統合医療医師・山本竜隆さんインタビュー
富士山西麓の標高700-1,000 mに広がる朝霧高原に、診療所やリトリートセンターを構え、無医村問題の解消にも貢献しながら、自然の癒しの力を活かした統合医療を提供する医師の山本竜隆さん。
自然とのかかわりの大切さや、この時期に考えるべきことなどを伺いました。
—— 統合(ホリスティック)医療に関心を持ったきっかけを教えてください。
山本竜隆さん
私は小学校から大学までずっとラグビーをやっていましたので、打撲やケガが何かと多かったんですね。その際、整形外科では治らなかった症状が、整体やハリなど東洋医学だと改善したといった経験があり、西洋医学も東洋医学も一緒に受けられたら理想的だなと高校生の頃から考えていました。
しかし、日本の大学では満足のいく統合医療が学べませんでしたので、大学院修了後、著書の『癒す心治る力』に感銘を受けたこともあって、アリゾナ大学医学部・統合医療プログラムAssociate Fellow1期生として、アンドルー・ワイル博士のもとで2年間学んだのです。
—— 映画『地球交響曲ガイアシンフォニー第七番』(龍村仁監督)にも登場した、統合医療のパイオニアである、ワイル博士のもとで学んでみた印象は?
山本竜隆さん
日本では「統合医療を目指したい」というと、医者仲間などからは「自然療法なんてエビデンスがない」「なんで統合医療なの?」など、批判的な意見ばかりでした。ですが、ワイル博士に学んだことで、「この道を選んだことは間違いではなかった」という絶対的な確信が生まれましたね。
しかもありがたかったのは、「山本が目指す医療は、ドイツなど欧州に良いお手本がある」というアドバイスをワイル博士がくれたことです。
じつはそのアドバイスを活かす前に、東京で統合医療を始めてみたものの、まったく理想通りにいかなかったんですね。そこで博士のアドバイスを思い出して、ドイツやイタリアへリサーチに出かけたところ、まさに目からウロコの発見がたくさんあったのです。
—— それはどんな発見でしたか?
山本竜隆さん
自然環境を活かしながら地域の人たちとの繋がりをつくることの大切さや、予防医療の在り方などです。東京では、私自身さえ自然と全く無縁な環境でやっていましたので、それでは私が目指した統合医療ができないのは当然だと知りました。
そこで、海外で学んだ針葉樹と広葉樹の比率といった、統合医療を行うのに理想的な森環境、標高条件などを視野に入れながら、4年以上にわたる土地探しを経て、最終的に現在の朝霧高原に、朝霧高原診療所と富士山静養園などの施設を作ったのです。