■人間を癒す薬としての植物。~5~インド生活『村上アニーシャのアーユルヴェーダ』~vol. 180

ダツ

植物は、私たちが生きていく上で必要となる食べ物として、また酸素を提供してくれるものとして、また、その醸し出すオーラによって私たちを癒す役割を担っている生命体であることは、前回までの流れでお伝えしましたが、

これら植物にも、私たち人間と同じように、血液、血漿、筋肉、脂肪、骨、骨髄と神経組織、生殖組織の七つの組織(アーユルヴェーダの専門用語でいうところの「ダツ」)があります。

動物のように赤い血が生々しく流れているわけではないので、わかりづらいかもしれませんが……。

今回はそのあたりのことについて、ご紹介したいと思います。

 

★七つの身体組織(ダツ)とオージャス

アーユルヴェーダではハーブを、作用する組織によって分類しています。
この分類には、神経や生殖組織に作用する特殊なハーブや物質(鉱物や金属など)に関する知識も含まれます。

アーユルヴェーダでは、精液あるいは生殖組織は、私たちの身体組織すべての本質として見なされ、この中には生殖能力だけでなく、若返り力も含まれます。

精液の成分は、梵語で「活気づけるもの」「元気を与えるもの」を意味する「オージャス」と呼ばれ、オージャスが豊富にあるか枯渇しているかによってその人の肉体的そして精神的な若さ(これは年齢的なものも関係しますが、ライフスタイルや食べ物など、さまざまな要因により強化できたり逆に弱まったりします)が決まるといっても過言ではありません。

大雑把に言ってしまえば、性欲が強ければその人のオージャスも強いわけです。(瞑想によって性欲が創造力に昇華されている人もいるので一概には言えませんが)

さて、このオージャスは体の本質であり、すべてのホルモン分泌物となる物質として、私たちの自己免疫系を支えている、クリームのようなものと考えられています。
(オージャスについてより詳しくは、バックナンバー「Vol.17~23、Vol.138」をご参照ください。)

ダツ

(インドの家庭料理)

植物も人間と同じように7つの組織(血漿、血液、筋肉、脂肪、骨、骨髄と神経組織、生殖組織)から構成され、それぞれの部位は人間の体の以下の部位に対応しています。

・植物(主に葉っぱ)の汁 → 血漿
・樹脂、樹液 → 血液
・軟材(軟木) →筋肉
・樹液(ネバネバしたヤニ、硬い樹液) → 脂肪
・樹皮 → 骨
・葉っぱ →骨髄と神経組織
・花と果実 → 生殖組織

花を咲かせる木は、これらの組織が最も発達した状態を表しています。
また、木と植物界の関係は、人間と動物界の関係と同じです。

こう考えると、植物は私たちのように体と意識を持った生命体のひとつだということが、よりわかりやすいのではないでしょうか。

 

またアーユルヴェーダでは、これらの植物の各組織は、人体の対応する組織に働きかけると考えられています。

つまり、植物の葉汁は私たちの体の血漿に、樹脂は血液に、軟材は筋肉に、樹液は脂肪に、樹皮は骨に、葉は骨髄や神経に、花や果実は生殖器に作用します。

植物の種子は、私たち自身の種子や先天的なルーツとの親和性によって、先天性の病気や機能不全を治療するということです。

植物にもまた、私たち人間と同様に、組織内のエネルギーとオージャス(愛)があるため、私たちが愛情をこめて植物を使うとき、その植物にオージャスを伝達することができ、そのように大切に扱われ作り上げられたハーブ薬には、驚くほどの効き目があったり、不思議な働きがあることがあるといいます。

愛情こめて作った料理がおいしく、実際の栄養素以外のものをその料理から受け取ることができるのと同じですね。

ダツ

(ハーブの癒し力を使ったアロマテラピー)

つまり、愛が真の癒しの力であり、ハーブと匂いを用いた手段(アロマテラピーなどもこれに含まれます)は、単にそれを伝える媒体のようなものなのだ、と、ドクター・ヴァサント&デビット(The Yoga of Herbs の著者)はいいます。

このように、植物を人間として、あるいは逆に人間を植物としてイメージすることができることで、体の組織を自然の偉大な治癒力と調和させることができるのです。

 

(つづく)

 

《村上アニーシャ さんの記事一覧はこちら》
https://www.el-aura.com/writer/%E6%9D%91%E4%B8%8A%E3%82%A2%E3%83%8B%E3%83%BC%E3%82%B7%E3%83%A3/?c=73188

 

(トップ画像/葉汁をしぼったグリーンジュースは植物の「血漿」)