溢れる情報
巷には数え切れないほどの情報があふれています。
特に21世紀になってからは尋常ではないくらいの情報量の中で僕たちは生活しているわけです。
情報がたくさんあると、なんだか幸せになれそうな気がして来ますよね。
しかし、ちょっと待って下さい。
情報がたくさんあると僕たちの生活の質(QOL)は本当に向上するのでしょうか。
世界中のありとあらゆる情報が、その気になれば一瞬で集められる時代ですが、それらによって僕たちが必ずしも幸せにつながっているかと考えると、首をかしげざるを得ません。
何故「私、不幸なんです……」という人が後を絶たないのか?
ありふれた情報を持ってしても何故、思い通りの人生を歩めない人がたくさんいるのでしょう。
何故、自己実現から遠ざかって行く人がたくさんいるのでしょう。
なぜ、時代に反比例するかのように心の病で溢れかえっているのでしょう。
これについて考えたことはありますか。
実に不思議ですよね。
だって世界中にたくさんの情報があるのに、QOLが上がらない人が多いのですから。
ファミレスやカフェに行けば、犬も歩けば棒に当たるというくらいに愚痴をこぼしている人たちに遭遇するのです。
頬杖をついて、足を組み、眉間にしわを寄せながら安い珈琲で何時間も粘って、他のお客さんに不快感を撒き散らしていることにさえ気が付かずに。
もし、自分のQOLを高める黄金メソッドがあるならば、そんな無様で惨めな人はいなくなっているはずです。
QOLが高ければ愚痴も出ませんし、自分を不幸だなんて思わなくなります。
仮に思っても、その黄金メソッドですぐさま対処して解決している事でしょう。
これさえやれば大丈夫?
体重が増えてしまった、学校の成績が落ちてしまった人、仕事の成績が良くならない人。
いつまでも恋人が出来ない人。
お金を増やせない人。
誰でも、何かしら問題を抱えていると思います。
僕も問題が無いわけではありません。
そんなふうになやんでいると、何処かで必ず「これさえやれば大丈夫!」と言ったような情報を目にする事があります。
嘘か本当かわからない成功事例やお客様の声が写真入りで長々と書かれている場合もあるでしょう。
「はじめは、胡散臭いと思ったんです……。でも、藁にもすがる思いでいざ申し込んでみると……。あら不思議! みるみると状況は好転して行きました! こんな私が×××になれたんです! あなたなら、もっと効果があるに違いありません!」と言ったような。
でも、実際のところ「試しにやってみたかったけれど……ダメだったみたい……」という人も続出するわけです。
あの自信満々の成功談の数々はなんだったのかと思うくらいに。
考えてみてください。
成功体験を語る人ってどんな人でしょうか。
成功した人ですよね。
あるいはサクラ。
つまり冷静に考えてみると成功体験を語る人の中に失敗した人はサクラ以外にはいないということなのです。
もしかしたら失敗体験をリサーチしている人もいるかもしれませんが、そちらは次回につなげる反省のために参考にするのが目的なので、「私、やっぱりダメでした……」という声が特集されることってあまりないのです。
ある特定の有益情報が流行り出すと、今度はそれを面白がって「実は嘘だった!」とか「まったく根拠が無かった!」なんていうバッシングの特集をしてネタにする人も出て来るわけです。
一方で「効果が無かった」という意見が出て来ると、クレーム処理の専門家が出て来て「こういう言い方をする人には、こういう言い方をしなさい」というマニュアルに従って説得されてしまう始末です。
そうなって来ると、一体私たちは何を信じて良いのかわからないという話になって来ます。
そして、次の年には「これさえやれば○○○!」が別の何かに変わっているのです。
つまり流行やサイクルがあるのです。