■味の効用part.3 基本となる6つの味:「甘味」「酸味」「塩味」「刺激性の味」「苦味」「渋味」~インド生活『村上アニーシャのアーユルヴェーダ』vol.119

前回では、味の効果を知る上で知っておくと便利な、4つの専門用語についてのさわりをお伝えしました。
今回はその中のひとつ、「ラサ」についてご紹介したいと思います。

 

★ラサ(味)について★

食べ物の味は、ラサと呼ばれています。
私たちが普段なじんでいる味には、6つの味(甘味、塩味、渋味、苦味、刺激性の味、酸味)があることは、すでにお伝えした通りですが、

味の役割というのは一見、単においしいかまずいか。という味覚的な快楽うんぬんだけに関係しているように思えますが、アーユルヴェーダでは、これらの味は味蕾(舌や軟口蓋にある食べ物の味を感じる小さな器官)だけで感知されるわけではなく、私たちの体に備わる知性が、その食べ物の質を判断する上でも大事な要素となるものと説明しています。

また、このラサという言葉には、いくつかの意味があり、「味」以外に、「第一印象」という意味もあるということです。
つまり、ある食べ物を食べるとき、その最初の印象が「味」。
という風にも解釈できます。

食べ物を口に入れたときに最初に私たちが知ることは、舌の上で作り出される感覚です。
その感覚は、食べ物によって楽しいものだったり、あるいは不愉快なものだったりします。
そしてその食べ物の味は、その食べ物に対する体の反応にまで及ぶということです。

食べ物は、年齢、そのときそのときのアンバランス状態、最近食べたものなどによって、同じ食べ物の味が違うように感じられたりします。
これは私たちの舌にある味蕾が、常に変化し続けているためで、この味蕾はまた、私たちの血液の状態と常にコミュニケーションをとっているというのです。

私たちが妙に欲しくなるある特定の食べ物への渇望は、味と血液の状態が密接に関係しているために起こると考えられています。
このように味は、食べ物、体、私たちの血液の状態、特定の食べ物への強い欲求などとくっついているのです。

このため、ラサの科学を知ることで、ある特定の食べものへの渇望をなくすことができたり、心や体の状態も変えることができるというのは、納得できると思います。

(アーユルヴェーダでよく使われる、銅製の舌クリーナー)

また、それぞれの味は、前々回でもお伝えしたように、2つの要素から構成されています。
そして、二つ以上の味が組み合わされている食べ物もざらにあります。

例えばニンニクには、塩味以外の5つの味がすべて含まれているといわれ、セロリは刺激性の味と苦味の両方が含まれています。
あるいはリンゴは、甘味と酸味の二つの味が同時にあります。

食べた後、その食べ物がもつラサは、そのまま血液のラサとなります。

例えば甘いラサを持つリンゴジュースを飲めば、ラサが舌を通過し、リンゴのタンパク質、脂肪、炭水化物、ビタミン、ミネラルが、私たちの血液にたどり着き、血液を「甘く」します。

私たちの舌にある味蕾は、正常に機能している場合、体の知性は、その食べ物が血のラサと適合しているかどうかを知ろうとして、食べ物のラサをいち早く感知するのです。

……本当に人間の体というのは、よくできていますね。(まさに神のなせる業です)

このように味は、食べ物が体に与える影響をあらかじめ予測し、食べているものがどんなものなのかを知覚するために役に立つのです。

 

ということになると、おのずと、人工甘味料が問題が見えてくると思います。

(人工甘味料は、体の知性を混乱させる)

体は甘い味を舌で感知し、当然その味と関連した栄養分を期待しますが、人工甘味料の場合、その甘さは錯覚です。

つまるところ、食べ物が、味が約束している効果を体にもたらすことがないので、味蕾の自然な知性を混乱させてしまう可能性があるのです。

アーユルヴェーダによれば、本来なら味は、舌の上だけにとどまらず、胃腸管全体と血液にとても敏感な、身体のあらゆる部分を含む多くの領域(消化と排泄、感情と気分、代謝、エネルギーレベル、睡眠、分泌物など)に影響を及ぼすものです。

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アーユルヴェーダの日課ではよく、毎朝舌をこすることがすすめられますが、あれは舌の表面を覆う膜を掃除し、舌のツボと連動した体の各部位を刺激して、味への感知力を高めるために行われます。

こうすることで、味を介して食品の薬効を予測する能力(体に備わる英知のひとつ)がひとりでに開発されるというわけです。

このため、アーユルヴェーダを直感的かつ効果的に使用するためにも不可欠な最初のスキルが、この「味覚を鋭敏にすること」だといわれています。

◎次回は、ふたつめの専門用語「ヴィルヤ」についてお伝えしたいと思います。

 

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http://www.el-aura.com/writer/%E6%9D%91%E4%B8%8A%E3%82%A2%E3%83%8B%E3%83%BC%E3%82%B7%E3%83%A3/?c=73188

 

(トップ画像/舌は、おいしいまずい以外の信号も体へ送る)