「もっと豊かになりたい」
そう感じたとき、多くの人は「何を手に入れればいいか」に意識が向いてしまうことがあります。
けれど、本当の豊かさは、どれだけ持っているかではなく、どれだけ巡らせているかに宿っています。
それはお金に限らず、あなたの時間や知恵、思いやり、経験といった、目に見えないエネルギーのすべてが、豊かさの素材になっているのです。
■豊かさとは流れている状態のこと
たくさんのモノを持っていても、なぜか満たされず不安そうな人がいる一方で、特別な何かを持っていなくても、軽やかに笑いながら生きている人がいます。
この違いを生むのは、どれだけ持っているかではなく、エネルギーが流れているかどうか。
人とのつながり、感情や情報、チャンスや時間、それらが滞らず行き来しているとき、人は内側から自然に満たされていくものです。逆に、手放したくないという思いが強すぎると、流れが止まり、心も重くなってしまうことがあります。豊かさは、所有という静かな状態ではなく、循環という動きのなかに息づいているのです。
■与えることが流れのはじまり
運のいい人たちの行動を見ていると、案外シンプルだったりします。
・役立つ情報を、人にシェアする
・誰かの挑戦を、さりげなく応援する
・自分の時間や労力を、気持ちよく差し出す
そんなふうに、与えることにブレーキをかけず、自然と、流れの一部となっています。
余裕ができたら与えようではなく、与えるからこそ、運やご縁の流れが動きはじめる。
たとえば
・SNSで紹介した人のご縁から、自分の仕事につながった
・思い出した人に連絡してみたら、思わぬ転機が訪れた
・ボランティアの場での対話が、自分の価値観を変えた
あなたにも、きっと一つは思い当たる体験があるのではないでしょうか。与えることは、巡りのスイッチです。ほんの一歩の動きが、新たな流れを呼び込むのです。

■持っているから満たされるとは限らない
人は、「手に入れたら安心できる」と思いがちです。けれど実際には、「失いたくない」「もっと必要かも」「誰かに奪われるかも」という不安が、所有とともに芽生えてしまうことがあります。
所有は、ときに安心よりも、執着や恐れの種になってしまうこともあるのです。
一方で、自分らしく自由に生きている人たちは、持つことにあまり囚われていません。なぜなら、必要なものは必要なときに巡ってくると知っているから。失うことを恐れていないのではなく、流れを信じているのです。
彼らが大切にしているのは、「持ち続けること」ではなく、「循環のなかにあること」に宿る価値なのだと思います。
■小さな「与える」が人生の風向きを変える
「与える」といっても、何も特別なことをする必要はありません。むしろ、日常のなかの小さな行動こそが、大きな変化を生むことが多いのです。
・「ありがとう」のひと言を丁寧に伝える
・誰かの話を最後まで真剣に聞く
・素敵だと感じたものをためらわずシェアする
そんなささやかな行為が、あなたの内側にあるエネルギーの流れをやさしく整え、人生の風向きを少しずつ変えていきます。
ここで大切なのは、見返りを期待せず、この思いを届けたい、という気持ちで動いてみること。その気持ちから生まれた「与える」は、時間を超えて、静かに巡り、やがて豊かさの波紋となって広がっていくのです。

■手放せる人は自由に豊かになる
富裕層マインドの特徴のひとつに、「執着せずに手放せる」という傾向があります。それは、お金やモノだけでなく、自分のスキルや時間、役割や肩書きに対しても同じです。どれもまた「必要ならまた巡ってくる」と信じているからこそ、安心して手放すことができるのです。
いまは風の時代。何かを抱えるより、響き合い、分かち合うことに価値が生まれる時代です。どれだけ持っているかではなく、どれだけ与えてきたか。その行動の積み重ねこそが、これからの真の資産になっていくのでしょう。
あなたがいま、与えられるものは何ですか?
時間でも、言葉でも、あなたの経験でも構いません。「こんなこと、たいしたことないかも」と思うようなことが、誰かにとってのヒントや救いになっていくことがあります。
大切なのは、「意味があるかどうか」ではなく、「誰かの助けになるかもしれない」という気持ちで、そっと差し出してみること。その思いから生まれた行動は、巡りめぐって、思いがけない出会いや展開となり、あなたのもとに戻ってくるはずです。
あなたのその小さな一歩が、豊かさの流れを呼び込み、その流れのなかで、やさしく、あなた自身をも満たしていく。きっといま、その未来の扉が、静かに開かれはじめているのです。
このコラムは、「精神的自立」「移動とエネルギー循環」に続く、〈豊かさの設計図〉シリーズの最終回としてお届けしました。ご興味のある方は、ぜひこれまでのコラムもあわせてご覧くださいね。
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