アーユルヴェーダと大豆〈3〉~大豆を安全に食べるためのコツ~インド生活『村上アニーシャのアーユルヴェーダ』vol.82

私たちは日々、普段食べているものから多大な影響を受け、体やマインドはそれらの食べ物によってできあがっています。

インド暮らしをしていた頃、住んでいたエリアのひとつが、世界各国から瞑想をしにやってくる外国人が多いエリアだったこともあり、豆腐や豆乳といった大豆製品を主に製造販売している店がいつの間にかできたおかげで、日本食に近い味が食べたくなったらシンガポール製のキッコーマン醤油だけに頼ることなく、いろいろと料理のヴァリエーションを増やすことができるようになったのですが、その中でも特に愛食するのようになったのが、納豆のインド版、テンペー。

テンペーはもともとは、インドネシア発祥の伝統的な大豆発酵食品のようですが、納豆ほどの強い独特な匂いや味がない淡白な発酵食品で、食感的にはチーズに近いような味とねっとり感があり、納豆を食べた時のような満足感が得れたのでよく食べていました。

 

インドで生活しながら気づいたことは、本当に発酵系の食べ物が少ないこと。

インドで発酵食品といえば、ヨーグルト(インドでは毎日フレッシュなヨーグルトを自宅で作る家庭がとても多いです)、あとはアチャルぐらいでしょうか。

アチャルは、まだ熟れていないカチカチに青いマンゴーや、ニンニク、ニンジン、レモン、ローカルすぎて名前のわからない木の実などを、ターメリック、アギ(セリ科の多年草で、茎からしみ出した樹脂を固めたものを粉にしたスパイスの一つ。漢方では鎮静薬として用いられているようです)芥子の種などの何種類ものスパイス類とオイルでつけこんだインド版ピクルスで、日本食でいうところの漬物のように、食事の時に一緒に食べると食欲増進剤になると同時に、消化がすごく早くなりました。

アーユルヴェーダの薬では、ハーブを発酵させてつくるシロップなどがたくさんありますが、それはあくまでも薬として使われていました。(この発酵ハーブシロップはアルコール分があり、ワインみたいな味がして妙においしかったりするので、一時期はまったこともありました。)

さて、話がそれてしまいましたが、数回にわたりお伝えしてきた、栄養分をたっぷりと含みながらも体にとって毒にもなる成分をも合わせ持つ複雑な食べ物・大豆を食べる時のコツを今回はお伝えしたいと思います。

(ワインのような発酵アーユルヴェーダ薬)

 

■大豆を安全に食べる!

☆味噌、醤油、納豆、テンペーといった、伝統的に食べられてきた大豆発酵食品は、安全性が証明されています。
大豆を食べるならこれらの発酵大豆を食べましょう。

特に、ビタミンK2が多く、血栓(血塊)形成から体を守る酵素といわれる線維素溶解酵素が豊富に含まれる納豆は、西洋においては過去20年、心臓や循環器系をサポートする薬としての評判を得ているようです。

また、発酵食品のよさは、食べ物の消化をより簡単にするために体がそれほど努力しなくても食べたものを消化することができるところです。
つまり、こういった発酵食品は、私たちの胃液分泌の欠如を補ってくれるわけですね。

*発酵プロセスがなされていない大豆製品(豆乳、豆腐、ソヤミート、大豆油、大豆錠剤など)はできるだけさけるか減らしましょう。

西洋では、大豆製品は大きな産業になり、豆乳から大豆錠剤、大豆油、そしてすべての加工食品の中に入っているといわれ、遺伝子組み換え操作がされていない大豆を見つけること自体がとても難しいという状況で、大豆油にいたっては、「絶対に使ってはいけないオイル」ランキングの上位にあげられているほどです。

報告によれば、発酵プロセスを経ていない大豆に関する問題のひとつは、大豆に高い割合で含まれている植物エストロゲン(これは私たちの体の中にある女性ホルモンに似た化合物)で、大豆には、主に2つの植物エストロゲンが含まれ、この両方の植物エストロゲン化合物は、男性と女性の内分泌系を崩壊させることで知られているとのことです。

(インド時代によく食べた、テンペーパスタ)

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私たちは日々、普段食べているものから多大な影響を受け、体やマインドはそれらの食べ物によってできあがっています。

なので、日々の食材選びは慎重に!

そして、大豆を食べるなら大豆のもつ利点を丸ごと効率的に得ることができる「伝統的な発酵食品」をたっぷりとりましょう。

 

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(トップ画像はインドネシア発祥のテンペー)