■身近なものでヘルスケア&美容。 ~第二回 「大根編」part.1~インド生活『村上アニーシャのアーユルヴェーダ』vol. 167

大根

身近なものでヘルスケアシリーズ、第二回目の今回は、スーパーにいけば簡単に手に入る旬の野菜、「大根」をテーマにお伝えしていきたいと思います。

日本では大根おろしや漬物、煮物などに使われることが多いこの野菜、インドでもよく食べられている野菜のひとつで、

インドの大根(ムーリーと呼ばれています)は小ぶりで大根おろしにして食べるにはあまりにも辛味がきつく、おもにサブジ(カレー味の野菜料理)やスープで食べられることがほとんどですが、サラダやピクルスなどにもよく使われています。

やや地味め感のあるこの根菜には、根はもちろん、花や種、葉にも多くの健康効果があり、ビタミンCが多く含まれているので、定期的に食べることで風邪や咳から身を守り、基礎免疫力を高めることができます。

なので、コロナウィルスの蔓延で緊張が高まる今、大根は私たちの免疫向上にも役立ってくれるはずなので、大いにこの大根パワーを活用したいところです。

大根はまた、有害なフリーラジカル、炎症、早期老化を抑制するともいわれ、この野菜に含まれる胆汁の流れを促進する硫黄ベースの植物化学物質のパワーが血液や肝臓を浄化し、脂肪の消化を最適化してくれる貴重な野菜です。

 

★アーユルヴェーダにおける大根

大根

(インドのスパイシー大根料理)

アーユルベーダの古典的な文献には、現代の栄養学と同様に、黄疸、痔疾、消化不良、便秘、泌尿器疾患、喘息、糖尿病、皮膚疾患、脂肪肝状態などに大根を推奨していて、大根を主成分とした次のような独自のアーユルヴェーダ薬もあります。

*ムーラカケシャラ
→排尿困難と尿路結石の治療の薬。

*ムーラカディカシャヤ
→傷も早く治る、小児の皮膚病の治療の薬。

*シュシュカムラカタイラ
→外傷などによる浮腫と炎症の治療に使われるハーブオイル。

*サルシャパディプラレパ
炎症を起こしたシストやリンパ節などの乳頭に外用するハーブペースト。

大根はまた、強力な抗糖尿病作用を持つことでも知られています。
特に高齢の糖尿病患者で痔の症状がある場合、血糖値をコントロールしたり便通をよくするために使われています。

 

★大根は生と加熱、どっちがいいの?

大根

(インドの大根は細くてスリム)

インド生活しはじめの頃、野菜市場で大根を見つけたので、大根おろしにして食べてみたところ、甘味のある日本の大根とは程遠い辛さで、即効でピッタを悪化させてしまい、ひどい吐き気に襲われたことがあります……。

もともとピッタが強い体質で、しかもただでさえピッタの悪化しやすい暑い気候、さらにはピッタを悪化させる辛い味の食べ物のトリプルパンチをくらってしまった当時の私は、ピッタの典型的不調、下痢によく見舞われたものでした……。

それはともかく、日本の大根のように甘味がある種類の大根は生で食べても一応OKといわれていますが、アーユルヴェーダの観点では、消化管のピッタエネルギーを大幅に増大させる大根は、加熱調理したできたてのものを食べるのが理想的で、特にヴァータタイプとカファタイプの人たちにとって理想的な食べ物と考えられています。

大根には主に小さい種と大きい種の二種類があり、小さいものは苦味と辛味があり、熱くする質があり、乾燥させます。

大きい種のものは、刺激的かつ甘味があり、小さい種のものと比べると穏やかです。

どの種も、オイルで炒めるなどして加熱することで、三つのドーシャすべてのバランスをとる体に優しい食べ物になります。
また、切干大根のような乾燥させた大根は消化が軽く、炎症や毒性がある時に適した食べ物と考えられています。

◎次回は、大根の持つたくさんの健康効果についてさらにお伝えしてきます。

 

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(トップ画像/さまざまな種類の大根)