大雨警報が出ていても、花火大会は開催すべきか 〜感情美人への道Vol.87

皆様こんにちは。感情美人デザイナーの柊です。 今日は、「リスクと決断」について考えてみたいと思います。

私たちは1日に9000〜35,000回決断していると言われています(回数については諸説あります)。
その中にはどうでもいい瑣末なものから、人生を変えるような大きな決断までありますよね。

 

今回は割と大きめの決断を、簡単に下すコツをお伝えしましょう。

例えば、こんなシチュエーションを想像して下さい。
あなたが5000発を打ち上げる花火大会の主催者だとします。

いよいよ今日がその日。
ところが朝から小雨模様で、夕方からは地域に大雨洪水警報が出て、雷鳴も聞こえてきます。
一応、明日も予備日として確保してありますが、あなたが主催者なら、このまま今日決行しますか? それとも明日に順延しますか?

実はこれ、今月初旬に行われた「相模湖花火大会」の、実際の状況です。

私が主催責任者なら、当日朝の段階で、間違いなく翌日に順延する決断をしますね。
だって、翌日の予報は「くもり」なんですもん。
高尾—相模湖で中央線が止まっても困るし、万が一大雨で冠水したり、事故があったら大変じゃないですか。

私は主催者として、そのリスクを取りたくありません。

でも、相模湖花火大会には「雨天順延」という言葉がないらしく(一昨年は途中で雷雨でしたが、中断しつつ結局最後までやったのです)今年も警報が発令される中で開催しました。

 

ここで今日のポイントです。

どっちに転がってもマイナス面とプラス面が両方ある時は、「リスクゼロを追求する」のではなく、「自分が取れるリスクを具体的に把握」する必要があります。
これを「リスク許容度」と言います。

ちなみに、「リスク」とは「危ない事」や「失敗する確率」ではなく、「プラスとマイナスに振れる変動幅」の事です(ここを勘違いしている方が多いので、「リスク」の意味について正しく理解して下さいね)。

主催者のリスクの上限は、おそらく「台風」あたりでしょうか。
「台風」レベルなら中止。
そうじゃなければ、やる(帰りの電車が止まっても、クレーム来てもその時はその時! つまりそのリスクを取る覚悟があるという事)。
こういう単純な線引きだったと思います。
それと、順延に伴う有料席の返金処理を天秤にかけると、雨天決行した方が良いと考えたのかもしれません。

結果、小雨〜土砂降りの中で花火大会は行われたんですが、本来90分のところ、30分に短縮したもんですから、5000発は打たないにしろ、ドッカンドッカン間髪入れずにせわしなく打ち上げます。
そして、アナウンスで突然「花火大会は終了しました」の放送が……どうですか、この気持ちいいくらいの強引さ!

行く側も、リスクを明確にしないと「行くべきか行かざるべきか」判断ができません。
私も娘に確認しました。
「行っても途中で電車が止まるかもしれないし、花火大会も急に中止になるかもしれない。帰りも、家に戻れなくなるかもしれないよ。それでも行く?」娘は「それでも行く!」というので、私たちは最悪の事態を覚悟し、長靴はいて出かけた訳です。

作家のエージェント業を手がける(株)コルク社長・元敏腕編集者の佐渡島康平氏はこう語ります。
「ほとんどの人は失敗の可能性ゼロの道を選びたいから、怖がったり不安が消えないんじゃないでしょうか。絶対に失敗しない、成功間違いなしの道なんて、どこにもない。リスクを減らすより、取ってもいいリスクを探して行った方がジャッジは早い。僕はシンプルに、自分が納得できる失敗の方向を選んでいる」

例えば会社員をやめて起業する場合、自分が取れる最大の年収減はどこのラインなのか。
その中で収まりそうなら、取りあえずやってみる、という事です。

 

これは投資活動でも一緒です。

自分の資産がどれ位の幅でプラスとマイナスに振れて良いのか把握しないで、仮想通貨やFXに手を出す初心者があまりに多過ぎます。
リスクとリターンはイコールですから、この点をしっかり理解してからリスクを取る行動に出るべきなのです。

「自分が取れるリスクの中で動く」事を決めると、日常の色々な場面の決断が簡単になりますし最善の結果が得られなくても、大して後悔しなくなります。

皆さんの、「リスクの上限」はどこにありますか? リスクをゼロにする事ばかり考えて、身動きが取れなくなっていないでしょうか。

 

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