傷ついた「細胞記憶」を癒し、潜在意識を浄化する願望実現メソッド 「ヒーリング・コード」の威力とは?

アメリカの心理学博士、アレクサンダー・ロイド氏が開発した
「ヒーリング・コード」。

たった数分間で長年蓄積していたストレスを解放し、うつやパニック状態の改善をもたらすことが心拍変動試験でも科学的に実証され、その驚くべき効果により全米50州・世界158か国で実践されている心理エクササイズである。

2017年6月1日・3〜4日の三日間にかけ、そのロイド氏を初めて日本に招き「ヒーリング・コード3dayセミナー」が開催された(招致:一般社団法人 ライフミッションコーチ協会)。

エクササイズの中身を紐解くと、こめかみや喉など、特定部位に特定の順番で数分間かけて指先をあてていくのを基本とするもの。一見するだけでは、得体の知れないスピリチュアルや民間療法のようにも見える。
ロイド氏は、どのようにしてこれを開発したのか。

「私の妻が12年間うつ病を患っていましたが、ありとあらゆる投薬やセラピーを尽くしても何の効果もありませんでした。そんな中、ふとインスピレーションで思いついたのがヒーリング・コードでした。なぜか、『これだ!』という感覚があったのです。私が思いついたというより、神からの啓示のようでした」

ロイド氏がさっそく妻に試してみると、うつ病が3週間で完治してしまったという。その後、臨床テストを何度も繰り返し、実効性を確認してから「ヒーリング・コード」として体系化した。

同じく、特定のポイントに手を置いて刺激する心理療法にはTFTやEFT(タッピング)という療法がある。ベトナム帰還兵のトラウマを直した例もある高いセラピー効果で、米国心理学協会で正式に認定されているものだ。

ロイド氏はこの創始者であるキャラハン博士を始め、多くの専門家やセラピストと共に研究を続けきた。ヒーリング・コードとそれらの療法との違いは、潜在意識内の傷ついた記憶を癒し、変えていくことにあるという。これは、ある研究では「細胞記憶」とも呼ばれている。米サウスウェスタン大学の研究では、記憶は脳だけでなく体の細胞にまで蓄積されており、それが身体のあらゆる不調の原因になっていることが明らかになった。

「いつも同じ思考回路や感情を引き起こすのは、その出来事を最初に経験したときの記憶をもとに、神経の通り道が確立されたからです。それがネガティブな解釈に基づくものであれば、コンピュータ・ウィルスのように巣食ってあらゆる誤作動を引き起こす。恐怖や心配などを伴う記憶が反応すると、脳の視床下部がコルチゾールなどのストレスホルモンを分泌し、理性的な思考をシャットダウンし、『戦うか逃げるか』の選択を迫ります。それが疲労や心身の病気を誘発する。そのため、記憶が作り上げた嘘を正すことが必要なのです」

ヒーリング・コードはこうした細胞記憶に働きかけ、癒しを与える。来日セミナーでも、さっそく、効果を感じた参加者が少なくなかった。

「会場で博士と一緒にやったワークでは『また、鬱になってしまうのではないか』という恐怖にフォーカスして行いました。すると、幼少期に母に怒られるたびに夜、真っ暗な蔵に閉じ込められた思い出が蘇りました。鬱になった時も、目の前の見え方が真っ暗だったのです。また、同時にいつも祖母が助けに来てくれたことを思い出すと、鬱の再発が怖くなくなりました。また鬱になってしまったとしても、きっと大切な誰かが助けに来てくれるって思えたからです。短時間で、こんな風に思えるなんて想像もしませんでした」(S・Sさん)

「医療関係の仕事に携わっています。薬の効果がある患者さんがいる一方、薬がほとんど効かず、むしろプラセボのほうが効く方もいて不思議に感じていたのですが、このセミナーで腑に落ちました」(矢野佑佳さん)

「日々の業務に忙殺され、目標数値に対する乖離、取引先や会社との板挟み、家族を養っていかなくてはいけない重圧などネガティブな想念でいっぱいで、行動力や思考力が落ち、2月頃から仕事上のトラブルが頻発していました。カラダは痺れている感じがするし、呼吸も浅く、常に落ち着きがなく、寝起きや仕事している最中も、額に冷たい汗が滲む状態。それが、今日明らかに和らいでいます。幼少期のいろんなことも思い出しました」(T・Yさん)

目を閉じ、指先を特定の順番で各部位にあてていくと、一種の瞑想状態となる。それがポイントなのか、多くの参加者が、封印していた過去の辛い記憶が突然蘇ったと話している。記憶が蘇らなくても、無意識下で作用はしているという。

心についてはまだまだ解明されていない部分が多く、メンタルの不調の原因となっている記憶やトラウマは千差万別であるため、何が奏功するかを画一的に論じることは不可能だ。暗示だけで良くなってしまうケースもあるし、脳内伝達物質の減少が原因であるうつでさえ、薬物治療に対する賛否両論が起きている。ことに心理療法においてはその作用機序よりも、結果が何よりのエビデンスと言えるのかもしれない。