大きな絵画が会場一面に並ぶと、とても迫力がありその場に圧倒されました。
３人は笑いながら、「これはいい！ 前の配置よりも迫力が伝わりいいんじゃないですか？ 君はすごくラッキーだね！」と笑いながら、話してくれました。
そして３人は「あっ！ ご挨拶が遅くなり申し訳ありません。」と言い、名刺をそれぞれが渡してくれました。
その女性が画家の方で、あとの二人の男性は昨日オーナーのお店に現れたイングリッシュガーデンの方と歴史研究家の方でした。
私が驚いた顔をしていると、３人は怪訝な顔をしながら、
「あの……もしかして会ったことがありますか？？」と話しかけてきました。
私は、昨日のお二人に偶然会えた感動に浸りながらも、
「実は、イギリス雑貨店のオーナーの紹介でここにきて、ちょうど昨日お二人の話を聞いたばかりで……」と興奮気味に伝えると、
「それはすごい偶然ですね！ 僕は今日能登半島に帰るんですが、少し時間が空いたので展覧会の様子を見に来たところだったんです。もし時間があれば４人でお話しましょうか？」
と話してくれながら、珈琲を淹れてくれました。
ただ展覧会に出かけただけなのに、私の為だけに特別に絵画を並べてくれて、画家の方・イングリッシュガーデンの方・歴史研究家の方の３人と絵画の解説付きの特別の時間を堪能することになったのです。
私はこの現実に
「私ってこんなにラッキーガールだったけ？ 以前は損ばかりすることが多かったのに」
と思いながら、頬っぺたを引っ張っていると３人はケラケラしながら笑っていました。
「僕たちと話す時間をラッキーと思ってくれてとても幸運です」
●真夜中に訪れた不思議な夢と画家の誕生
「あの、何でその絵画は全て椅子がモチーフなんですか？」
私は珈琲を飲みながら気になっていたことを質問しました。そうその絵画は全て、「椅子」が描かれた作品ばかりだったのです。
画家の女性は
「やっぱり初めて見た方は気になりますよね！ 実は私は、前職は教師だったのです。絵は趣味で描いていたけど、とても画家になるなんて思っていなかったの。でもね、私の父親がある日突然亡くなってしまい、大好きな父が突然いなくなったから、毎日深い悲しみと喪失感に襲われるようになって何もかも毎日やる気が出なくなってしまったの。そんな時にふと、夢の中で父が出てきたのよ。父はその時大きな椅子に座っていて、暖かい顔で笑っていて、私は父のその笑顔を見てとても幸福な気持ちになれたの。そして、次の朝起きたら、何故だか分からないけど、椅子を描きたいという衝動が抑えきれなくなり、そして今までの画風も全て捨てて椅子ばかり描くようになったの。そしてその作品が評価されて、教師を退職し画家になったの。本当に不思議な話よね。」
改めて私はその椅子の絵画の作品を眺めた。
確かにその椅子には彼女の魂が込められており、不思議な力を感じました。
Lewis Carroll
イギリスの作家、作家としての代表作は『不思議の国のアリス』。
私は昨日に戻ることはできない。なぜなら、昨日の私は別の人間だったのだから。
I can’t go back to yesterday — because I was a different person then.
上野ユリ
【この世界に凛と咲く❁MYブランドを創る１２のすゝめかた】
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