インド生活『村上アニーシャのアーユルヴェーダ』Vol.26 〜アーユルヴェーダから見るバランスの良い食事とは?〜

バランスよく食べ、食べたものは完全に消化されるような習慣は、病気の根源となる体に蓄積された毒素を解毒し、また体に毒が溜まらないようにする予防策にもなります。

普段よく、「バランスのいい食事」という言葉を、言ったり聞いたりしますが、実際にどんな食事のことを指すのか、理解しているようでしていないような、なかなかあいまいなこの「バランスのいい食事」なるもの。

ジャンクフードはバランスがいい食べ物ではなく、「野菜をたっぷり食べるのはバランスがいい」ということは、だいたい殆どの人が知っている事だと思いますが、アーユルヴェーダ的には、「バランスのいい食事」というのは、一体どんな食事のことを指すのでしょうか。

今回は、そのあたりについてお伝えしていきたいと思います。

 

■バランスのいい食事って、実際はどんな食事?

インドで生活していた頃、インドの定番定食とも呼ぶべきターリー(バスマティライス、チャパティ、カレー数種類、ヨーグルト、生野菜、食後の甘いスイーツなどで構成されたもの)をよく食べたものですが、このターリーは、まさにアーユルヴェーダの「バランスのいい食事」を表した典型的な見本です。

日本で生活しているときには、決して組み合わせたことのない、というか組み合わせることすら思いつかないようなものの羅列で(例:ヨーグルトの中にキュウリのような野菜が入っていたり、薄めたヨーグルトの中にコリアンダーの葉やクミンシードのようなスパイスが入っていたり、etc.)、

当時はあまりのエキゾな味に、胃もびっくり、頭もカルチャーショックな衝撃を受けたものですが、それらの組み合わせは、ちゃんと理にかなったアーユルヴェーダの教えにのっとったもの。

多彩なスパイスが織り交ぜられたインド料理は、ただのカレーではなく、その背後にはいろいろな要素が織り交ぜられていることが少しずつわかってくるにしたがって、インド料理の奥深さに感心したものでした。

インド製ガラムマサラ

インド料理でよく使われる香辛料「ガラムマサラ」

 

アーユルヴェーダでは、食べ物やスパイス類を基本的に薬とみなします。
医食同源、そのままの考え方ですね。

そして、すべての食べ物は6つの味(甘味、酸味、塩味、刺激性、苦味、渋味)に分類され、これらの味を含む食べ物が一つの食事の中にバランスのいい割合で含まれているもの。

それが、アーユルヴェーダでいうところの、「バランスのとれた食事」です。

調理に薬効スパイスを使うことで、食べ物はより消化がよくなり、体に簡単に吸収同化されやすくなります。(アーユルヴェーダの料理で最もよく使われるスパイスの代表は、クミン、コリアンダー、生姜、ガラムマサラ、ヒング(アギ)、ターメリック、フェヌグリークなど)これらを混ぜたものがカレー粉です。

こういったスパイスを日々少しずつ、確実にとることで、消化力と消化管全体の健康維持にとても役立ちます。

アーユルヴェーダ的な食事というものは、どんなものも、その根底にあるのは「食べたものがよく消化されて、体に毒となって残らないようにするために工夫されたもの」。アーユルヴェーダでは、とにかくいつでも、シツコイぐらいに「消化を促進すること」が強調されるのです。

消化促進スパイス

 

■食事をするときのアドバイスと注意点:

日々、6つの味がバランスよく含まれた食事をとること、そして他の重要なポイントが、食べる時間。
アーユルヴェーダでは、一般的に次のようなアドバイスをしています。

1.規則的な時間に食べる
→ 朝食は朝8時前、ランチは朝11時から昼1時、夕食は午後5時から7時の間が理想的とされています。

2.食事と食事の間は、5、6時間あけ、食べた物が完全に消化してから次の食事をとる。(消化力が強く、食欲旺盛な人は、食事と食事の間に、果物や軽食、ジュースやナッツ類などをとります。)

3.冷たい飲み物はさける。
→ 冷たい飲み物は、消化の炎を消してしまいます。

4.食事中に水を飲みすぎないこと。
→ 水を食事中に飲みすぎると、消化酵素が薄まり、消化力が弱まります。

5.食べているときは、少量の室温の水をすする。
→ これは、食べ物が胃の中で砕かれやすくなり、消化プロセスを促進します。

6.消化できない量を食べないこと。

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バランスよく食べ、食べたものは完全に消化されるような習慣は、病気の根源となる体に蓄積された毒素を解毒し、また体に毒が溜まらないようにする予防策にもなります。

体がいつでも自動解毒されれば、肌には透明感が増し、髪にも十分な栄養がいきわたりやすくなるので、見た目的な美容にも大いに貢献します!

 

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