ココロセラピストが願う!『辛さを決める人』とは? ~他人の心は決められない~

「何をウジウジしてるの? 君は『そんなこと』でメゲるヤツじゃないでしょ?」と叱咤激励したくて、そういう挑発的な言い回しをしているのかもしれません。
もちろん悪意ではなく善意で。

その言い分はわかりますよ。
思いやりなのですよね。

ただ、それは相手の受け取り方によってかなり解釈が変わって来ます。
激励するにしても相手に伝わる表現を心がけてあげると良いと思います。

今の例みたいな挑発的な激励で「そうだよね! 私、『こんなこと』でくじけない!」って元気になる人も半分くらいはいると思います。
そして残り半分は「私の気持ちを軽く否定したわね……」と余計に追い詰めて辛さ倍増になってしまう人もいます。

正しい激励方法などというものはおそらくありません。
TPOによるところも大きいと思いますし、言ってみなければ反応がわからないこともあります。
場合によっては何を言っても逆ギレされる可能性もあります。

ただ、どちらにしても相手が本当に自分で辛いと思っていそうであれば、まずは一旦、「この人は今、辛いんだな……」と理解してあげて下さい。

ただ注意することは、相手の辛いという感情に飲み込まれないで欲しいということです。
相手の立場に立って共感的理解を示すことはものすごく重要です。
しかし、そのような相手の感情に飲み込まれて同化してしまうと、今度は自分が立ち直れなくなってしまいます。

ものすごく辛そうで深刻にしている人がいるから、その人が心配で夜も眠れずに翌日、話をしてみたらケロッとしていた……なんてことになると、こちらが参ってしまいます。
それが原因で人間関係にヒビが入ってしまう危険性すらあります。

優しい人ほど周囲に振り回されて気が滅入ってしまうという話はよく耳にします。
感情豊かな人は魅力的だし正直だと思いますが、それ故に周囲を振り回すタイプの人もいるので、そこは十分に気をつけて欲しいところです。

人間というのは非常に複雑であり、感情は常に動いているのです。
個人差がものすごく大きいので平均的な感情なんて考えない方が良いかもしれません。

相手の感情を勝手に自分で決めつけてしまうのはナンセンスです。
ただ、相手がどんな人物なのかという日頃の言動をよく思い出してから判断すると良いと思います。

大袈裟な人、繊細な人、他人を振り回すのが好きな人、躁鬱の人……。
相手の気持ちを認めてあげることは大事ですが、自分が相手に対してどう出るかは、客観性が重要になってきます。

ただ仮に大袈裟な人であろうとも、他人を振り回して喜んでいる人にしても、共通して言えることは安易に相手の気持ちを否定しないことです。

どんな人でもそうですが、人間というのは自分の気持ちを否定されると怒りの感情か嘆きの感情が強く出てくるのです。

 

無関心な時代

今はとても他人に対して無関心な時代な気がします。
プライバシーを尊重して相手の領域に安易に踏み込めないのはわかるのですが、ちょっと行きすぎている気がします。

忙しさで自分の事以外、考える余裕がない時代とも言えるかもしれません。
自由な世の中に思えるかもしれませんが、見えない力によって他人の気持ちを察する自由を奪われつつある気がするのです。

もしそうだとすると「私さえ良ければ、他人のことなんてどうでもいい……」みたいな人間が増えてしまいます。

確かに自分の人生の主人公は自分自身です。
監督も自分です。
脚本も自分です。

しかし、人生を映画とするならば主人公だけ存在しても映画は成立しないということを決して忘れてはいけません。
自分の人生のドラマをより豊かにするために自分以外の誰かが存在していると思った方が良いでしょう。

それは決して他人を自分の引き立て役にしなさいということではありません。
自分ではない誰かがいるから自分という存在を成長させられるのです。
お互いがお互いを思いやり、支え合い、理解し合い、成長させ合うことによって、人生の質は向上していくのです。

人間は本当に平等であるべきだと言いますが、それは同質であるべきだという意味ではありません。
人は、一人一人、顔が違うように、考え方も、感じ方も違うのです。

その違いを尊重し合い、理解し合い、バランスをとって共存する。
それが大事なのです。

 

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