデレラに本当に憧れていてシンデレラのようになりたいと思うのであれば、彼女のハートを想像して欲しいのです。

シンデレラは決して無条件で幸運が味方したわけではないのです。
最後はやっぱり人間性なのだということを決して忘れないで下さい。

そして、考えてみて下さい。
シンデレラはたまたま王子様に見染められて結婚しました。
でも、仮に舞踏会に行かなくても、ハッピーエンドになった可能性は高いと思いませんか。

ハンサムでは無いかもしれない。
地位も名誉もお金も持っていないかもしれない。
でも、心優しい青年が現れたら、シンデレラは決して見下さずに相手を尊重すると思いませんか。
そして人間性が素晴らしければシンデレラはハンサムでもなんでもない貧乏人でも結婚して幸せな人生を歩んだのではないだろうかと思いませんか。

そしてシンデレラは男性にこういうと思うのです。
「私をまるでお姫様のように誠心誠意を尽くしてくれて、愛してくれてありがとう。私は幸せです」と。

シンデレラはプリンセスです。
しかし、彼女は決して欲の権化ではなく、本当の意味でのプリンセスなのです。

それに気づけば、もっと多くの悩める女性たちがプリンセスになれるのではないかと思うのです。

 

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