ポタリングでどこまでいける? 熊野街道5 大和川を渡って、堺へ。

川の流れは昔とそんなに変わらないのかも知れない。

●どこをどう渡る? 大和川。

前回の熊野街道ポタリングでは、沢之町辺りを13号線に出たところで終わった。

今回は、いよいよ大和川を渡る。現在、この周辺で大和川を自転車で渡れる橋は3つある。
このまま自然に渡るとすると、13号線を真っ直ぐに進むところに架かった遠里小野橋になる。
川に沿ってもう少し西に走ったところにあるのは、大和橋。

案内板には、大和川の開削が行われた宝永元年(1704年)、幕府によって架けられ、当時はこの橋しかなく住吉大社の大祓いのお祭りの際は、神輿とともに橋を渡る人々のもつ火が明石や泉州海岸からも見えたとある。
この橋は紀州街道につながっている。
さらに西の26号線上にある橋は、大和川大橋。
大和川が現在の流れになったのは、宝永年間で、今と川筋が違うので熊野詣でどの辺りを渡ったのかはわからなくなっている。

熊野詣は、苦行の旅で苦労を重ねた方が罪滅ぼしとして効果があり、御利益があると思われていたようで、上皇であっても貴族であっても淀川だけ、あるいは淀川と熊野川だけを、舟で渡る以外は徒歩が基本だったともいわれている。
大和川も徒歩で渡ることが多かったのだろう。

当時の感覚ならポタリングなんて、ないない。
今の大和川は、いつ見ても水が少ない。
とはいっても、自転車でも徒歩でも川をじゃぶじゃぶ渡るのはちょっと……。
素直に、遠里小野橋を渡ることにする。

 

●堺の最初の王子、境王子へ。

堺市は今、世界的に刃物の町として注目されているが、自転車の町としても知られていて、市民有志による自転車の啓蒙活動が安全な自転車ライフを支えている。
さかいコミュニティサイクルというレンタサイクルもあって、1日300円で利用できるようだ。
毎年秋には堺まつりが開催され(今年は10月14日、15日開催)、いろんなイベントでにぎわう。

熊野詣の途中で立ち寄り、心身を休めて旅の無事を願った王子の跡は、今ではなくなっている場合も多いが、次に向かう堺の最初の王子、境王子もどこにあったかはっきりとはわからない。

遠里小野橋から南へ進み、高野線を越えて少し東に行くと公園の端に、境王子の石碑がある。
案内板によると堺市史は、この王子ヶ飢公園付近を境王子跡としているそうだ。
碑は熊野本宮が所在する和歌山県本宮町から寄贈された石で造られたらしい。
まっすぐと静かな住宅地を南に向かうと、方違神社に辿り着いた。


熊野本宮のある和歌山本宮町と堺市を結ぶ道標。大きい。

 

●境王子から南へ走ると、方違神社。

方角が悪いと方違えをして厄を払う、それは陰陽道に基づく方違え(かたたがえ)の考え方。
行先が凶方のとき、前夜に別の場所に泊まることで方角を変えて出発し、目的地を良い方角、差し障りのない方角にすることらしい。

方違神社(ほうちがいじんじゃと読む)のある三国ヶ丘辺りは、摂津、河内、和泉の三つの国の境界地点で、それぞれの国から北であり、南であり、また西、東であり、それは方角が無いことで、旅立ちや家を建てる前にお参りすると3つの国を旅したことになり、方違えをしたことになると、考えられたという。

方違神社の由緒は紀元前90年にさかのぼるそうで、現在は創建2100年記念の社殿造営が行われている。
案内板によると、平安時代には熊野詣の通過地点で旅の安全を祈ったとある。
境内から南には、反正天皇陵が見える。
百舌鳥・古市古墳群の1つで一番北にある。
この古墳群は、2017年7月に世界文化遺産国内推薦を獲得し2019年の登録をめざしている。

大阪府の熊野街道地図によると、昔ながらの細い地道を進むとあるが、方違神社を東に進み、けやき通りを南へと走る。
こっちのほうがお店もあって楽しいので。
実際の道ははっきりとはわからなくなっているし。


方違神社の境内から。向こうに見える緑は反正天皇陵。

 

●けやき通りのくろがねもち。

けやき通りは、けやきの木が道路の両脇に植えられた美しい通り。
カフェやケーキ屋さんなどもあって散歩するにもよい。
方違神社の方からけやき通りに入るとすぐに歩道の真ん中に大きな木がある。
案内板によると、方違神社のくろがねもちだとあった。

大阪府指定天然記念物らしい。
秋に赤い実をつけるらしいが、見えなかった。
くろがねもちの中ではかなり、太いらしい。
傷んでしまったのをいたわり大切にしている。

ジェラートのお店チャオで休憩することにする。
平日はお休みが多く不定休もあるので確認してから行くほうがよいみたいだ。
どれもフレッシュでくだものやマスカルポーネ、チョコなどもたっぷりまぜこまれている。
最高!

次回は、ここから南に走り、仁徳天皇陵へと向かう。


ピスタチオといちじくのジェラート。超おいしかった。

 

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