誰でもふわっと楽になる じぶんにかえる お片付け ~蕎麦屋の女将、大掃除を語る 第七回

というわけで今年も大掃除が終わりました。

大変お疲れ様です。
私はそろそろ年越し蕎麦の準備に入りますが、その前に「片付け&掃除が進まない時に役に立つ奥の手」「おすすめの片付け本リスト」をご紹介して厨房に戻りたいと思います。

まずは奥の手から……。

 

■ちょっとでいい

とにかく腰が重い方におすすめなのが
○3分でいいからやる
です。
かくいう私もかなり腰が重いタイプですが、この方法を採用してから劇的にものごとが進むようになりました。
類似の発想に
○とりあえず1つできることをする
があります。
例えば台所の大掃除というと気が遠くなりますが、「蓋が欠けたタッパーを捨てる」だけでいいとするのです。
とりあえず数分でもそこに着手すると、あら不思議、あのだらだらしたおばさん(私ですが)がタッパーが入った引き出し全体をきれいにしたり、床も掃除をはじめたり……。
はじめのハードルを低くすること効率が上がることが多いのです。
「ハーバード発 成功を導く『5つの質問』」ジェイムズ・E・ライアン(ハーパーコリンズ・ジャパン)という本にも、とりあえず1つできることをすることの効果の高さが、味わい深いエピソードとともに書かれています。

 

■褒美を用意する

これも使えます。
大変な片付けの時ほど、自分が本当に嬉しいものを用意しておきましょう。
ちなみに私は普通レベルは緑茶と和菓子。
すごく頑張ったらスヌーピーの文房具を買っていいことになっています(また物を増やして……とお思いになるでしょうし実際その通りですが、メモ帳など消える紙物が多いです)。
大人とは、自分の真の人参を把握しているお馬さんなのです。

またよく言われる

 

■とにかく人を招いてしまう

も悪くない方法です。
結局は「散らかっててごめんね~」と言い訳するにしろ、少しは何とかしようとするからです。
そこそこ片付いた状態をキープするには密室化させないことが重要で、汚部屋も汚屋敷も、独りでこじらせることがほとんどなんですね。
とにかく人を呼び、風を通しましょう。

でも人をお招きするにはまだまだ汚いし、と躊躇する時に思い出して欲しいのはテレビの「お片付け番組」。
ものだらけの部屋をなんとかしようとする人のことを、はじめは「あらあら……」と呆れて見ていたとしても、だんだん応援したくなってきませんか。
結構好きになりませんか。

そう、人は困った状態をなんとかしようと頑張っている人をそうそう嫌いになりません(もちろん嫌いになる場合もあるでしょうが、そうでない人が多いからテレビ番組が成立しているともいえます)。

というわけで、自分でなんとか出来ないときは、にっちもさっちもいかないときは

 

■ひとに助けを求めていい

と覚えておいて下さい。
恋はときめきから生まれますが、愛は失笑から生まれます。
この部屋ダメだな~、と思われても死にはしません。
「頼られて嬉しい」と感じる人もいますし、希に本物の愛や友情が見つかるかもしれません。
ちなみにどうしても人に頼れないという方は東大の安冨歩先生が書かれた「生きる技法」(青灯社)を読むといいかもしれません。
この本は、けっこう、人生が変わります。

 

■数分後に死んだら……と考える

可能性は無くはないのです。
この部屋を残して死ねるでしょうか? アレを残しておいて大丈夫ですか? これが人目にさらされてもいいですか?
このまま死んだことを想像しただけで死にたくなるようなら、すぐにヤバめの物だけでも捨ててしまいましょう。

 

■開運や防災、生産性向上

最近のお片付けやお掃除本にはもれなく書かれていますが、実は部屋を調えると無駄な物を買わなくなってお金が貯まったり、ものを絞り込む中で自分がどんな人か見えてきたり、やりたいことが見つかったり、衛生や健康面が改善したり、仕事の効率が上がって業績が上がったり、けっこういいことがあります。

また防災にも確実に役立ちます。

好きな物に押しつぶされるなら本望じゃ☆

という気持ちは分からなくはないですが、実際のところ命より大事なものはそうそうないはず。
個人的には「これが無いと死ぬ」くらい好きな物だけに絞り込むと、大変気持ちいい上に圧死の危険性が減って死ににくいと感じています。

私が片付けって面白いと感じて片付け本を読みあさり始めたのは2010年です。
8年ほど取り組んできましたが、片付けのデメリットはほとんど思いつきません。

 

■とにかく、やって損はない

実も蓋もありませんが、これが正直な感想です。

 

——次回に続く——

 

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