ポタリングでどこまでいける? 熊野街道7 神石市之町から大鳥大社へ。〜前編

ポタリング

●石津川をどう渡るか。

この辺りは、これまでポタリングしてきた街の中とは少し違っていて、道というより大きな道路が多い。
その大きな道路を大きなトラックが走り過ぎる。
そして、石津川を渡らなければならないという課題がある。

自転車では渡りにくい橋もあるし、橋は見えていてもなかなかそこに行く道を見つけられないこともあった。
昔の熊野詣はもちろんもっと過酷だったに違いない。
石津川もきっと橋なしで渡ったのだろう。
でも苦行よりポタリングを選んでいる熊野詣。
石津川を渡るのに苦労したくなかったので、今回のスタートは石津神社には立ち寄らず東の方から大鳥大社への道を探した。

 

●熊野街道を継承する府道30号線を南へ。

府道30号線のもとをたどると、天王寺辺りではあべの筋、堺に入った辺りでは13号線と呼ばれている道になる。
熊野街道ポタリングでは、この道を通ったり、離れたりしながら何度も関わっている。
この道を、熊野街道を継承する道とする説もあるし、いろんな人が歩いた熊野への道だからきっとひとつではなく、集約してしまえば、この道はずっと熊野街道なのだと思う。

そんな府道30号線を行くと神石市之町という道路標識のあるところに着いた。
なんとなく謂れのありそうな名前だと立ち止まると、癒しの湯の看板の前に、熊野街道の立て札があった。
熊野に続いている実感。

さらに少し先にも同じ立て札があった。
そこにある地図によると、目の前にある二つの道のうちつい進んでみたくなるにぎわいのある道、ではない方の道を指し示している。

看板通りに馬場記念病院の前を行くと、今度は石造りの熊野街道の道標がある。
これらの道しるべがないとここが熊野街道とはわからない。
きっと迷っていただろう。
ちなみに神石市之町の名前は、神の石があるとかいうことではなく、明治時代の町村制施行による合併の際に神野荘と石津郷の一文字ずつを合わせてつけられた名前なのだそうだ。

ポタリング

(※府道30号線にある熊野街道の立て札)

 

●鳳小栗街道から大鳥大社へ。

しばらく進むと、大きな交差点に出た。
道路標識には、鳳小栗街道とある。
大鳥大社は大鳥と書くのに、この辺りの地名は鳳。
その謎を調べてみた。

もともとは地名も大鳥だったという説がある。
堺市のサイトによると大鳥は日本書記にもある古い地名で、大鳥連という豪族に由来するという。
現在の堺市のほとんどを和泉国大鳥郡が占めていたそうだ。
明治時代に大鳥村は鳳村に変わる。

現在、地名で使われている鳳には、聖人が世に出たときに現れる想像上の瑞鳥、鳳凰の雄という意味があるらしい。
瑞鳥(ずいちょう)とは、めでたいことの前兆とされる鳥。
また、大鳥大社には、日本武尊(ヤマトタケルノミコト)の御霊が大きな白い鳥となって舞い降りたという伝説があるので、鳳の地名は大鳥大社にも関係すると思ったけれど、堺市のサイトによると奈良時代の名僧行基が建てた神鳳寺に由来するらしい。

神鳳寺は、神宮寺として大鳥神社内に建てられていた。
末寺を数多く持つ大きなお寺だったらしいが、神仏習合の時代を過ぎ明治時代の神仏分離の際に廃寺となり、神鳳寺は姿を消していく。

きっとそのとき神鳳寺の名前を残したいとの思いもあって、大鳥村は鳳村になったのではないかな。
また、大鳥という神社の名前をいただくのを遠慮して地名は鳳とした、そんな説もある。

小栗街道という名前は、病気の治癒を願って熊野詣をした小栗判官と照手姫の物語にちなんでいる。
歌舞伎や浄瑠璃にもある有名な物語らしく特に堺、和泉では小栗街道の名前が見られる。

 

●大鳥大社、日本武尊と千種の森。

そのまましばらく進むと大鳥大社に着いた。
外から見ても広さがわかる。
御祭神である日本武尊の御霊が白い大きな鳥となって最後に舞い降りたのが、大鳥の地で社を建ててお祀りしたのが大鳥大社の起こりらしい。
広い千種の森は、白い鳥が舞い降りた時に一夜にして生い茂ったといわれている。
池が3つもあるそうだ。境内の地図を見ると蓮池とあったので行ってみたが近寄れなかった。

めずらしい樹木も多いらしい。
石碑をも巻き込んでしまっているくすの木、他の樹木さえも育んでいるくすの木には、偉大なパワーを感じずにはいられなかった。
大鳥大社のもう一柱の御祭神は、大鳥連祖神。
大鳥大社の立て札には、大鳥の連祖神は祖先に天の岩戸開きに功を立てた天児屋根命(アメノコヤネノミコト)を持つとある。

ポタリング

(※石碑を巻き込むくすの木と、他の樹木を育むくすの木。どちらも堺市指定保存樹木。)

 

ポタリング

(※石碑を巻き込むくすの木と、他の樹木を育むくすの木。どちらも堺市指定保存樹木。)

 

—— 後編へ続く ——

 

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(トップ画像/※大鳥大社の鳥居)