アンガーマネジメント Vol.7「どうしてたった10数えられないの?」

前回の記事では、

1.「怒り」の感情の奥にはネガティブな一次感情が潜んでいて、その溜まり具合によって怒りの導火線の長さが変わる。
2.外部刺激から「怒り」が発動する時間は、約2秒。この2秒をやり過ごす事ができるかが鍵!

という2点を学習しました。

今回からいよいよ具体的なアンガーマネジメントテクニックをご紹介していきます。

まず、イラッときたら『数を数えて』下さい。

1・2・3……10と数えるのは簡単すぎるので、100から3ずつ引いたり、また英語で数を数えるのもいいでしょう。これは専門用語で『カウントバック』というテクニックです。

これは数を数えるのが目的ではなく、速く数えられるようになるのが目的でもありません。
目的は、「怒りの対象から意識を逸らす」こと。

前回の記事でも申し上げましたが、私たちの脳は先ず大脳辺縁系で怒りを捉え(厳密に言うと、最初は目からの情報を通して扁桃帯で怒りを察知します)、その後理論的に物事を判断できる大脳新皮質で周囲の環境などを分析していきます。

そして高次認知機能を司る、大脳新皮質で怒りを捉えるのに必要な時間は「2秒」。
数を数えて、この2秒を稼ぎます。

これに関し、以前私の講義を受講された方が面白い事を言っていました。
「昔おばあちゃんから、怒ったら3秒数えろ」と教わった。
まさに知恵袋ですね。おばあちゃんはアンガーマネジメントを理解されていたようです!

ただ、「数を数える」というこんなに簡単なことを、皆さんやりません。
何で「たった10さえ数えられない」のでしょう?

これは、私達が余りにこのテクニックを軽視しすぎるために、普段軽い怒りを感じたくらいでは、実際に数を数えようとはしないからです。

そしていざ「この怒りをどうにかしたい!」と思うような強い怒りを感じた時には、普段やり慣れていない「カウンントバック」は頭から吹っ飛んでしまいます。

怒りのレベルが低い時には、実は「自分が今怒っている」と気付かないケースも多々あります。自分の心と体をスキャンするにはちょっと意識的にならないといけませんが、アンガーマネジメントは「慣れ」が必要です

脳は、ある分野を鍛えれば鍛えるほど、灰白質(かいはくしつ)という部分が増強され、それに特化した能力を身に付ける事ができます。数学だって毎日やればすぐに方程式を解けるようになるし、ピアノだって毎日練習すればソナタだって弾けるようになる。アンガーマネジメントも「技術」なので、たどるプロセスは全く同じです。

数を数えるなんて、そんな小学生でもできるようなことに意味があるのか?
と思う前に、ぜひ実践してみて下さいね。

【今日のまとめ】
イラッと来たら、数を数えましょう!単純に数えても意識を逸らせないので、ちょっと複雑にするのがポイントです。

 

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