「こんな親でも、自分で選んで生まれてきたんだ!」 —— そう納得したら、すべてを受け入れられたのです 漫画家・松本耳子さんインタビュー

松本耳子

自身の壮絶な「毒親体験」を赤裸々に描いた漫画家、そして、占星術家でもある松本耳子さんに、これまでのご体験や気づき、そして今年以降の星読み結果について話を聞きました。

 

【親のためじゃなく、自分のために“許す”ことが大切なのです】

—— 松本さんの毒親体験漫画を読んだ人は、「とても笑える話じゃないのに、笑っちゃう」そうですね?

松本耳子

松本耳子さん
はい(笑)。いいんですよ、笑い飛ばしてもらえば。そのために描いていますから。私自身、過去の壮絶な体験を思い出しても、笑いは出ても涙は出ませんから(笑)。
決して強がって笑っているわけではなくて、親のことも自分の過去も、すべて受け入れることができたからこそ、笑うことができているのだと思っています。

—— 博徒にして多重債務者&極道の父に、神経質でヒステリックな母。一夜にして億単位の金が家にやって来たり、一家離散になったり。まさにジェットコースターな半生でしたね。

松本耳子
毒親こじらせ家族(竹書房)

松本耳子さん
もう何でもアリの、怖いものなし一家でしたね(笑)。でもね、占星術を独学で勉強して、自分なりに星読みができるようになって、すぐに自分の星を見たんですね。そうしたら、「こんな親でも、自分で選んで、生まれてきたんだ」とわかったら、すごく納得してしまいましたね。自分で選んだなら、仕方ないかって(笑)。
そんな両親もすでに他界していますが、今でも父の“精子”には、感謝しているんですよ。私を生んでくれてありがとう、って。父の人格は、未だに認めていませんけどね(笑)。

松本耳子
毒親育ち(扶桑社)

—— 「親が許せない」と思っている人にはどんなアドバイスを?

松本耳子さん
親のために許そうと思っていたら、私も父は許せないままだったと思います。でも、毎日の中で、美味しいものを食べたときとか、「生きていてよかった」と感じる小さな幸せに意識をフォーカスしていくと、そういう瞬間は結構あって、それらを集めたら結果として幸せな自分がいて。だから親の存在に感謝は湧くわけですね、人格は許せなくても。
そして大切なことは、「自分が幸せになるために許そう」と思うこと。そうすればきっと、許せるようになるのではないでしょうか。