「性格だから」と諦めていませんか? ~ 自律神経の発達と性格形成~

自律神経

自律神経と言えば、交感神経と副交感神経をイメージされる方が多いと思います。

交感神経が、仕事や勉強など集中をするとき、または危険に遭遇した時の闘争/逃走のための神経モードとして知られています。
で、副交感神経リラックスモードで、ティータイムや睡眠時に優位に働いてくれます。

ですが、最近の研究で、副交感神経が腹側迷走神経系背側迷走神経系の2つの枝に分かれるということがわかってきました。

自律神経

詳しくは、「ポリヴェーガル理論」と検索していただくといろいろ出てくると思いますので、気になる方はチェックしてみてくださいね。

 

ここでは、発達性トラウマを理解するために必要なことだけ簡単に書いてみようと思います。

まず、生物学的に最も古いのが背側迷走神経系で、深海魚のイメージです。
あまり動きませんが、外敵も少なく、生存にはこれで十分でした。

次に、爬虫類などに交感神経系が発達してきました。
捕食したり、されたり、生存のために、闘争/逃走モードが必要になりました。

最後に、腹側迷走神経系で、ほ乳類、特にヒトに発達してきた神経系で、社会交流システムを支えるとされています。

自律神経

ヒトは、他の動物たちと違って未熟な状態で生まれてくるので、親やまわりの大人たちに養ってもらわないと生きていけません。また、危険な肉食動物から身を守るためにも集団で生きていくことを余儀なくされました。

そうして、声や表情などからコミュニケーションを取り、自分や仲間の命を守る中で発達してきた神経系です。さらには、相手の微妙な表情や声のトーンなどから、「この人は安全か危険か」を察知する精妙なセンサーを備えるようになったのです。

この腹側迷走神経系は、生まれてから18歳ごろまで緩やかに成長し続けると言われています。

愛ある家庭で円滑なコミュニケーションの中で育てられると、腹側迷走神経系もすくすくと成長して、大人になってからも自分の欲求を伝えたり、なにかストレスがあってもうまく対処できたり、場合によっては人に助けを求めることができます。

ですが、前回のコラムで紹介したように、育ってくる過程で親などから不適切な関わりがあると、腹側迷走神経系が健全に成長できません。

同じストレスがかかっても影響を強く受ける人とそうでもない人との違いは、ここにあるのかもしれませんね。

赤ちゃんは、お母さんから優しく見つめられたり触れてもらったりすると本能的に「ここは安全だ、自分は愛されている」と感じることができて、腹側迷走神経系を発達させることができます。そして大人になってからも、相手の意図を汲んだり、相手も自分も心地よくなるようなやり取りができるようになります。

ところが、赤ちゃんがお母さんから適切な時に適切なニーズを満たしてもらえないと危機を感じ、その中で安全を確保しようと周囲に「危険なもの」を探すようになります。

その影響は大人になってからも残り、常に何かにおびえていたり、漠然とした不安に襲われるような感覚に包まれていたりします。また、相手の気持ちを察したり、お互いに心地よくなるコミュニケーションを取ることが難しくもなります。

腹側迷走神経系がうまく発達しないと、「自分には価値がない」という感覚が根付いてしまいます。このネガティブなセルフイメージは、大人になっても呪符のようにつきまとい、人間関係、恋愛・結婚、仕事、金銭面、そして健康に大きな足かせになってしまいます。

自律神経

人生の局面において壁にぶち当たって前に進めないとき、「生まれつきの性格だから……」と諦めていたものが実は、幼い頃に傷ついた脳や神経系の影響だとしたら??

傷ついた脳や神経系を回復させてあげると、あなたの思考・行動パターンは変えられる、ということになります。つまり、「性格」は変えられるのです!

こうした脳や神経系の誤作動には、身体的なアプローチが有効とされていますので、次回以降紹介させていただきますね。

 

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