塵と埃にまみれた新居を全員で大掃除を終えた翌日、私たちが向かった先は、エダパリ―にある最新のショッピングモールでした。
◆インドのLulu mall~ショッピングモール~◆
実はインドにある普通の個人商店は、あまり魅力的ではありません。
店構えもいま一つなら、店内にも買いたいと思うような商品はほとんど見つかりません。
生活必需品がまだまだ足りていなかった私たちは、シェリフご夫妻とヒシャム君一押しのLulu Mall.へと向かったのでした。
Lulu mallとはさしあたりAEONのインド版、いわゆるショッピングモールです。
生活必需品は何でも揃うほどの品揃えの他に、食料品、特に肉・魚・乳製品は安心して購入できる場所でした。
前日のボロボロのお店に落胆していた私には、これからの3か月間、安心して買い物が出来るショッピングモールへの期待は高まっていました。
◆インドの交通事情◆
新居からモールまでの道のりは約22km。
都内だと電車で30分ほどあれば移動できる位の距離でしょうか?
でもインドでの街中の移動はボロボロの路線バスか、バイクかスクーター、もしくはオートリクシャと呼ばれるトゥクトゥクに車といった具合で、電車は長距離用しか無いのです。
そんなわけで、電車以外の移動手段に頼るしか方法が無いのですが、経済発展と共に増えたのが交通量であり、それを緩和する為に地下鉄の建設に乗り出したようです。
でもその工事ゆえ、3車線の道路のうち1車線を地下鉄工事の為に閉鎖してしまっているので、大渋滞を引き起こしていました。
なかなか先に進まない車の中で、「この地下鉄はいつ完成予定なの?」と車を運転してくれていたヒシャム君に聞くと、ニヒルな笑みを浮かべて一言、「いつ出来上がるかなんて、わからないよ。」との返答。
それもそのはず、車窓から見える労働者たちは道路を鍬で掘っているのですから。
人力に頼っての地下鉄工事は完成までに100年ぐらいはかかりそうな予感????
もっともこの非効率的な働き方も、彼らに言わせると立派な失業者の雇用対策となっているそうなのですが、しかし、いかんせんこの渋滞による経済的損失の方が私にはずっと大きいように感じました。
でも“Time is money.”という感覚が全く無いインド人にとって、建設までに何十年かかろうと何百年かかろうとも、けして騒ぎ立てるほどの大した問題ではないようです。(-_-;)
さて、この渋滞は、軒並み日本の帰省ラッシュ時の高速道路といった感じで、待てど暮らせど動かない。 車内で耐える事約2時間。
途中で待ちくたびれた次女は、知り合ったばかりのシェリフさんのひざの上で抱っこされたまま、すっかり熟睡していました。
わが娘ながら、どこに行っても羨ましい限りのマイペース振りです。
そしてやっとたどり着いたモールはこんな感じでした。
ここは想像以上に立派で綺麗な作りだったので、娘たちの喜びようは半端ないものでした。
◆生活に密着する信仰の余波◆
やけにモールが混んでいるなと思ったら、私たちがモールを訪れた時期は丁度、イスラム教徒たちにとって神聖なラマダン(断食)の最中。
1か月もの間、日が沈むまで一切何も口にしてはいけないという厳しい戒律を守るイスラム教徒のインド人達が、暇を持て余して大挙してモールに集まっているとの事でした。
実は、私たちをお世話してくださったシェリフご夫妻も、ヒシャム君もイスラム教徒。
私たちが食事をしている間、断食中の3人はニコニコしながら食べ終わるのを待っていてくださったのですが、今、思えばあの時は彼らも暇を持て余していて、私たちが良い暇つぶし相手になっていたのかもしれません!?
シェリフさんもヒシャム君のお父様も、元々中東のカタールで日本企業に勤めていた人達でしたから中流階級の上の方でしたが、南インドから出られない人たちはまだまだ電化製品を買うお金すらないような貧困さです。
そんな南インドにはさしたる娯楽もなく、出来たばかりのショッピングモールは彼らにとっては一大娯楽施設。
もちろん大半のインド人は使うお金は無いので、モールには買い物に来ると言うよりもただ中をぶらぶらと歩いているだけ。
そしてなんと、このショピングモールを見学に南インド各地から観光バスまでやってくるのだそうです!!
さてそんな南インドの人から熱い注目を浴びるこのモール内に入っている店は、民族衣装を扱うサリー専門店や、インド人の女性が大好きな金のアクセサリーを扱う貴金属店、それに、マクドナルドにケンタッキーフライドチキンなどの飲食店舗です。
特筆すべきは、マクドナルドのメニュー。 ヒシャム君によると、インドのマクドナルドのメニューには肝心な「ハンバーガーが無い」のです。ヒンドゥー教徒にとって牛は神様。牛肉は決して食べません。そしてイスラム教徒にとって豚肉は不浄な食べ物なので、メニューにあるのはチキンバーガーとベジバーガ-(野菜バーガー)のみの構成になっているのだそうです。
そして、びっくりしたのは4階のフロアの1/3を占める遊園地!!。
もちろん遊園地を目の前にして、娘たちがおとなしくしている訳がありません。
しぶとく遊びたいとおねだりをされたものの、今回の目的は生活用品の買い出しでしたから、次回まで待ちなさいと厳しく諭して諦めさせました。
しかし、それ以降は、暇を持て余した娘たちのストレス解消の為に、週一回の割合でこの遊園地で遊ぶことになるのですが……。
この買い出しでは結局、毛布から鍋、トイレットペーパー、学校で使う文房具、調味料、食料品などカート2台分いっぱいになるほどの量を買って帰宅の途についたのでした。
つづく
★前回までの記事はコチラ↓
【インド・アーユルヴェーダ留学記 その1~インド人でいっぱい~】
【インド・アーユルヴェーダ留学記その2 一路、スピリチュアルな国インドへ】