■味の効用part.9~「塩味」の効果 ~ インド生活『村上アニーシャのアーユルヴェーダ』vol.125

引き続き、「6つの味がもたらすそれぞれの効果」についてお伝えしたいと思います。
今回は、私たちが普段からよくなじんでいる味のひとつ、「塩味」についてです。

 

★塩味の効能

塩味は、血漿に栄養を与え、身体の通路をきれいにし、硬直を防ぎ、精神を増強させる他、だるさや鈍さを鋭い状態にもっていき、創造性の欠如に対抗するために有益な味と考えられています。

また唾液分泌を高め、消化と吸収、同化、排泄、筋力をサポートし、電解質バランスの維持、体へ潤いを与えるような働きがあり、エネルギーを供給し、粘り強く地に足を着かせ、神経系を和らげるということです。

私がインド生活でよく思ったことは、インドの人たちは肉体的にも精神的にもタフ。
ちょっとやそっとのことではびくともしないので、脆さのようなものはあまりというかほとんど感じられませんでした。(鈍感すぎると思う部分も確かにあるのですが、どどーんと大地に根付いている感じで逞しいのです)

今思うとこれは、普段から塩味をたっぷりと食べているからなのかもしれません。
ちなみにインドの人たちの辞書に「減塩」という言葉は存在しません。
私たち日本人の感覚では、塩辛いぐらいが、インドの人たちにとっては普通です。

ところで私が今住んでいるタイのバンコクには、タイに長く住んでいるインドの人たちがたくさんいますが、インドに住んでいるインド人たちから感じられるアクの強さや逞しさ、生命力の強さはなぜか感じられません。

インド人でもタイに長く住んでいるとマイルドになり、こんなに存在感が薄くなってしまうものなのか……と、日々残念に思う次第です。(余談でした)

(塩味が効いたインドの前菜スナック、「パパド」)

 

《もたらされる効果》

*構成要素は「水」+「火」
*ヴァータのバランスをとる
*ピッタとカファを悪化させる
*ヴィルヤ(温度) →加熱する(加熱する味の中でも最も熱い)
*ヴィパカ(消化後の効果) →甘味
*特質 →重い、油っぽい、熱い
*関連するポジティブな感情 →勇気、自信、熱意、関心
*過剰になったときの感情 →誘惑、中毒、執着、貪欲、所有欲、イライラ
*舌の場所 →舌の後端
*器官への親和性 →腎臓
*最も影響を受ける組織 →血漿、血液、筋肉、脂肪、および神経組織
*動きの方向 →下降
*その他の作用 →鎮痙、食欲促進、去痰、抗肥満、湿らす、下剤

 

★塩味を示す食材例

では具体的に、どんな食品がこの味なのでしょうか。

野菜: セロリ、海藻類
魚類: まぐろ
乳製品: カッテージチーズ
その他: 食塩、海塩、岩塩、醤油

などになります。

(ソルトスクラブはむくみ取りに◎。)

 

★取りすぎると……

少量の塩は、食材の風味を高めますが、塩味は甘味や辛味と同様に中毒性がある味でもあるので、過剰に使うとすべてのドーシャを乱す可能性があり、その症状として体に水分がたまってむくんだり、高血圧、灼熱感、胃酸過多、白髪、薄毛、腸の炎症、潰瘍などの症状となって現れることがあるといわれています。
(長期保存のきく加工食品には、多量の塩分が含まれているので、知らないうちに多量の塩分をとってしまっていることもあるので注意が必要です)

 

★唯一例外の「岩塩」

天然ミネラル塩の岩塩は、アーユルヴェーダの伝統において最高の塩としてすすめられている塩です。

これは岩塩が、一般的な他の塩と違い、多様なミネラルを含みバランスがとれ、加熱する効果(ピッタを悪化させる効果)よりも冷却する効果があるため。

ピッタ体質で塩が大好物の人に、特におすすめです。

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塩はまた、外用としてバスソルトやお肌のスクラブの形でもよく使われることがありますが、外用として使う場合、体内の水分や毒素を取り除き、むくみや炎症を軽減し、傷の癒えを早める効果があります。
ということで、むくみとりや美容にも、たっぷりと塩を活用しましょう!

 

《村上アニーシャ さんの記事一覧はこちら》
https://www.el-aura.com/writer/%E6%9D%91%E4%B8%8A%E3%82%A2%E3%83%8B%E3%83%BC%E3%82%B7%E3%83%A3/?c=73188

 

(トップ画像/ピッタに最適なミネラル塩「岩塩」)