前回の記事で、炊いたお米に毎日「ありがとう」と言うのと、無視するのでは、「ありがとう」の言葉をかけたほうがずっと長持ちするというのを紹介しました。
では、悪い言葉をかけるのと無視とでは、どう違うのでしょう。
私は昔その実験をしたことがあります。
・良いお米と悪いお米
ある本に「良いお米と悪いお米」という実験が載っていました。生のお米と水を入れたグラスを2つ用意し、片方には毎日「お前は良いお米だ」と褒め、もう一方には「なんて悪い米なんだ」などとけなします。すると、悪い言葉をかけた方がずっと早く崩れていくそうです。その著者は何度か実験していつもそうなり、この実験を紹介した周りの人も同じ結果が出たと書いていました。
それを読んでやってみることにしたのですが、私はちょっとだけアレンジして、グラスを3つにしました。真ん中のグラスには何も声をかけず、右のグラスの米を褒めて左のグラスの米をけなすのです。いわば「ありがとうと無視、そしてばかやろう」の実験です。
すると、10日後には歴然とした違いが出てきました。
右の米は若干崩れただけなのが、左は粒が半分以下になっています。
ただ、真ん中の無視した米も、なぜか悪い米と同じほど、いや、もしかするとそれ以上に崩れていたのです。
これは、悪いでも何でも、毎日声をかけられている方が無視されるよりもましということなのでしょうか? この経緯をある友人に話したところ、彼は「ちゃんと気持ち込めて言った?」と聞いてきました。
グラスの中の米に向かって毎日声をかけるのは、あまり日常的な光景ではありません。
確かに、私は実験と割り切ってなんとなく声をかけていました。
早速私は2回目の実験に取りかかりました。
精一杯の気持ちを込めて取り組んだところ、10日後、良い米は今入れたばかりみたいにキラキラしています。
そして悪い米は、もう砂粒のようにぼろぼろ! 無視した米はある程度崩れていました。
この実験は簡単なので、是非皆さんもやってみてください!
・無視する行為は、何の気なしに悪い言葉をかけるのと同じくらい悪い
前回、「言霊」という、言葉それ自体の力を紹介しました。1回目の実験はいわば、言霊の力を検証する実験だったと言えるかもしれません。あまり思いを乗せず、実験と割り切った言葉のかけ方では、悪い言葉をかけ続けるのと、無視するのと、それぞれ同じくらいにお米が崩れていました。どうやら無視する行為は、何の気なしに悪い言葉をかけるのと同じくらい悪いようです!
一方、2回目の実験結果は、言葉それ自体も威力があるのですが、それにどのような思いを乗せるかによって、その威力が変わってくることを示しています。良い言葉と悪い言葉を、それぞれに応じた思いを乗せて発すると、単に機械的に言うのよりすごいパワーが出てくるのです。この結果も考慮すると、無視する行為は機械的に悪い言葉を浴びせるのと同じくらい悪いのですが、それでも、本気で悪い言葉を浴びせるのよりは、遥かにマシだと言えるのではないでしょうか。
・子供には、悪い言葉でもなんでもかけて、気にしてあげた方がよい?
子育てに関して「無視が一番悪い」と言われるのを耳にしたことがありませんか? これは本当にそうなのでしょうか。
ここで、人とお米を一緒に考えてはいけないでしょう。なぜなら、お米は日頃から無視されるのが普通ですが、人はそうではありませんから。確かに、幼い子供の「心」にとって、無視されるのが非常に悪いというのは、考えなくても分かります。でも「身体」はどうでしょう。身体は日頃から言葉をかけられないのに慣れているので、お米と同じような反応を示すと思いませんか。
「もう、あなたはいつもぐずなんだから!」と声をかけられると、子供によっては、親が自分を気にかけてくれていると思い、嬉しくなる子もいるでしょう。しかしこのとき、この子の育ち盛りの身体は、言葉のネガティブエナジーを受けています。そのため、言葉にどれだけ悪い気持ちが乗っているかによって、トータルではマイナスの打撃を与えているかもしれないのです。
精一杯の愛情を込めて、それでも悪い言葉をついつい使ってしまうのは、確かに無視よりは良いでしょう。その一方で、悪い気持ちを込めて悪い言葉を子供に言った場合、これはもう暴力と同じです。子育ては大変で、ときには子供に八つ当たりしたくなることもあるでしょう。でも、思わずきつい言葉をかけ続けるのは、軽く殴り続けるのと同じような行為だと思ってください。
感情が爆発しそうなときは、言霊と、それに気持ちを乗せたときの影響がどのようになるのかを思い出してみてください。悪い言葉に悪い気を乗せて声にするより、時には沈黙して、少し無視する方がましな場合があります。その沈黙で溜まったストレスは、パートナーや近所の人達相手に随時発散して、子供には向けないようにしましょう!
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