●人生を変える女将さんとの出逢い
その宿は、大正時代の調度品を愛用していて、レトロな内装が広がっていました。
とても落ち着き、癒される宿だなと思っていると、女将さんから「今日はあなた一人だけ、なのよ。」と声をかけられました。
一日3組限定の宿でしたが、台風で大雨だったので、私一人だけになったといこうことで、その時はただ「ああ、これで、一人でゆっくり眠ることができる。」ラッキーだなと思っていました。
ボロボロだった私は、ただ一人で眠れる場所が欲しかったから。
そして部屋に通されて、女将さんが手作りのおもてなしのお茶菓子をもってきてくれて、雨の音を聞きながらホッとして食べて、お布団をタンスからだして寝る準備に入りました。
この時、まだ午後15時でしたが、私の身体はもうボロボロだったので、深い眠りにつこうと目を閉じました。
「こんこん」部屋の戸をノックする音が聞こえてきて、ぼんやりとまだする意識の中で慌てて目を開けました。
「エステの時間、何時からにしますか??」
そう、ここはエステのお宿だったので、私は予約の際にエステも予約していました。
エステを受けて、温泉に入り、さっさと眠りにつきたかった私は、
「もう今からできますか??」と女将さんに声をかけると、「大丈夫ですよ」との声が聞こえてきました。
エステサロンは宿の2階に併設されており、ボロボロな私は顔面蒼白な感じで2階まで上がっていきました。
この時の私は、もう2階にあがることでさえ身体がしんどかったのです。
全身コースにしていたので、横たわり、ただ眠ろうと思っていました。
すると、女将さんがふいに「あなた自殺願望ある??」と聞いてきました。
私は、朦朧とする意識のなかで、
「!?!? 何て失礼なことを言う人だ!!」と腹が立ってきました。
確かに親友が自殺をした後に、私は何度も後を追おうと思っていた数年間はありました。
でも、今は一生懸命毎日を生きていたので、自殺願望と言われて、腹が立って仕方なかったのです。
女将さんはゆっくりと「だって、あなたの身体年齢よりもずっとボロボロになっているよ。触らなくても分かるの。たくさんの方の身体を見て施術してきたから。」「あなたは年齢よりももうずっと身体がボロボロなのよ。50.60代の身体になっている。自分の身体を大事にしないのは、自殺願望があるのと同じなのよ。」そう女将さんは、静かに私に語りかけました。
大雨の日、雨の音と女将さんの声が私の心にしみ込んできました。
「実は……」と私は女将さんに長い話をしました。
仕事を頑張り続けてきて、夢がすべて叶っていくけど、幸せではなかったこと、休みがとれなく頑張り続けてしまい、身体がきつくなったこと。そして、休みが取りたくて誕生日のプレゼントにこの宿にいきついたこと。女将さんは私の身体を触りながら、静かに聞いていました。
「うん、うん。よく頑張ったね。でもね、もう本当のあなたで生きていいじゃない?? 自分の心と身体をもっと大事にして、幸せになっていいのよ」
そう女将さんから声をかけられて、涙をこらえるのを必死になっていました。
「頑張れば幸せになれる。夢が叶えば、幸せになれる」そう信じて走り続けてきた私はどこを間違っていたのだろう??
ボロボロになった身体を女将さんが優しくトリートメントをしてくれながら、私は意識がまたぼんやりとしてきていました。外は大雨で、旅館は私一人と女将さんだけ。
全てを遮断されたその空間で、私はもう一度自分の心と向き合ってみようと思ってきました。
●実は、宇宙が引き寄せた5~6年前からの奇跡の出逢い
女将さんがふと私に、「んっ!?!? もしかしてあなた、5~6年前ぐらいにこの宿を予約して台風がきたからキャンセルした人じゃない??」そう声をかけてきました。
そう言われてみたら、私はこの宿との縁を思い出しました。
5~6年前は、教師をしていたときです。その夏休みに、教師の仲間で一緒にこの宿に行こうとしていました。
でも、その予約した日にちょうど由布院に台風が直撃したのです。
なので、なくなくキャンセルの電話をしたのが私でした。その時女将さんと話をしていました。
「台風だから仕方ないですね! またの機会に」そう短い会話だけで、私と女将さんのご縁は終わっていました。そして、私はまた慌ただしい日常の生活に流されて、この宿のことも女将さんのこともすっかりと忘れていました。
でも、何の因果かまた大雨、台風の日に私は女将さんと再会を果たしました。
今度はそのおかげで、宿には私一人という環境になって。
今思えば、この時に大きな宇宙のパワーが働きだしていた。
他の宿が満席でこの第三希望の宿にいきついたこと、大雨で一人しか宿にはいなかったこと。
これらはもう奇跡のような引き寄せしかいいようのない出来事だった。
私が「あっ!! そうです! 確かにこの宿に来ようと思って、台風だからキャンセルしたのです。でもなぜ私だと分かったのですか?? 一言しか会話してなかったのに。」
女将さんが「あなたと話していると、本当になんとなく思い出したのよ。ほら? 今日も大雨が降っていたから。もうしかしてそうじゃなかったかなって」
●スピリチュアルも宇宙も否定していた私に起きた宇宙の采配
スピリチュアルも宇宙の引き寄せも怖い・怪しいものだと否定していた私がこの出逢いは何だ?? と疑問をもつようになりました。
ここまでの奇跡が重なるなんて、もうもはや神さまが何かを伝えるために私はこの宿に導かれた。そう感じ始めていました。
そして女将さんが長い時間をかけて、私の身体をしっかりとトリートメントしてくれてようやく私のボロボロだった身体は少し回復をしていました。
鉛のように重たかった身体が少し軽くなっただけで、私の心は少し軽くなりました。
また温泉に入り、夜21時ごろ。何だか不思議な出逢いだったけど、楽しかったなとまた眠りにつこうとしていました。その時にまた「コンコン」と扉が叩かれました。
そして、私はこの後、神さまがなぜこの宿に私と女将さんを引き寄せたか知ることになったのです。
上野ユリ
【この世界に凛と咲く❁MYブランドを創る12のすゝめかた】
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