1月7日は七草の日、七草粥で心と身体を整えて幸先の良いスタートを切ろう

七草粥

ついつい食べ過ぎてしまう年末年始

お正月のお祝いムードも終わり、普段の日常生活に戻りました。中には「お正月ボケ」から抜け出せてないという方もいらっしゃるかもしれませんね。しかし、それよりも気になるのがクリスマスころから年末年始にかけて、ついつい食べ過ぎてしまったことではないでしょうか。

特にお正月は久しぶりに家族や親戚が集まって、飲んだり食べたりするのが恒例行事のようなものです。お祝い気分でお酒を飲むこともありますし、クリスマス並みにゴージャスなデザートを食べることもあります。帰省せず自宅で一人でお正月を過ごす場合でも、おせち料理や好きな食べ物などを準備して、のんびり過ごすという人も多いと思います。実は、「寝正月」だったという人もいらっしゃるのでは!?

どちらにしろ、年末年始にかけて普段より多く食べたという人がほとんどです。きっと多くの人が心の内では「今年のお正月は気をつけよう」と思っていたはずです。お正月期間はのんびり過ごす分、運動量も減りますからね。それなのに、毎年似たような状況になってしまい、多くの方が「しまった!」と思うのです。

年末年始の食べ過ぎ(=暴飲暴食)は体重が増えるだけでなく、胃に大きな負担をかけることにもなります。ダイエットに意識が向きがちですが、胃を休めることが必要です。そんなお正月明けの疲れた胃を回復させるのに最適なのが「七草粥」なのです。


七草粥の由来

日本には「五節句」と言われる風習があります。無病息災や邪気を払うための日として、伝統的な年間行事を行う風習のことです。ひな祭りやこどもの日、そして七夕も五節句のひとつです。1月7日は五節句の最初である「人日(じんじつ)」の節句にあたり、3月3日「上巳(じょうし)」、5月5日「端午(たんご)」、7月7日「七夕(しちせき)」、9月9日「重陽(ちょうよう)」と続きます。

五節句の日付に注目してみてください。見ての通りですが。1月7日の「人日」の節句以外、月と日に同じ奇数が並んでいます。中国では奇数は陽の数とされています。しかし、その縁起の良い数字が重なることが逆に不吉な日とされていたのです。そのため、もともとは厄払いする日として捉えられていたそうです。ちなみに、1月1日の元旦は別格とされ、1月7日が節句に取り入れられています。

「人日」の節句は昔、中国で元日から6日までの各日に行われていた獣畜をあてはめて占いを行う風習から由来しています。占いは元日を鶏、2日を狗(いぬ)、3日を羊、4日を猪(いのしし)、5日を牛、6日を馬の日として占っていくのです。それぞれの日に占いの対象となった獣畜を大切に扱ったそうです。しかも、占いの日に限っては、占われている動物を殺すことも禁じられていたそうですよ。

そして、7日は人を占う日にあて、人を大切にする日という意味で「人日」という節句としたそうです。「人日」の節句には、七種類の若菜を入れた温かい吸い物を食べて一年間の無病息災を祈る日としていました。この「人日」の風習以外に、お正月に若菜を摘む風習「若菜摘み」という風習が混じり合い、人々の間に根づいたものが七草粥の由来だと言われています。


七草粥の七草とは

なんとなく風習があるから、よくわからないけど1月7日に七草粥を食べていたという方も多いと思います。七草粥は7種類の葉物野菜(実際には根菜の葉も含まれます)が入っているだけの質素な粥ではありますが、七草には今の時期に必要な栄養成分がバランスの良く組み合わせられています。現代のように科学的に分析することができないはずなのに、昔の人ってスゴイですよね。

最近ではスーパーやでコンビニでも手軽に七草粥の材料である七草が手に入ります。お手軽なこともあり、実は七草がなにか知らない方も多いのかもしれません。もちろん詳しく知らなくても困ることがありませんが、せっかく毎年食べているのですから、ぜひ由来と一緒に七草についても知っておいてくださいね。

まず、七草粥に使用する七草は、「せり」、「なずな」、「ごぎょう」、「はこべら」、「ほとけのざ」、「すずな」、「すずしろ」の若菜を使用するのが一般的です。現在ではあまり使われない呼び名のものありますが、それぞれ意味や効能があります。

せり(芹)は、別名シロネグサとも呼ばています。せりには、勝負に「競り」(せり)勝つという意味合いが込められています。胃を丈夫にする作用や整腸作用、利尿作用、血圧降下作用などの効果があります。独特の香りが食欲を刺激する効果もあります。

なずな(薺)は、ぺんぺん草とも呼ばれています。なずなには撫でることで汚れを取り除くという意味合いが込められています。ただの雑草だと思われがちですが、とても縁起の良い食材です。高血圧、解熱作用や利尿作用、むくみを改善する効果があります。

ごぎょう(御形)は母子草(ははこぐさ)のことです。ごぎょうには仏の体という意味合いが込められています。お茶にして飲むこともあるそうです。咳止めや痰(たん)切り、のどの痛みを和らげる効果があります。

はこべらは、はこべとも呼ばれています。はこべにには「繁栄がはびこる」という意味合いが込められています。中国では古くから薬草として使われていました。鎮痛作用、止血作用、胃炎や歯槽膿漏の予防に効果があります。

ほとけのざ(仏の座)は、子鬼田平子(こおにたびらこ)とも呼ばれています。ほとけのざには仏の安座という意味合いが込められています。花びらが分かれておらず、鳥のくちばしのような変わった形をしています。胃を丈夫にする作用や整腸作用、高血圧予防に効果があります。

すずな(菘)は、かぶ(蕪)のことです。すずなには神様を呼ぶ鈴という意味合いが込められています。整腸作用、消化促進、風邪の予防などにも効果があります。

すずしろ(蘿蔔)は大根のことです。すずしろには汚れのない清白という意味合いが込められています。頭痛、発熱、冷え性、消化不良や二日酔い、胃炎などにも効果があります。すずな、すずしろは根と葉の両方に栄養素が含まれています。七草粥を作る際には両方を入れることをオススメします。


七草粥を食べて、心も身体も整える

七草粥は7種類の葉物野菜(実際には根菜の葉も含まれます)が入っているだけの質素な粥です。少し寂しいとか味気ないといった印象もあるかもしれません。七草のにおいや青臭さが苦手だという方もいらっしゃるかもしれませんね。

しかし、食材が豊富な現代に生きているからこそ、このような風習を大切にして、自分の心と身体に意識を向けて整えることが必要なのです。残念ながら、世の中にある食品の中には不健康なものも多いです。腸内環境の乱れは心の乱れにもつながっていきます。七草粥で心と身体を整えて幸先の良いスタートを切りましょう。つねに自分の心と身体を労わって、より良い1年をお過ごしくださいね。




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