日本には古くから、「生殖器崇拝」という信仰がありました。
これは、文字通り男女の生殖器をかたどったものを信仰するものですが、その御利益としては「子授け」「豊穣」といったものがメインとなっています。
現在では、こういった信仰はあまり表にでてきませんが、「金精様」「さいのかみ」「陰陽石」などといった形で、全国の神社の片隅にしっかりと祀られているのです。男性器をモチーフにした「金精様」は東北から関東にかけて多くみられ、「子授け」と「婦女子の病気平癒」の御利益があるとされています。
こちらは、温泉に祀られることも多く、金精様の祠があるお湯に入ると子供を授かるという、「子宝の湯」があるというところもあります。
見かけは卑猥に思えたとしても、人間の根本にある生命力を象徴したものですので、非常にパワフルであり、生命をもたらし、病気を癒し、物事を産み出す力をもっていることから、商売繁盛にも御利益があるとして、信仰されてきたのです。
そんな中で、ちょっと独特の御利益で知られている神社があります。
それは九州の熊本市にある「弓削神宮」。
九州も東北と同じように生殖器崇拝が色濃く残っているところであり、佐賀県には男性器と女陰が一帯になった「鏡山道祖神」があったり、宮崎県には同じく男女の性器が融合した「日本一の陰陽石」が鎮座していたりします。
色々な生殖器崇拝がある中でも、特に異彩を放っているという弓削神宮がもっている御利益というのは、「浮気封じ」。
浮気封じをするという神社仏閣は多くあります。
京都にある「寿延寺」には「洗い地蔵」と呼ばれる小さなお地蔵様が安置されています。
こちらは、身体の悪い部分を撫でることで、病気が治るといわれているのですが、裏技的なものとして、お地蔵様の股間をこすることで、「男性の浮気を封じる」ことができるとされています。
こちらは、なんとなく、微笑ましい感じもある浮気封じですが、弓削神宮のものは、木で作られた男性器に大量の釘を打ち込むというもの。
中には、ライバルを封じるためなのか、木の板に女性器をかいてそこに大量の釘を打ち込むというものもあります。
その釘の量の多さと、そこに書かれたメッセージはかなりのインパクトがあり、祈願というよりも「呪い」のレベルになっているようにも感じられますが、それだけの念が込められるからこそ、浮気封じに効果があるとして有名になっているのかもしれません。
前述したように、元々がとてもパワフルな力をもつものですので、こういったネガティブな方向に使うのではなく、子宝祈願や夫婦円満のために活用していくようにすることをオススメします。
ネガティブな力の使い方をしてしまうと、たとえ一瞬は願いが叶ったとしても、最終的には必ずしっぺ返しが来ることになってしまうでしょう。
【今回紹介したスポット一覧】
乳頭温泉郷の鶴の湯温泉 黒湯(ぬくたまの湯)
秋田県仙北市田沢湖田沢先達沢国有林50
弓削神宮(弓削神社)
熊本県熊本市北区龍田町弓削489
鏡山道祖神
佐賀県唐津市鏡山
日本一の陰陽石
小林市東方3332−5
寿延寺
京都市東山区大黒町通松原下る北御門町254