龍よりも鹿の霊力が強いだと……。強面神々もへっちゃら! コミュニケーション能力とフットワークがレベチで飛躍する、鹿の神天迦久神の力があなたに宿る時がきた!

鹿の力

鹿の霊力は龍神よりも強い……。古事記の国譲りは鹿神のおかげで成功した。

天迦久神(あめのかくのかみ)をご存じだろうか? この神は古事記に出てくる神で筆者の住む奈良市には欠かせない存在だ。それは鹿の神である。奈良の春日大社の鹿は天迦久神の子孫である。茨城県の鹿島神宮の武甕槌神(たけみかづちのかみ)を背中に乗せて奈良の春日大社に送り届け、そのまま奈良に住んでいらっしゃる。このように書くと武甕槌神の従者のように思われるが、ちゃんと独立した神だ。そのような伝説は天迦久神としては本望ではないはずだ。

元を紐解くと、天迦久神の活躍は古事記にある。天照大神と大国主命の間で行われた国譲りを巧みな交渉術と行動力で成功に導いた。大まかな説明は以下でするが、ただ背中に神を乗っけて運んだだけではない。奈良には鹿さんマークのバス会社がある。乗車するのは人でなく神様、お客様は神様ということだろうか。

乗せるだけならバスでもできる。単なる鹿が神様を乗せただけで鹿神として、天迦久神なんて名がつくだろうか。鹿の背中によりもバスの方が神様も快適だろうに。そこで、気になるのが私達の龍神だ。あの龍神でさえ龍の神ぐらいしか名付けてもらっていないのに……。となると、龍よりも霊力が強いということになる。龍よりも鹿の方が霊力が強いだと……。


あの鹿乃子は天迦久神がモデルだったのか……。

ところで、2024年の夏に放送されたアニメの中で、予想外に人気を得たのが「しかのこのこのここしたんたん」。主人公は鹿と女子高生のハイブリッド鹿乃子のこ。人間離れ鹿離れした超能力をもっているという設定。内容は東京の日野市を舞台にした学園モノのハチャメチャコメディだ。驚いたのは、作中、鹿乃子のこが神社の神として祀られている話があった。これは、何気に天迦久神をモデルにしているのではないかと思った。今はプライムビデオなどで配信されている。機会があればご覧いただきたい。

それならば、奈良のマスコットキャラクター「せんとくん」がいるじゃないか、とのツッコミが入るかもしれない。せんとくんのベースは童子である。童子は仏教を由来とする言葉。意味はざっくりと菩薩とか得度前に仏門に入った少年などである。つまり神ではない。神がモデルだといろいろ怒られる。ちなみに、せんとくんはしかのこのこのここしたんたんにも登場する。

実は、鹿乃子のこやせんとくんのように何気に頭に鹿の角を付けたくなるのは、私達のDNAに刻まれたた天迦久神の記憶が影響していると考えている。というのは、鹿の角を頭につけるのは、太古の世界において、共通したシャーマンの証だったのだ。

しかのこのこのここしたんたんの作中で、主人公の鹿乃子のこの頭の鹿の角がセンサーのように様々なモノを感じ取るシーンがある。まさにこんな風に鹿の角にはスピリチュアルな力あるとされ、能力の高いシャーマンほど、鹿の角を頭に付けていたらしい。さらに、鹿の皮もマントのように着ていたとこのことだ。

太古の日本でも、そのようなシャーマンが集団をなし、当時の権力者たちに能力を買われ活躍していたそうだ。その集団を天迦久神とする説もあるとのこと。

鹿の力


天照大神が葦原中国の平定を目指す国譲りは想定外に難航。最後は鹿神の力で時が動いた。

高天原の天照大神(あまてらすおおみかみ)は辛酸をなめていた。理由は、高天原と黄泉の国の間にある葦原中国(あしはらのなかつくに)の国譲りが困難をきわめていたからだ。葦原中国は日本列島をいう。伊弉諾尊(いざなぎのみこと)と伊邪那美命(いざなみのみこと)が作った日本列島を出雲の大国主命が治めていた。彼が治められるくらい日本列島が安定したので、そろそろ高天原の神々が降りて直接統治しようとしていた。これが国譲りである。ところが天照大神が思ったほど甘くなかった。悲劇が起こったのである。

まず最初に使者として送った天菩比命(あめのほひ)は大国主命に魅了され従者となった。次に送った天若日子(あめのわかひこ)は大国主命の娘と結婚した。天若日子が葦原中国の王になろうとしているのではと、高天原の不信を買い、高天原から警告のための矢が放たれた。運悪く天若日子に当たってしまい絶命。葦原中国の人々はもちろん、高天原の神々も悲しみに暮れた。

そこで、強力な神を派遣しようとした。その神とは伊都之尾羽張神(いつのおはばり)である。この神は天安河の河上の天石屋にいた。なんと天安河の水を逆流させ、せきあげて道を塞いでいたので、神であっても会いに行くことができなかった。

そんな時、鹿神の天迦久神が伊都之尾羽張神との交渉に遣わされた。天迦久神は難なく伊都之尾羽張神の元に辿り着き、首尾よく交渉が成立。伊都之尾羽張神の息子の武甕槌神が大国主命の元へ向かうことになった。この時、天鳥船神(あめのとりふね)に乗って行った説が有名だが、天迦久神の背中に乗って行った説もあるそうだ。

逆流する川を制する力は龍神の力しのぐ鹿の霊力。神でも会いたがらない強面の神に会い行く俊敏な鹿のフットワーク。思い通りに交渉できる鹿のコミュニケーション力。

川は龍の象徴で龍の別形態でもある。そんな川が逆流し、せきあげられているとは、通常のせきは瀧のように上から下に流れ落ちる。しかし、この場合、瀧の流れが下から上へ流れ上がっているようである。川にこのような細工をするのは龍を超える力をもつ龍神が関与しているのは間違いないだろう。

そんな川を悠々と渡り切れるのは、鹿しかいなのだ。鹿はどんな水をも渡ることができる霊力があるとされている。それはまるで水面を歩くかのように……。まるで「もののけ姫」のシシガミ様のようだ。これで鹿の霊力は龍神のそれを超えるとみていいかもしれない。そんな力を持っているから、天迦久神の名がついている理由がわかるような気がする。

伊都之尾羽張神は伊邪那美命を死に追いやった火の神、火之迦具土神(ほのかぐつちのかみ)を斬った刀でもある。そんな畏れ多い神にすんなり会いに行く心構えと言われたとおりの成果を上げる交渉力。神話ではその詳細は分からない。奈良の春日大社の鹿さん達を見ていると、その時の天迦久神の様子が浮かんでくるように思う。

その時、鹿さんはこう言った「鹿と触れ合う機会が多くなると、誰もそうなるよ! みんな~奈良公園に遊びに来て~、みんなにも鹿神の力を分けてあげるよ~」とのことだった。奈良公園の鹿に会ったら、あなたに鹿神である天迦久神の力が宿るかも……。



筆者紹介:あるぢ(有地 正敬)ライターの他、ひぃりんぐ処あるぢや代表で、魂の目的、魂の名前、魂の色、前世などスピチュアルなオンライン鑑定をしています!





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