身体と心と精神、そして魂の状態が整ったとき、はじめて身体のバランスがうまく取れて自然治癒力もアップするという、ホリスティック医療の概念は、最近では多くの医療現場でも受け入れられるようになってきました。
ペットも以前に比べてずいぶんと人間と同じような疾患にかかるため、獣医師のお世話になることが多くなってきています。そんな中でホリスティックな医療を用いるペット・クリニックも世界中で増えてきているのです。
ハワイ、カウアイ島在住のドクター・バスコは、1970年代から早々と動物のホリスティック・ケアに注目し、長年研究を続けてこられました。そして治療のみならず、ペットの食事療法やケア方法も飼い主に教えるという活動もしているのです。
ドクター・バスコの信念
ドクター・バスコは、かつて高級住宅地があるカリフォルニアの総合病院で医師として勤務していたのですが、ラグジュアリーな生活をする人間の相手に疲れ、一緒にいると癒される動物の医師になろうと勉強をしなおして獣医師になったというユニークな経歴の持ち主です。
西洋医学による薬剤は、一時的な症状を食い止めるのには効果がありますが、慢性病をわずらう場合、長期間にわたって化学薬品を投与すると、副作用も生じてしまいます。
彼は現代の化学薬品による治療だけに頼らず、ペットの治療に副作用も少なく、慢性の疾患に効果のあるホリスティックな治療に、東洋医学と栄養学を取り入れ、食事療法と共に鍼灸や漢方、マッサージ、ホメオパシーなどを用いたホリスティック治療を手掛け、その分野における先駆者でもあります。
現在では、ハワイのみならずアメリカ本土や日本でも講義やワークショップも行い、ペットに愛情をたっぷり注ぐことがペットとの絆を深め、治療にも役立つことを教えておられます。
ドクター・バスコの食事療法
動物も人間と同じく健康を維持するためには、食することが重要です。食べることによって、筋肉や骨、血液が作られます。そして心と愛情を込めて作られた食事を与えられることで、良い心も形成されてゆくのです。
ドクター・バスコは、市販のドッグフードを餌としてペットに与えることを推奨されていません。ドッグフードのほとんどには防腐剤などの、なんらかの化学薬品が多く含まれており、それらがペットに癌などの現代病を引き起こす大きな原因となっているからです。
また、市販のペットフードだけを与えた犬と、手作りの餌を与えた犬では、寿命が数年以上は違うことも実証されています。
手作りの餌を与えるということは、缶や箱から市販の餌をお皿に入れるのとは違い、材料も吟味し、時間をかけ、手間をかけ、そしてなによりも愛情を込めて作り上げた料理だからこそ、ペットにも作り手の心が伝わるのです。
そのような愛情のこもった餌を与えられたペットは、「身体と心と魂」のバランスがよく取れ、健康を保つことができるようになるのです。
ドクター・バスコのクライアントで、皮膚疾患を患う犬を持つ高齢の女性に、今まで与えていた市販の餌を辞めさせて、新鮮なブロッコリーやニンジン、鶏、玄米を入れたシチューを作って与えることを勧めたところ、飼い主の女性も一緒になってそれを毎日食べたのです。すると犬の皮膚疾患は改善し、飼い主も一緒に元気になったのです。
ほかにもこのシチューを元気がなく、何も食べなかった犬に作って与えたところ、再び食べ始めて元気を回復したという、ハッピーな報告がたくさん彼の元に届いています。
ドクター・バスコのスペシャル・レシピ
ドクター・バスコは日英両語でペットのためのレシピ本も出版されていますが、元気が出る簡単なレシピをいくつか教えていただきました。
「小さな犬のための食事」
材料:生の牛の心臓:1/4カップ、調理した鶏:1/4カップ、 焼いたサツマイモ:1/4カップ、アルファルファのもやし:大さじ2杯
以上をよく混ぜ合わせて与えます。
「高齢犬のための食事」
材料:目玉焼き:1つ、ゆでたカボチャ:少々、ビーツ:少々、もやし:少々、生肉:少々
以上をよく混ぜ合わせて与えます。
「便秘の猫のための食事」
材料:ゆでたカボチャ:少々、レタス:少々、生肉:少々
以上をよく混ぜ合わせて与えます。
大切なのは、新鮮で安全な食材を選ぶこと、そして栄養のバランスを考えて心をこめて作ってあげることです。一度にたくさん作って、小分けして冷凍しておけば、毎回作る手間も省けます。
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