ここまで、「なりたい自分になれない理由」を脳のしくみと腹側迷走神経系の発達という視点から見てきました。
傷ついた脳や神経系の修復に有効な身体的アプローチを紹介する前に、発達性トラウマになる要因について、もう少し見ておこうと思います。
もし、あなたが親の立場でいらっしゃる場合は、「自分は毒親じゃないか?」という視点でも読んでいただけたらなと思います。
かくいう私も、すでに毒親を自覚しております。
家で仕事をすることが多く、子どもと接することも多かったのですが、今思えば、かなり「恐ろしい父親」だっただろうなと反省しています。
長い海外生活から帰国したとたん、家事と育児と仕事、という今までにない新しい環境に身を置くことになり、ストレスがあったと言っても言い訳でしかないですよね。
上靴を忘れただけで怒鳴ったり、ちょっとしたことで手をあげてしまったこともありました。反省どころか、申し訳ない気持ちでいっぱいです。
今現在は、親としては関わり方を柔らかくしようと心がけて、セラピストとしては幼い頃に刻み込まれただろう「負の刻印」の解除に努めている毎日です。
育児の過程で見られる不適切養育や発達性トラウマは、当事者本人も自覚しづらいために、放置されることがほとんどです。
ここでは、日常的に起こりうるケースをいくつか取り上げてみようと思います。
ですが、その目的は、あなたの親を責めるよう急き立てることでも、親のあなたを辱めるためでもなく、ただ事実に気づいていただいて、負の連鎖をあなたで断っていただくことにあります。
自分の親に育てられたように子どもを育てている、というのはよくあることですよね。
親からの不適切な関わりの例
・「遊んでほしい」と親に近づいても「あとでね」などと相手にしない。
・子どもの夢を否定する。
・「お姉ちゃんはできるのに、どうしてあなたはできないの?」などと兄弟・姉妹間での比較。
・子どもの前で借金の話をする。
・子どもの前で激しい夫婦喧嘩をする。
・学校の成績や親の収入だけで人を判断する。
・スマホやタブレットを持たせて「子守り」をする。
・忙しくて、泣いている子供を放置する。
・タイミングよくニーズを満たさない。
・体調が悪く、子どもの相手をしない。
・勉強やスポーツを強要する。
・テストで98点取ったのに、足りなかった2点を指摘する。
・子どもの性的な成長を喜ばない。
など。
いかがでしょうか?
虐待やネグレクトなどは、加害者側も被害者側も気づきますし覚えていますが、上に挙げた例などは、どの家庭でも起こりうる、割と日常的にありふれた出来事だと思います。また、親からしてみれば、しつけや励ましのつもりだったものが、実は子供にとっては大きな負担だったというものもあります。
このように、自覚はされにくいけれども、実際には脳や神経系を傷つけ、その影響が何十年も残ってしまいますので、気づいた人からその負の連鎖を断っていただきたいと思います。
(そらとりのHPに毒親チェックリストがありますので興味ある方はご覧ください)
そのためには、まずあなた自身の傷を癒してあげることです。
次のコラムでその方法を紹介させていただきます。
そらとり自癒力活性サロン
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《そらとり自癒力活性サロン/江口剣太郎 さんの記事一覧はコチラ》
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