日本の成人式と、世界の成人式

日本では、このような命がけの儀式が行われることはないでしょうが、馬鹿騒ぎをしているだけの成人式を見ると、もう少し、しっかりとした試練があってもいいのではないかと思わずには居られません。(2016年公開の記事ですが、ご参考になれば幸いです)

【成人式の由来】

1月の第2月曜日は「成人の日」。最近では、「馬鹿騒ぎする若者がクローズアップされる日」というイメージがありますが、そもそも、この日は比較的「歴史が浅い」ものであり、昭和21年11月22日に埼玉県で行われた「青年祭」が由来とされています。こちらは、終戦後に次世代を担う若者を勇気づけようとして行われたお祭りであり、その中にあった「成年式」が「成人式」として、全国に広まったのだそうです。

武家が隆盛を誇った時代の「元服」や、平安時代の「初冠」などが、現在の成人式に相当するともいわれていますが、日本ではこのような成人への通過儀礼をあまり重く見ていなかったのか、「服装や髪型が変わる」というだけで、「試練に挑む」というものは存在していません。農村では、「米俵を持てる、一定の広さの田植えが出来る」といった通過儀礼があったといわれていますが、これらは実務的なものであり、あまりスピリチュアルな意味合いはありませんでした。

 

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【スピリチュアルで厳しい成人式】

それに比べると、世界の成人式ともいえる通過儀礼には、「スピリチュアルな要素をもったものが多く」あります。パプアニューギニアのマタウサス族は、細い木の棒を喉に差し込んで、強制的に嘔吐を促し、胃を空っぽにしたあとで、葦を束ねたものを鼻から入れて、身体の中の邪気を祓い、最後には小さな矢で舌を刺し貫いて浄化するという儀式を行います。

聞くだけでも痛くなりそうですが、これに耐えたものだけが「真の男になれる」とされています。胃を空っぽにしたり、鼻の穴に縄を通して身体を浄化するというのは、どこか「ヨガの手法にも似ている」かもしれません。

同じくパプアニューギニアのセピック族は、「ワニを守り神として信仰している」ことから、皮膚を剃刀で削いだあとに、特殊な樹液を塗って傷口を膨らませることで、ワニをモチーフにした神聖な紋様を作るという儀式を行います。激痛のあまり、「ショック死する若者もいる」ということですが、成人を迎えたならば基本的に受けなければいけない儀式とされています。

【なぜ、痛みに耐える必要があるのか?】

このように痛みに耐えることで、成人であることを示すという風習は多く、ブラジルでは噛まれたら強い痛みがはしり、「24時間痛みと熱が持続する」という毒蟻を集めた手袋に手をつっこみ、その強烈な痛みに耐えるという儀式があります。これを通過しなければ、立派な大人として認められないとされています。

基本的にこうした儀礼は男性を対象にしたものが多いのですが、バリ島では「ポトン・ギギ」という儀式がおこなわれています。こちらは、「犬歯をやすりで削る」というものであり、これを行うことで、獣から人間になったとされ、これを行っていないと結婚することが出来ないのです。

今ではすっかりポピュラーなアクティビティとなった「バンジージャンプ」も、元々はバヌアツ共和国で行われていた「ナゴール」という成人の儀式が元だといわれています。こちらは、高さ30メートルの台から、足首に木の蔓を巻き付けてジャンプするというものであり、安全に考慮されたバンジージャンプとは違い、地面ギリギリでとまらなかったり、蔓が切れたりして、「地面に衝突する」というケースもあったということです。

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【未開の部族が命をかける理由】

このように見てくると、基本的に「未開の部族に命をかけた儀式が多い」ことがわかります。先進国は軒並み少子化に悩んでいるということもありますし、人権意識も高いので、ともすれば虐待になりそうなこういった成人式が出来ないということもありますが、過酷な自然に立ち向かい、限られた資源と物資で生き抜いていくためには、都会で暮らしている私たちには想像を絶するほどの「精神力が必要」であり、それを養うためには、このような「命がけの儀式が必須」なのかも知れません。

スピリチュアルな観点からみると、修験道をはじめとした山岳宗教では、「自らを極限状態に追い込む厳しい修行をする」ことで、「悟りを得たり、特殊な力を得る」とされています。

人間の精神力を高めるためには、瞑想などの手法も有効ですが、精神と密接に関係している「身体をいじめ抜くことも必要になってくる」のです。成人儀式の中にヨガのクリアリングと同じような技法があったことを考えると、厳しい成人儀式を行っているのは、それだけ「霊的な存在を身近に感じ、精神的な叡智を活用している」ともいえます。

日本では、このような命がけの儀式が行われることはないでしょうが、馬鹿騒ぎをしているだけの成人式を見ると、もう少し、しっかりとした試練があってもいいのではないかと思わずには居られません。

Japan and the difference in the coming-of-age ceremony of the world.
Meaning that ceremony has.

 

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