■アーユルヴェーダ的、冬の過ごし方。part.1~インド生活『村上アニーシャのアーユルヴェーダ』vol. 160

アーユルヴェーダ

アーユルヴェーダ的、冬の過ごし方。part.1

寒い、冬の季節がやってきましたね。
だいぶ長い間、一年中半そでとサンダルで事足りる暑い国で過ごしてきた私にとって、本当に久しぶりの日本の冬は、ちょっとした試練になるのではないかと、今から覚悟している状態です。(笑)

さて、そんなこともあり、アーユルヴェーダの知恵をしっかりと拝借し、フルに活用して、寒い冬でも不調知らずな快適生活を送りたいものです。

ところでこの季節は、他のどんな季節よりもお腹が空きやすく、食べ物がいつもよりもおいしく感じられ、ついつい多めに食べてしまうようになるのは、決して偶然ではありません。
これは、私たちが季節的な影響を受けている証拠です。

アーユルヴェーダの専門家、ヴァサント・ラッド医師によれば、冬に食欲が強くなるのは、私たちの体が寒さに対応して、熱を末梢組織(神経系のうち、脳や脊髄といった中枢神経系以外のもの)から胃などの体の中心部に集めようと肌の毛穴と表層の結合組織を収縮させ、熱の損失を防ごうとするからだそうです。

寒いと肌が引き締まり、縮こまるような感じがしますが、これは外気が寒いからというだけでなく、体が熱を逃さないようにするためでもあったのですね……。

体とは本当によくできているものです。

アーユルヴェーダ

(冬は異常にお腹がへる季節〈写真イメージはヴィーガン寿司〉)

また、冬に寒さによってカファやヴァータが誘発されてバランスを崩してしまうと、アグニ(熱)は急降下し、一般的に風邪や血行不良、関節痛、さらにはネガティブな感情の影響を受けやすくなるともいわれています。(このため、寒い地方や国に住む人たちは、温暖な地方や暑い国で暮らす人たちに比べ、うつになりやすい傾向があるともいわれています。ちなみに寒い場所に住む人たちに酒豪が多いのは決して偶然ではなく、気候的に体を温める必要があることから、いつのまにか大酒飲みになってしまうのかもしれません)

話がちょっとそれましたが、本題に入りましょう。

 

★冬にバランスを保つための最善策

アーユルヴェーダはもともと、一万年以上前に、現代の私たちとはまったく違う文明、人々の生活が自然界と密接に絡み合っていた文化の中で栄えたものだといわれています。

賢者たちは、自然の偉大なリズムとパワーを理解し、昼と夜のサイクル、季節のサイクルのすべてが、私たち人間に影響を与えることを熟知していました。

自然と調和しているということは、何も外部の自然環境との調和だけでなく、私たちがもともと遺伝的にもっている気質、体質(アーユルヴェーダ用語でいえば「プラクリティ」と呼ばれているもの)との調和も意味します。

プラクリティは三つの微妙なエネルギー(ドーシャ)、「ヴァータ(運動エネルギー)」「ピッタ(消化または代謝エネルギー)」「カファ(潤滑と構成のエネルギー)」で構成されています。

季節もまた、プラクリティのように、ヴァータ、ピッタ、カファの三つのサイクルによって特徴づけられます。

アーユルヴェーダによれば、一年中健康でいたいなら、これらの自然サイクルと調和することは必須です。
季節にあった食べ物、運動の種類と量、とるハーブなどを、普段の生活に取り入れることです。
こうすることで、各季節からの影響を意図的に制御できます。

冬は、曇り空が多くなり、気温は下がり、湿気が多くて重たくなります。
この季節は都市部でさえも、生活ペースがゆっくりになります。

アーユルヴェーダ

(ヘビードリンカー〈大酒のみ〉は寒い国に多い)

このカファ優勢の季節に、カファが過剰になると、低迷、粘液関連の病気、体重増量、執着、ねたみ、貪欲さなどのような否定的な感情となって表れると考えられています。

また、寒く乾燥した、風の強い天候は、ヴァータ悪化も引き起こしがちで、ヴァータが悪化すれば関節炎や消化不良他の形で表れることがあります。

このため、気温が下がったときは、カファとヴァータの両方を緩和させることが大事になります。

◎次回 part.2 では、具体的に有効な冬の日課についてお伝えしたいと思います。

 

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(トップ画像/冬はカファ〈+ヴァータ〉優勢の季節)