神社巡りこぼれ話 —— アイヌだけど和人な神様の話 〜 神様はカーナビも操る

その神様は前世で主人に従って本州から渡った身体の大きな武人だったようです。
アイヌ

久しぶりの「神社巡りこぼれ話」です。

私わたもりのこのシリーズ記事では北海道中の神社を巡った中で出会った個性豊かな神様達についてお伝えしています。

今回はいつ行っても「うちの神社にも寄って行ってよ」アピールが凄い、自称「アイヌだけど和人」な神様の話です。

どうやらある武人の家来だった方のようです。 

  

 

神様はカーナビも操る

 

かなり前の事になりますが、その神社に最初に行こうとした時、他の用事を足してからと思ったのです。

……が、カーナビもGoogle検索でも、どこに行き先を設定しても、何故かその神社の一の鳥居に誘導されてしまいます。

神社に居座る魔物や根性の悪い神様がカーナビを狂わせて私達がたどり着けないようにする事は度々あったのですが、そこまで積極的に「うちに来てよアピール」が凄い神様は初めてでした。

参考わたもりのTrinity記事

人間嫌いな氏神様の話 — 神社巡りこぼれ話〜人が近付きにくい神社

(リンク)https://www.el-aura.com/watamori20180121/

 

それに、気のせいだと思いたいのですが、神社から大きな声で「おーい! 〇〇様! △△様! こっちですじゃ! こっちこっち!」と呼ばれています。

「うっわ! めっちゃ呼ばれているんですけど……」と、見える聞こえるタイプの霊感がある私が、自称見えない聞こえないけど、何故か霊的な物事の本質が判るタイプの流輝先生に言うと、「他の用事を済ませてからだ」とちょっとむっとして答えます。

その一言で「判り申した! お待ちしております!!」との返事。

その時、私の脳裏にその神様の姿がうかんだのですが、「え?……気のせいだよね……」と思ったのです。

 

 

目を疑ってしまう姿の神様

 

神社にたどり着き、いよいよ神様の姿が「気のせいでは無い」と判った私は「え? なんで?」と、頭の中がクエスチョンマークでいっぱいになり、車から降りるのをためらっていました。

「なんか、神社の中にいる人、神様なのかな……? え~? でも……」と、ためらっていると、流輝先生が「良いものか? 悪いものか?」と質問をしてきます。

「良いとか悪いとかじゃなくて、神社にいるのがおかしいというか、そこにいて良いの? って人がいる」

「今までだってカエルとか人魚とか色々いたんだから驚くことじゃないだろう」

(参考わたもりのTrinity記事)

空き神社を守っていたお人好しなカエルの神 — 神社巡りこぼれ話

(リンク)https://www.el-aura.com/watamori20180831/

「だって、あれ、アイヌの服着てるよ? 神道の神社にアイヌの人がいるって、神社的にありなのかな……」と、言っていると、「わしは和人ですじゃ! アイヌだけど和人ですじゃ!」と何度も言います。

「アイヌだけど和人って何?」と、聞けば聞くほど怪しくなります。

 

 

身体の大きなアイヌだけど和人の神様

 

その神様は身体が大きく、とても日に焼け、目がぎょろりとしていて、癖毛の髪がうねり、口やあごにも黒々とした髭がもじゃもじゃに生えています。

頭飾りと着物は、紺色の荒い織の布に白い糸で素晴らしいアイヌの刺繍が施されています。

「ああ! こうしてお二人が並び立つところを再び見られる日が来るとは!」

戸惑う私をよそに、その神様は私達を見て涙を流し、何故か拝んでいます。

「いやいやいや、拝むのこっちだから!」とツッコミをいれていると流輝先生に「さっさとお参りするぞ。他にも回る神社は沢山あるんだから」と促されます。(流輝先生はなんだか照れ臭そうでした)

「でも、うちらを見て凄く感激してるよ。感涙って感じ。二人並んでいるのを見られて嬉しいって」

その神様は前世で主人に従って本州から渡った身体の大きな武人だったようです。

その主人と言うのが流輝先生の前世の方であり、私はその恋人だったけれど、渡る前に命を落とし、魂だけとなって北海道を旅する一行を守っていたのです。

歴史を調べると、かなり古い時代から幕府等の派遣で北海道探検を試みる人は度々いたようです。

当時の北海道はアイヌ(=アイヌ語で人間の意)の方々が自然と共に暮らしていて、その一行は何処へ行っても歓迎され、その神様はすっかりアイヌの人々の生き方が気に入り、魂となったのちは北海道にもどり、そこに住む人々を守る役割を引き受けたのだとか。

現代のその町はいったん人口が減り過疎化したのですが、移住を促進し、特色ある子育て政策や教育に力を入れ、活気を取り戻してきたようです。

流輝先生と一緒だった前世ではとても有能な家来の一人だったので、神様のお仕事でも有能さを発揮しています。

その街には私達が気に入っている温泉ホテルがあり、その神社からは車で5分ほどの距離なので、仕事等の必要があってそのホテルに泊まろうとすると、何故かあり得ないくらい安い宿泊プランが用意されています。

私が露天風呂に入っていると社から大声じゃなくても聞こえるのに大声で話しかけてきて、「是非お立ち寄りください」といわれるのですが、スケジュールによっては行けない場合もあり、それを伝えると、大きな体を小さくしてがっかりしているのが脳裏に浮かび、かわいそうではあるのですが、ちょっとだけ「かわいい」と思ってしまう私です。

神社巡りこぼれ話、次回があればお読みいただければ幸いです。 

 

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